山口義行・公式WEB

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番組出演「2009」

7月 10th, 2017

  • 2009年12月31日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:“ニッポンの大決断 2009政権交代”

  • 2009年10月15日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:「あなたはなぜ働くのですか? ~日本一優しい会社問い続けた50年~」

  • 2009年9月3日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:我ら農業サラリーマン~日曜・祝日休みます~

  • 2009年8月29日
  • 朝日ニューススター
  • 毎週土曜日 11:00~13:00
  • 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル

  • 2009年7月25日
  • 朝日ニューススター
  • 毎週土曜日 11:00~13:00
  • 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル

  • 2009年6月26日
  • NHK綜合
  • 毎週月曜日から金曜日の17:15~18:00
  • 番組名:ゆうどきネットワーク
  • テーマ:「夢のバクテリアでレアメタル回収」

  • 2009年6月18日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:「ホームレスから社長に~こうしてどん底から這い上がった」

  • 2009年6月11日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:「お葬式はなぜ高い?~格安でお坊さん派遣します」

  • 2009年5月14日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:「老舗メーカーを立て直せ! 3代目がむしゃら娘の挑戦」

  • 2009年5月1日
  • NHK綜合
  • 毎週月曜日から金曜日の17:15~18:00
  • 番組名:ゆうどきネットワーク
  • テーマ:「尿もれも改善!?電気治療最前線」

  • 2009年4月16日
  • テレビ東京
  • 毎週木曜日22:00~22:54
  • 番組名:ルビコンの決断
  • テーマ:「リストラか? 賃金カットか? 町工場の決断」

  • 2009年4月3日
  • NHK総合
  • 愛知・岐阜・三重・静岡・福井・富山向け、毎週金曜日19:30~20:43)
  • 番組名:金とく
  • テーマ:「不況に負けない~中部再生のヒントを探る」

  • 2009年3月14日
  • 朝日ニューススター
  • 毎週土曜日 11:00~13:00
  • 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル
  • テーマ:「失業、倒産、不景気 山口さんに聞く」

  • 2009年2月27日
  • NHK福岡
  • 第2~5金曜日 19:30~19:55
  • 番組名:九州沖縄インサイド
  • テーマ:「そこに雇用はあるのか」

  • 2009年1月30日
  • NHK名古屋
  • 毎週金曜日20:00~20:45
  • 番組名:金とく(中部7県向け)
  • テーマ:「どうする雇用 ~ものづくり中部 再生の模索~」

  • 2009年1月23日
  • NHK仙台
  • 毎週金曜日 19:30~19:55
  • 番組名:クローズアップ東北スペシャル(43分拡大版)
  • テーマ:「不況を乗り切る」

  • 2009年1月1日
  • 朝日ニューススター
  • 毎週土曜日 11:00~13:00)
  • 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル (新春スペシャル)
  • テーマ:「2009年政治、経済、生活、国民がまんの年が続く!」

第33回山口教授のコレが言いたい!2009年

7月 1st, 2014

中小企業に必要な3つの支援策

中小企業に必要な3つの支援策

「底打ち」が言われながらも、依然として中小企業を取り巻く経営環境は厳しいままである。それどころか、個人消費の低迷などを背景に「不況感」を訴える業種・業態はますます広がりつつある。また、「百年に一度」と形容されるだけあって、今回の世界不況は市場や産業の構造にグローバルな変化を引き起こしつつあり、当然のことながら、日本の中小企業もそうした変化への対応が迫られている。こういう時代状況であれば、政府に対しても、たんなる「景気対策」にはとどまらない中長期的展望を踏まえた本格的な中小企業支援策が求められる。以下、この点について若干の私見を述べてみたい。

リスケ推進を国家的課題に

 求められる中小企業支援の第1は、いうまでもなく「資金繰り支援」政策である。大不況がもたらした急激な売り上げの減少は、何よりもまず中小企業の資金繰りを窮地に陥れるからである。

