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History

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番組出演【2017】
“ 2017年4月05日(水) BS11 毎月第1水曜日23:00~24:00 番組名:中小企業ビジネスジャーナル テーマ:第一部「売れる営業マンの育て方」    第二部「"人括企業"を追う ~株式会社丸忠~」    ...”
執筆活動「2017」
“  『スモールサン・ニュース』     2017年5月号 『巻頭対談  5月22日(月)配信予定』 『巻頭論文  5月22日(月)配信予定』 『山口義行の「景気を読む」第99回 5月22日(月)配信予定』 『連載/知っとこNews5月5日(金)配信予定』   2017年4月号 『巻頭対談  4月20日(木)配信予定』 『巻頭論文  4月20日(木)配信予定』 『山口義行の「景気を読む」第99回 4月20日(木)配信予定』 『連載/知っとこNews ①住宅ローン金利一斉引き上げ~「マイナス金利時代」の終焉~ ②日銀短観~足下改善も先行き見通し悪化』   2017年3月号 『巻頭対談 (山口担当回ではないので執筆活動としては明記せず)』 『巻頭論文 (山口担当回ではないので執筆活動としては明記せず)』 『山口義行の「景気を読む」第99回 「息切れ」感が見え始めた景気~注目点は3つ~ ●再び景況感が悪化しはじめた! ~1-3月期「法人企業景気予測調査」~ ●昨年後半の「回復」に“息切れ” ●米中ともに自動車販売は減速 ●注目点1――電子部品の好調がいつまで続くか ●注目点2――落ち込み懸念増す住宅建設 ●注目点3――金利動向』 『連載/知っとこNews (1)アメリカ新車販売落ち込み続く (2)米新車販売1.1%減』   2017年2月号 『巻頭対談  "空室問題"に挑む中小企業            ~中小企業が担う「ソリュージョン・ビジネス」~』 『巻頭論文  トランプ大統領と日本経済 ~日米首脳"蜜月"の代償は?~』 『山口義行の「景気を読む」第98回 強まる“外需依存”と高まる“リスク” ・内需冴えず、外需依存強まる ・中国でもアメリカでも今の自動車販売は落ち込みが予想される ・「国境税」というリスク ・日本の金利上昇リスク』 『連載/知っとこNews 日銀の金利上昇抑制力に“疑問符”がつき始めた!』   2017年1月号 『巻頭対談  JICA副理事長VSスモールサン主宰 ~日本の中小企業の国際貢献と海外ビジネス~』 『巻頭論文 「4年で雇用250万人増」の中身を問う  ~本当に"アベノミクスの効果"なのか?中小企業の人手不足はどうなるのか?~』 『山口義行の「景気を読む」第97回 揺れる市場、不透明な景気先行き ・揺れる市場 ・「便乗相場」の限界 ・いよいよ飛び出した「トランプ氏の“ドルは強すぎる”発言」 ・日本の不動産投資にブレーキをかけた中国政府! ・「消費」は低迷、「生産」は「まだら模様」、「先行き」は不透明』 『連載/知っとこNews ①事業承継、経済産業省が指針作成 ②“日銀買い”で「ゆがむ株価」 ③大手銀行、住宅ローン金利引き上げ』 ”
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山口ブログ№10[2017.1.1]
“新年のご挨拶を兼ねて、 ブログ№10をお送りします。 昨年は本当にお世話になりました。 皆様のおかげをもちまして、 スモールサンも創立8年目に入り、 少しずつではありますが、 着実な成長を遂げております。 本年も中小企業支援のさらなる充実に向けて、 スタッフ一同、一層努力してまいる所存です。 引き続きの御指導御協力を 心よりお願い申し上げます。 ところで、皆様は 大晦日をどのように過ごされましたか。 私は紅白歌合戦ではなく、 総合格闘技のTV番組を観ていました。 42歳のミルコ・クロコップの活躍ぶりを見て、 年齢を理由に「気力の衰え」を正当化していた 自分を反省する良い機会となりました。 