 周知のように、中小企業金融円滑化法(いわゆる返済猶予法案)が施行となり、銀行もリスケ対応の充実をあらためて課題として挙げている。しかし、同法の施行のみで問題解決が可能かと言えばけっしてそうでないことは、前号ニュースのこのコーナーでも書いたとおりである。

 2つの課題が未解決のまま残されている。その1つはリース業者やサービサーなど、金融庁管轄外の金融関係業者の協力をどのように得るかという問題、いま1つはリスケを実施した企業にどのようにしてニューマネーを供給するかという問題である。

 前者の問題を解決するためには、関係省庁の連携が不可欠になる。後者については、リスケ実施企業向けの新たな「信用保証枠」を設定するか、あるいは現行の信用保証協会とは異なる新たな信用保証の機構を設立するか、いずれにしても予算措置を伴う政策対応が必要になる。

「返済が難しいからこそリスケを実施したのだから、そんな企業に新たな資金を貸し出しても返済できないはずだ」――こんな論理で、リスケ実施企業へのニューマネーの供給や信用保証が拒まれてきた。しかし、ニューマネーを得られないのであれば、多くの企業はリスケを断念せざるを得なくなる。これでは、未曾有の不況に日本経済は柔軟に対応することができず、この不況を機に日本経済は成長力を大きく失うことになる。

 むしろ、「適切にリスケを実施すれば、新たな貸し出しも可能になるはずだ」という考え方に立って、行政も金融機関も積極的にニューマネーの供給を検討すべきであろう。リスケの推進は「かわいそうな中小企業を救う」という社会政策ではなく、企業や金融機関が大不況への柔軟な対応を積極的に行うことで日本経済の活力を維持するという、まさに国家的規模で展開されるべき経済政策なのである。

中小企業に「国際化」支援を~とくに北東アジア経済圏構想を念頭に置きながら~

 求められる中小企業支援の第2は、「国際化支援」政策である。中国経済を扱った前号ニュースの巻頭対談に対しても、スモールサン会員から「中国企業とのビジネスに進出したいが、情報も乏しく何から始めたらいいかもよく分からない」という声が「感想」として寄せられた。そのことは、皆さんに一斉メールでお知らせしたとおりである。

 この大不況はアメリカのバブル崩壊を起点としており、それは「アメリカの過剰消費(対外赤字)にリードされながら、世界各国が成長を果たす」という近年の世界経済の成長パターンに基本的な変容をもたらした。そんな中、新たな成長のリード役として脚光を浴びているのが、中国などの新興国である。日本の中小企業もこうした市場構造の変化に対応する必要がある。

 しかし、これら諸国への進出やこれら諸国の企業との取引を望みながら、情報不足、経験不足、人脈不足などで立ちすくんでいる中小企業が少なくないことも事実である。とすれば、その「不足」を補うことが政策支援となる。私がいう「国際化支援」とはこのことである。

 たとえば、日本、韓国、中国、ロシアという「北東アジア圏」の経済交流が進めば、九州地方のほか、北陸、東北、北海道など、現在元気がないと言われている地域の活性化にもつながる。しかし、中国やロシアなどとのビジネスにはいまだリスクも多く、とりわけ中小企業が単体で切り込んでいくのは危険でもある。

 各国政府や地方自治体が協調してリード役を果たしてビジネスマッチングの機会を提供していくなど、政治的な支援が必要である。こうした国際的な協調に基づく支援政策によって、日本の技術、中国のマーケット、ロシアの資源をうまくつなげることができれば、「北東アジア圏」は世界経済の成長にも大きな貢献を果たすことになる。

新分野開拓に省庁連携で支援を ~内需再構築を目指して~

 

 求められる中小企業支援の第3は、内需を再構築するという観点から中小企業の「新分野開拓を支援する」政策である。

 日本の輸出依存度は他の先進国と比べてとくに高いというわけではない。しかし、2000年以降、日本経済は輸出への依存を急速に高めつつ成長を遂げてきた。2000年には11%程度であった財貨・サービス輸出のGDPに占める割合(実質ベース)は、08年には16%程度にまで上昇している。この輸出依存の高まり、言い換えれば内需の伸び悩みが、アメリカ発世界不況の波を日本経済がもろに受けることになった理由でもある。

 そこで、日本経済をより強靭なものにしていくためには、内需の再構築が不可欠になる。内需再構築とは、国民のニーズや時代の要請を背景に、需要と供給とを新たにマッチングさせることである。その場合、さしあたり注目されるテーマは、「環境」や「福祉」であろう。

 いわゆる「低炭素社会への転換」は日本経済が担う時代的課題である。日本の産業構造がこうした時代の要請に見合ったものへと転換していく過程でこそ新たな内需が形成され、それに対応した供給体制が生み出されていく。内需の再構築とはそういうものである。

 また、内需の再構築は「福祉国家」の再構築と連動していなければならない。高齢化社会の進展と小泉政権以来の社会保障費抑制策によって、今や日本の医療・福祉は瀕死の状態にある。医師や看護師の不足、相次ぐ医療施設の閉鎖、低賃金と加重労働で退職者が跡を絶たない福祉の現場。こうした現状を脱し、国民の強いニーズに対応できる医療・福祉産業を構築することなしに、内需の再構築もありえない。

 こうした分野に果敢に挑もうとする中小企業をどのように支援するか。ここでも、環境省、厚生労働省、経済産業省などの連携が必要になる。

新たな中小企業支援体制を

 上記3つの支援策を実施するためには、省庁間連携が欠かせないことは上述したとおりである。もはや、中小企業支援は、各省庁の官僚任せの縦割り体制では十分な実施が不可能な政策分野なのである。今こそ、首相主導、官邸主導、政治主導の意味が試されることになる。

(2009年/スモールサンニュース12月号より)

第32回山口教授のコレが言いたい!2009年

7月 1st, 2014

リスケ支援の包括的な政策パッケージを!

 話題を集めた返済猶予法案については、スモールサンニュース10月号の巻頭対談で私の考え方を述べ、その後、そのニュースへの「補足」として一斉メールを配信した。今回は、その一斉メールを見損なったという会員諸氏のためにその「補足」を再掲するとともに、若干の更なる「補足」を記すことにしたい。

 さて、先の一斉メールでも記したように、いわゆる「返済猶予法案」は、私が国民新党で述べた主張にかなり近い形のものとなっている。その理由として、以下の3つをあげた。

モラトリアムではなく、リスケ推進

 その第1の理由は、「モラトリアム」を法的に強制するのではなく、「借り手から申し込みがあれば貸し付け条件等の変更をおこなうよう務める」という「努力義務」となったことである。

 私は、民間が自由意志で取り結んだ法的な権利義務を国家が強制的に停止させるのは「禁じ手」だとして、あくまでも「リスケ(条件変更)推進法」あるいは「リスケ支援法」とすべきだと主張してきた。結果的には、そのとおりになったと思っている。したがって、「返済猶予法案」というマスコミの呼び名も本当は正しくない。返済を猶予するのではなく、返済の仕方を組みなおす(リスケジューリングする)というのが、この「法案」の趣旨だからである。

法的強制ではなく、情報公開で

 第2の理由は、金融機関に「実施状況を定期的に開示(虚偽の開示には罰則)」するようを義務付けたことである。

 私は、金融機関にリスケ対応をしっかりやってもらうためには、法的強制ではなく、「金融アセスメント」の手法を使うべきだと主張した。それは金融機関の「努力」の度合いを「評価」したり、それを「公表」したりすることである。そうすれば、金融機関はいい評価をもらうために、あるいは悪い評価を避けるために、努力するようになるはずだからである。