そういう意味では、「新年の迎え方」として、 いい番組選択だったといえます。 私が選んだ「昨年の漢字」は“隠” 昨年12月22日、聴かれていた方も いらっしゃると思いますが、毎週木曜日 私がコメンテイターを務めているラジオ番組、 文化放送「福井謙二グッモニ」で、 昨年の1年を象徴する「漢字」として、 「隠(イン)」という文字を選び、 その理由について少しお話をしました。 「隠れトランプ」という言葉も使われたように、 昨年は、隠れていたものが「顔」を見せ始めた年 であったように思ったからです。 トランプ勝利はメディア関係者にとっても、 多くの識者にとっても「予想外」のことでした。 これはそれまであまり表面に出てこなかった 国民の不満が、政治家の「煽り」にのせられて 「顔」をのぞかせたからにほかなりません。 私の専門分野でいえば、 昨年9月に実施された日銀の金融政策の「変更」も、 これまで隠されていたものが、ちらりと 「顔」をのぞかせた現象だったように思います。 それは、「異次元量的緩和政策」の行き詰まりが 「漏れ出た」ものだったからです。 今年の漢字は“現” ――様々な「矛盾」が表面化する年―― さて、「昨年が“隠”だとすれば、今年は“現(ゲン)”」 ――私は今そんな風に思っています。 「昨年、隠れていたものが顔をのぞかせた」ことで、 「今年は、様々な矛盾が噴き出る年になる」と、 思うからです。 例えば、トランプ氏は選挙期間中、 「輸入を制限すれば、米国製造業を再興できる」と 訴えて、白人工場労働者(ブルーカラー)たちの 「隠されていた不満」を炙り出しました。 しかし、そんな政策を本当に実行に移せば、 輸入品の価格が上昇してしまい、 それを材料や部品として使う 米国製造業の競争力が 一層削がれることになりかねません。 そうなれば、 「製造業を再興しようとする政策」が 「製造業の活力をさらに奪う」という 「矛盾」に陥ります。 また、トランプ氏は大規模な公共事業を 継続的に実施して、米国経済を元気にするのだと 訴えました。 しかし、大規模な財政支出で 物価が上がり始めれば、 FRBは躊躇なく金利を引き上げて 通貨価値の安定を図ると言明しています。 金利上昇が起きれば、世界中から米国に資金が流入し、 ドル高が起きます。そうなれば、 そのドル高によって、米国製造業の競争力が 奪われることになります。 トランプ氏は支持者たちから反発を 受けることになるでしょう。 これも「矛盾」です。 日銀が抱える矛盾も表面化?! 米国で金利上昇が起きれば、そのことで、 日銀の金融政策が抱える「矛盾」も表面化する ことになます。 すでに日銀の国債保有率は4割を超えていて、 年80兆円のペースで国債を買い上げる 「異次元緩和政策」は「限界」に近づいていると 言われています。 9月に日銀は政策変更を表明し、今後は 「年80兆円という“量”にはこだわらない、 これからは10年物国債利回りを ゼロ%近辺にとどめることを目標にする」と 表明しましたが、 これも国債買い上げが限界に近づいてきていることを 表すものでした。 しかし、米国金利が上昇すれば、 日本の国債を売って、 米国の国債に乗り換える動きが出てきます。 その結果、日本の国債価格が低下し、 利回りが上昇することになります。 つまり、長期金利の上昇が起きます。 米国大統領選挙後、 日本ではすでにそういう動きが出てきました。 昨年末に、三菱銀行が早々と住宅ローンの 引き上げを決定したのも、 こうした国債利回りの動きを反映したものです。 こうした動きが広がれば、 「10年物国債利回りをゼロ%近辺」に抑えると 言明した日銀としても放置できません。 国債をどんどん買うことで、 国債価格の低下を防がなければならなくなります。 でも、そうすれば、 日銀の国債保有率がますます上昇し、 これ以上、国債を買い続けることが 難しくなるという「限界」が 一層速いテンポで近づいてしまいます。 これも「矛盾」です。 “変化”は“チャンス”と受け止めて 上記に加えて、 中国も過剰生産能力払拭のための「構造調整政策」と、 「景気の落ち込みを防ぐ」ための「景気対策」を 同時進行させる「矛盾」に苦しんでいます。 この「矛盾」も、 今年はより一層激しくなることが予想されます。 このように様々な「矛盾」が表面化してくると、 経済情勢も揺れ動くことになります。 昨年12月号の『スモールサンニュース』の 「景気を読む」のコーナーに、 「激動の予感 2017」という表題を付したのは 上記のような判断に基づくものです。 したがって、今年は中小企業経営者が 大変難しい「かじ取り」を強いられる局面も やってくるかもしれません。 しかし、「矛盾」の発露は「変化」の兆しです。 そして、「変化はチャンス」でもあります。 ――そんな風に前向きに受け止めて、 皆様には、今年をさらなる飛躍のきっかけにして いただきたいと思います。 私も全力で皆様の知的サポートに努めます。 ともに頑張りましょう。            2017.1.1山口義行筆 ”
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番組出演【2016】
“ 2016年12月29日(木) 文化放送 毎週月曜日~金曜日07:00~9:00[176] 番組名:「福井謙二 グッモニ」 【ニュース納得!まるわかり「きょうのポイント!」】「電通の新入社員過労死自殺を巡る違法残業事件で石井社長来年辞任表明」 【ニュース納得!まるわかり「きょうのグッモニ特派員」】「"ボイメン"を知ってから越せる年だ~にゃ~、海老ふりゃぁ~」 ...”
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執筆活動「2016」
“  『スモールサン・ニュース』     2016年12月号 『巻頭討論会 抄録:第2回女性経営者サミット~「女性経営者&女子大生」の集い~』 『【拡大版】景気を読む 第96回 "激動の予感、2017"~「トランプ「イエレン」「習」「黒田」"4っの変数"の絡みをどう読み解くか~』 『巻頭論文 「"バブル検証"本」に学ぶ~「バブルー日本迷走の原点ー」「住友銀行秘史」「検証 バブル失政」~』 『連載/知っとこNews 信用保証制度の見直し案 中小企業に直接的に関わるニュースです。経済産業省と自民党が信用保証制度の見直し案をまとめました。信用保証協会が保証をする際には、銀行に一定額の無保証融資を求めるなど、今後の融資の在り方に変化をもたらす可能性もあります。ぜひ目を通しておいて下さい。 以下は11月26日付日本経済新聞の記事の引用です。』   2016年11月号 『巻頭対談  "人活企業"に聞く~「人が育った分だけ、会社が成長する」~』 『巻頭論文  社長たちのブログ~「営業とは」「経営者の使命」~』 『山口義行の「景気を読む」第95回 “トランプ便乗相場”に惑わされるな! ~「内需低迷」続く日本経済の現実~ 』 『連載/知っとこNews ① 返済猶予だけでは中小企業の再生は難しい ② 金利引き上げ後の米消費に注意 』   2016年10月号 『巻頭対談  "女性の活用"で"会社を変える!"          ~会社を変えた「わが社の女性支援プロジェクト~」』 『巻頭論文  あるまじきリーター像          ~「豊洲市場」「新銀行東京」問題と石原元都知事~』 『山口義行の「景気を読む」第94回 “消費不況”の様相強まる                   ~小売業では「デフレ回帰」~ ・“ゆるやかな下降”続く ・鮮明化する「消費低迷」~事実上の「12か月連続」減少~ ・小売業界では「デフレ回帰」 ・円相場の行方は』 『連載/知っとこNews ① 大企業は低空飛行、中小企業は緩やかな下降~スモールサンの「景気判断」が日銀短観でも実証~ ② 広がる需給ギャップ~不動産業界の現状~』   2016年9月号 『巻頭対談 "ぬるま湯資本主義"を考える(下)~「ゆでガエル」にならないために~』 『巻頭論文 "人括""学活""地域活"~スモールサン会員企業の「活かす力」~』 『山口義行の「景気を読む」第93回 “緩やかな下降” 続く中小企業景気     ~限界近づく「量的緩和政策」の今後を注視せよ~        ・裏切られた「回復期待」~依然として景気は「低空飛行」~        ・「設備投資に持ち直しの兆し」は本物か        ・広がる不動産市場の需給ギャップ         ・今後の金融政策に注目を』 『連載/知っとこNews 住宅ローン金利引き上げへ~テーパリング開始予想による国債価格下落を反映~  スモールサンニュース前月号の巻頭論文「“テーパリング”って知っていますか?」