 今回の法律では、「実施状況の開示」については、金融機関が金融庁に「開示」し、金融庁がそれを「国会」に「開示」する形になる。私は国民に分かりやすく「開示」することが肝要であると、国民新党で主張した。利用者の目を通して、望ましい金融機関を育てていくことが重要だからである。今回の法律の施行についても、この観点でしっかり見守っていくことが必要だと思っている。

検査マニュアルの見直し

 

 第3の理由は、「貸し付け条件を変更しても『不良債権』にはしないなど、金融検査マニュアルや監督方針を改定」するとしたことである。

 ニュース10月号のなかで「金融検査の在り方や方針について検討することが必要」であると述べたように、この点も私の主張と合致している。

 政府は、今回の法律施行に併せて、「利払いが続いていれば、不良債権扱いしない」といった項目を「金融検査マニュアル」に入れる方針である。実は、「金利さえ払っていてくれれば、正常債権だ」という考え方は、かつての銀行には一般的に存在していた。それが、小泉政権時代の金融庁の非現実的で画一的な「検査マニュアル」の実施によって変ってしまったのである。そういう意味では、金融庁は自分たちが始めたことを自ら「非現実的」と認めた形になっている。

 以上の理由から、今回の法案提出については、金融システムの改革に向けた一歩として私は評価している。しかし、政策の実効性という点では、まだいくつかの疑問符がつく。

サービサーやリース業者への指導を含む包括的な政策パッケージを

 その一つは、サービサーの問題である。取引金融機関が複数あった場合、そのうちのある金融機関がリスケに応じたとしても、別のある金融機関がその債権をサービサーにすでに売却してしまっていて、そのサービサーが債権の取り立てを始めたら、結局企業再建は困難になる。

 また、同様のことはリースについても言える。とくに製造業では、機械設備などをリースで調達している。したがって、金融機関がリスケに応じてくれても、リース業者がリスケに応じてくれなければ、借金の負担を十分に軽減することは出来ず、企業再建が進まない可能性がある。現状では、リース業者がリスケに応じることはまれである。

 政策の実効性を上げるためには、サービサーやリース業者への指導を含む包括的な政策パッケージが必要なのである。

中小企業担当大臣が包括的に政策を推進する体制が必要

 ところが、サービサーは法務省、リース業者は経済産業省の管轄下にあり、金融庁の管轄下にはない。

 また、ニュース10月号のなかでも、私は「信用保証協会が『リスケを行った企業への信用保証は基本的にダメ』といった態度に固執すれば、やはりリスケは進みません」と発言した。現在でもこの信用保証との関係で、「リスケに応じてもいいが、ニューマネーは貸せなくなりますよ」といって、事実上リスケを辞退することをすすめるような銀行が少なくない。

 したがって、信用保証制度のあり方を見直していく必要があるのだが、信用保証協会は経済産業省(中小企業庁)の管轄下にあって、金融庁ではない。金融担当大臣の手を離れた問題なのである。

 そこで、現在の省庁の枠を越えた包括的な政策パッケージをつくり、金融庁ではなく、官邸主導で事に当たる必要がでてくる。

 これは、個別企業の経営者の失敗をリスケで救おうという話ではない。それは、リーマンショックを契機とした経済環境の激変に柔軟に対応することで、無意味な倒産や失業を回避して日本経済の潜在的活力を守ろうとする、まさに国家的政策課題なのである。

 こういうときにこそ、縦割り行政の枠を越えて政策を推進していく中小企業担当大臣が必要なのだが、果たして鳩山総理はこのことを理解してくれるだろうか。

(2009年/スモールサンニュース11月号より)

第31回山口教授のコレが言いたい!2009年

7月 1st, 2014

金融アセスメント法、再論!(2)
――中小企業経営者による“メイク・ドラマ”――

「私は、アメリカの地域再投資法に、日本独自の金融慣行上の問題の解決にも役立つような工夫を付し、法案『骨子』を作成した。そして、それに『金融アセスメント法』という名称を付したのである」。そして、「その法案『骨子』を民主党の桜井議員に見せ、法制化に持ち込むことを提案した。当初は、参議院法制局の役人の抵抗にあって条文化が進まなかったが、担当課長が代わったこともあって半年後に条文が完成した」。――以上、前号。
その「条文」とはどのようなものか、以下に簡単に紹介したい。

法律の「目的」

 民主党版「金融アセスメント法」は、「地域金融円滑化法」と命名された。同法の「第一条」には、この法律を制定する「目的」が記されている。大変長い一文で読みづらいと思われるので、法文を分解して以下に記すことにしよう。
この法律は、地域金融の円滑化に関し、

(1)基本理念を定め、並びに
(2)国、地方公共団体及び金融機関の責務を明らかにするとともに、
(3)地域金融の円滑化に対する金融機関の寄与の程度に係る評価に資する情報の公表の制度を設けること等を通じて、その推進を図ることにより、
(4)金融機関の地域金融に係る業務の適切な運営及び地域経済の活性化を期し、
(5)もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資することを目的とする。

きっかけは「アントレ会」~アメリカの「地域再投資法」を参考に~

基本理念――地域金融の円滑化とは?

 

 上記のように、この法律には「地域金融の円滑化」とはどういうことか、その「基本理念」が定められている。まずはそこから見ていこう。
 基本理念を記した「第三条」では、地域金融の円滑化とは、「地域において社会的に要請されている分野に必要な資金が十分に供給される」ようにすることであると明記している。その際、中小企業への資金供給が特に配慮されなければならないとして、次のように記している。
「中小企業が地域経済の活性化において果たす役割の重要性にかんがみ、それに対し適切かつ効果的に資金が供給されるよう特に配慮されなければならない」。
 さらに、そのためには「金融機関に関する情報の開示」が必要であるというのが、この法律の趣旨である。

金融機関の「責務」――機会均等、事業の適正な評価、十分な説明

 同法の「第四条」で、国は「地域金融の円滑化に関し必要な施策を策定し、(中略)実施する責務を有する」とし、また「第五条」では、地方公共団体は、その「国の施策に準じた施策及びその他(中略)区域の特性に応じた施策を策定」し、実施する責務を有するとしている。
 そして、肝心の金融機関についてであるが、「第六条」で「地域金融の円滑化に主体的かつ積極的に寄与する責務を有する」として、特に次のように記している。
金融機関は、中小企業向け融資にあたって――、
(1)「均等な機会を確保するようにする」こと、
(2)「経営資源及び事業の成長発展の可能性を適正に評価する」こと、
(3)「取引条件を明確にし、適切かつ十分な説明を行う」こと、
(4)その他「苦情の適切な処理を行う」こと、など――公平かつ適正な業務の実施に留意しなければならないとしている。

情報の公開――地域金融の円滑化に「情報公開」を活用する

 金融機関に上記のような「責務」を果たしてもらうために、「情報公開」を積極的に活用しようというのが、この法律の特徴である。先に記した「目的」の(3)がこれにあたる。その内容は「第八条」で規定している。

「行政庁は、個々の金融機関について」、それらがどの程度地域金融の円滑化に寄与しているか、その情報を「公表するもの」としている。特に下記の「事項」に関する情報が公表されることになる。
(1)「地域の住民及び事業者に対する信用の供与の状況に関する事項」
(2)「地域の産業の振興等地域の振興に貢献する業務の状況に関する事項」
(3)「利用者の利便の増進を図るための業務の状況に関する事項」
(4)「その他…評価がなされるに当たり参考となるべき事項」

中小企業家の活動によって法律が作られる意義

 民主党版「金融アセスメント法」の中身は、おおむね以上のようなものである。
『マニフェスト』に明記した以上、民主党政権によってこの法律は現実のものになるはずである。

 ここで強調したいのは、中小企業経営者による「市民運動的活動」の成果として法律が生まれることの意義である。そもそも「国民主権」とは、私は、国民が自分で法律を作ることができる権利だと解釈している。ところが、日本では市民運動によって法律が生まれることはほとんどなかった。