はお読みいただいたであろうか。  テーパリングとは「量的緩和政策の縮小」を指す言葉。これが開始されると「日銀の買入れ額が縮小されるのであるから、国債価格の下落は回避できない」。したがってまた、国債利回り(長期金利) が上昇し、これが企業向け貸出金利や住宅ローン金利の引き上げにつながる。このように、テーパリングは中小企業経営者にとっても影響は大きいから、強い関心を持っていてほしいと書いた。』   2016年8月号 『巻頭山口インタビュー ...”
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山口ブログ№9[2016.9.22]
“日銀の「金融緩和強化策」 ~2つのウソと3つの限界~ 去る9月21日、日銀はこれまでの 金融政策の「総括的検証」を踏まえて、 新たな「金融緩和強化策」を発表しました。 スモールサン会員の中にも、この新政策が 「どのようなものか」と強い関心をもって 新聞記事などを読まれた方が多いと思います。 でも、そんな方々から聞こえてくる声は 「何だかよくわからない」というもの。 そこで、今回のブログでは、 日銀が打ち出した「新政策」について、 できるかぎりわかりやすく 解説してみたいと思います。 2つのウソ 「なぜ、わかりにくいのか」――その理由は 日銀が「ウソ」をついているからです。 その「ウソ」とは、以下の2つです。 ウソその①――金利引上げを「緩和強化」と呼ぶ 「緩和強化ではなく、緩和後退ではないか」―― 9月21日、米国に本社を置く通信社ロイターは、 日本の債券関係者のこんな感想を紹介しています。  実は、この感想こそが正しいのです。なぜなら、通常 「金融緩和の強化」といえば、「金利の引き下げ」です。 ところが、今回日銀が打ち出した政策は 「金利を引き上げよう」というものなのです。 「10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導する」と、 日銀は発表しましたが、この国債利回りは7月中旬には マイナス0.3%にまで下がっていました。 こんな風にマイナス圏にある利回りを、今後は ゼロ%程度に固定しようというのですから、 これは「金利引き上げ」にほかなりません。 このように「金利を引き上げる」政策を、 「緩和強化策」と称して発表したのです。 この「ウソ」に惑わされて、 政策発表直後は為替が円安に動きました。 しかし、「実は緩和強化ではなく後退だ」と 市場関係者が気づくにつれて、 再び円高に押し戻されたのです。 市場関係者も騙されるくらいですから、 素人が日銀の発表を「わかりにくい」と 感じるのは当たり前です。 ウソその②――「テーパリングではない」と強弁  「これはテーパリングではない」―― 政策発表直後の黒田総裁の発言です。 日銀のもう1つのウソとは、これにほかなりません。 テーパリングとは「量的緩和政策の縮小」のこと、 つまり「日銀が買い入れる国債の量を減らす」ことです。  日銀は「年間80兆円のペース」で国債を買い増して きましたが、今後はそういう「量」を目標にしないで、 10年物国債の利回りをゼロ%にするといった具合に 「金利」を目標にするのだと発表しました。 日銀が「年間80兆円」のペースで買い増していくと、 相当な買い圧力ですから、国債価格がどんどん上昇します。 その結果、利回りがどんどん低下してしまいます。 7月にマイナス0.3%にまで低下したのはそのためです。  