 しかし、スモールサンニュース前号でも記したように、この法律は明らかに中小企業経営者たちの運動から生まれたものである。その意味で、同法の成立は日本の民主主義が一歩前進したことを示すものとなる。スモールサン会員の皆さまには、そうした目線で、今後の成り行きを見守っていただきたい。

(2009年/スモールサンニュース10月号より)

第30回山口教授のコレが言いたい!2009年

7月 1st, 2014

金融アセスメント法、再論!(1)
――中小企業経営者による“メイク・ドラマ”――

 「民主党政権誕生!」となってから、新聞や週刊誌の取材を受けた。その主なテーマが「金融アセスメント法」についてである。同法については、本ニュース冒頭の鼎談記事でも触れているが、スモールサン会員の中には耳慣れない言葉で戸惑いを感じている方もおられるかもしれない。そこで、私としてはすでに著書などで繰り返し述べてきたことではあるが、以下で簡単に「金融アセスメント法」について記しておくことにしたい。

『魂の中小企業』より

 本年7月、朝日新聞出版から『魂の中小企業』と題する本が発刊された。著者は朝日新聞デスクの中島隆氏。その8章に「金融アセスメント法」制定運動がドキュメント風に紹介されている。以下は、同書からの引用である。ちなみに、同書は朝日新聞夕刊(2009年1月8日~28日)に掲載された記事に加筆したものである。

 1990年代後半、日本中に、嵐が吹き荒れた。その貸し渋り、貸しはがしという悪夢の嵐が。その中で、中小企業経営者たちが「金融アセスメント法」の制定を求めて全国的な運動を起こした。中小企業や地域経済にどれだけ優しいか、銀行を格付けして公表するという法律である。もちろん、貸し渋り、貸しはがしをさせないのが狙いだった。

 運動は99年5月の夜、福岡・博多の居酒屋で産声を上げる。福岡県直方(のおがた)市で産業機器を販売する「紀之国屋」の会長、中村高明(68)、福岡市で封筒をつくる「福岡製袋工業」の相談役、吉田昭和(67)、ビル管理「創建サービス」の社長、堺光則(61)の3人が杯を重ねていた。

 話題は、その日の昼間にあった金融の専門家、立教大学の山口義行(57)の講演に及んだ。米国の法律を基に金融アセス法を思いつき、ひとりで国会を回って提唱していると話していた。名古屋の繊維問屋に生まれ、経営者の苦労をよく知る学者である。金融アセス法という発想も、「アントレ会」という愛知の中小企業経営者との勉強会での議論から生まれた。

「学者先生が、わしらのためにがんばってくれてる。立ち上がらなくてどげんする」
「西から風を起すばい」

 居酒屋の3人の意気は上がった。準備を進め、翌年秋、「福岡県中小企業家同友会」の理事長に金融アセス法を求める署名運動を持ちかけた。まずは福岡の企業を回り、2001年には街頭で署名集めを始めた。同友会は、中小企業の理想を考える経営者の交流会で、全国にある。運動のリーダー格になった中村は、各地の同友会に出かけていって「立ち上がろう」と訴えた。

 中村らの呼びかけに、01年から03年にかけ、全国の中小企業経営者が繁華街に立ち、署名を集めた。貸し渋り、貸しはがしをやめろという訴えは、道行く人の共感を得ていった。

 集まった署名は計101万。1004の地方議会が法制定を求めて意見書を国に出した。101万人署名は国会に提出された。  

きっかけは「アントレ会」~アメリカの「地域再投資法」を参考に~

 私は、愛知の若手経営者20名ほどとともに「アントレ会」(代表、木全哲也氏)と称する定期的な勉強会を組織し、経営問題だけでなく、マクロの経済・金融情勢を経営者諸氏が的確に把握できるようにと、すでに数年にわたって学習会を続けていた。

 貸し渋りの嵐が吹き荒れていた1998年、暮れも押し詰まった頃、アントレ会のメンバーからこんな電話をもらった―「私たちの方から、何か政策を提案するようなことができませんかね」。

 ただ愚痴を言っているだけでなく、中小企業経営者の側から問題解決につながるような政策を提案していくべきではないかという声があがってきたのである。

 そうした提案に応えるべく、あれこれと考える日々が始まったのであるが、私が最終的にたどり着いたのが、アメリカですでに施行されている「地域再投資法」(CRA:Community Reinvestment Act)であった。

 地域再投資法は金融機関に対し、地域で集めたお金はできるだけその地域の融資に回すよう促す法律である。つまり、アメリカではいかなる経営方針を持つ銀行であっても、地元への資金還流をまったく考慮しないで金融活動を遂行していくことは、それ自体一つのルール違反なのである。

 同法はもともと、人種差別・地域差別をさせないための法律として誕生したものであったが、クリントン政権がこの法律を中小企業向け融資の円滑化を促す手段として活用・強化していた。そこで、私はこの地域再投資法を参考にして、制度提案をしてみようと思ったのである。

 ちなみに、アメリカでは、たとえば金融持ち株会社の設置など金融機関があらたな経営展開をしようとするなら、基本的に2つのハードルを越えていなくてはならない。その1つは、自己資本比率10パーセント以上というハードル、そして今ひとつは地域再投資法における評価が「良好」以上――同法にもとづく調査では、金融機関は「優秀」「良好」「改善必要」「不合格」といった形で評価が示される――でなければならないというハードルである。

 私は、アメリカの地域再投資法に、日本独自の金融慣行上の問題の解決にも役立つような工夫を付し、法案「骨子」を作成した。そして、それに「金融アセスメント法」という名称を付したのである。

桜井議員との出会いで法制化へ

 

 私はその法案「骨子」を民主党の桜井議員に見せ、法制化に持ち込むことを提案した。当初は、参議院法制局の役人の抵抗にあって条文化が進まなかったが、担当課長が代わったこともあって半年後に条文が完成した。中小企業家同友会はその条文を参考にしながら、独自の「金融アセスメント法案」を作成した。以下再び『魂の中小企業』から引用する。

 民主党の参議院議員、桜井充(52)らが議員立法を目指したが、金融アセス法は、与党の抵抗にあって日の目をみなかった。それでも、政府も国会も中小企業の資金繰りに気を配るようになった。いまの経済危機でも、いくつかの対策が打ち出されている。民主党が政権をとった場合、金融アセス法が制定される可能性がある。…

 金融アセス法の制定に走り回った立教大の山口は、中小企業の経営者達に説いている。「いつまでも銀行の言いなりになっていていいんですか?金融の知識を身につければ、金利を安くしてもらえるかもしれないし、返済を猶予してもらえるかもしれない。ぜひ勉強してください」…

 金融アセス法の議員立法をめざした民主党の桜井も、打ち明ける。「もともとの職業は医者なので、金融や中小企業問題はまったく分かりませんでした」。国会内でたまたま山口の話を聞いて触発され、猛勉強したのだ。民主党の「次の内閣」の金融担当大臣になったこともある。「中小企業立国をめざす会」をつくり、銀行が融資してくれないような企業の再生も手伝っている。金融庁にはこう言っているそうだ。「あなた方が不良債権と認定したところを再生させてやる。あなた方の考えがいかに間違っていたか、俺が教えてやる」

 最後に、金融アセス法の制定運動を山口に総括してもらった。

「『たいへんだ、何とかしてくれ』と『お上』にすがるだけでなく、経営者が自分達で金融環境を考え、改善していくという意識をもってもらいたかった。まだ法律にはなっていないけれど、大きな成果があったと思う。中小企業の経営者の方々にあらためて申し上げます。金融を勉強しましょう」

 次回のこのコーナーでは、金融アセスメント法の内容や民主党の法案について具体的に紹介することにしよう。

(2009年/スモールサンニュース9月号より)

山口義行・公式WEB

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