ですから、国債利回りをゼロ%にとどめるためには、 日銀はこれまでのペースで国債を買い続けることをやめ、 そのテンポを落とさなければなりません。 これは、まさに「テーパリング」にほかなりません。 今回の発表は、「いずれテーパリングを開始する」と 日銀自ら宣言したようなものなのです。 ちなみに、アメリカの通信社ブルームバーグは、 21日配信の記事で、市場関係者の間には今回の措置を 「事実上のテーパリング」とみる「見方」があると はっきり書いています。 3つの限界 以上述べてきたように、今回の日銀の「新政策」は 「金利引き上げ」と「量的緩和の縮小(方向を示す)」という 「緩和後退策」にほかなりません。 では、なぜ日銀はそんな「後退」策を、今になって 発表したのでしょうか。それは、以下の3つの点で、 従来の緩和策が限界に達したからです。 限界その①――金融業界からの猛烈な反発  その1つは、金融業界からの猛烈な反発です。 この反発で、日銀はマイナス金利政策の後退を 余儀なくされたのです。  マイナス金利政策とは、民間銀行が「日銀に置く預金」 ――日銀預金――にマイナス金利を課す政策のことですが、 今のところ、この政策自体はほとんど反発にあっていません。 なぜなら、マイナス金利が課せられるのは、実際には 日銀預金全体の1割程度しかないからです。 8割弱の預金には0.1%のプラス金利がついていますし、 残り1割強はゼロ金利だからです。 金融業界から反発を受けているのは、 日銀によるハイテンポの買い上げによって 国債価格が高騰したために、国債の利回りが マイナスになってしまったことです。 利回りがマイナスになったということは、今国債を買って それを満期まで持っていたら赤字になるということです。 したがって、金融機関はもはや国債を買うことで 資金を運用することができなくなってしまったのです。 銀行は預金を集めても運用先がない、保険会社は 保険料を集めても運用先がない――こんな状態になりました。 「日銀さん、いいかげんにしてよ」という声が大きくなりました。 そこで、日銀は国債を買い上げる量を調整して、 「10年物国債の利回りをゼロ%程度にし、 それよりも長期の国債――たとえば20年物国債など――は プラス圏におさまるようします」と約束したのです。 ちなみに、短期金利はマイナス、10年物はゼロ、 もっと長期のものの金利はプラスというように、 期間ごとで金利をコントロールしようというわけですが、 これを日銀は「イールドカーブ(利回り曲線)コントロール」と 英語で説明しました。それがまた、皆さんから 「何だかよくわからない」という声が上がる原因になったのですが、 日銀としては、こんな具合に英語の専門用語を使うことで、 何か積極的な政策を打ち出したかのように 「装い」たかったのだと思います。 限界その②――国債枯渇問題 もう1つの限界は、国債枯渇問題。つまり、 国債が不足して、日銀が「年間80兆円のペース」で 買い増そうとしても、実行が難しくなるという限界です。  スモールサンニュース9月号の「巻頭インタビュー」で、 「来年6月にも限界に達する」という予測を紹介しましたが、 近々日銀がテーパリングを開始しなければならないことは もはや疑いようのない事実です。とはいえ、 「テーパリングを開始します」などと発表すれば、 それだけで国債価格が急落してしまい、 金利が想定以上に急騰してしまう可能性があります。 そこで、日銀は「テーパリングではない」と言いつつ、 「国債利回りをコントロールする」という言い方で 事実上のテーパリングをはじめることにしたのです。 「10年物国債の利回りをゼロ%に固定する」と 日銀が発表すれば、それ以上の長期金利の急騰 すなわち国債価格の急落は避けられると考えたわけです。 限界その③――物価上昇・景気浮揚への効果がない  限界の3つ目は、いくら緩和政策を続けても 物価上昇や景気浮揚に効果が出てこないという限界です。  当初日銀は「2年以内に物価上昇率を2%程度にする」と 期限付きで目標設定していたのですが、3年半経った今も 物価は上がらないどころか、下がり続けています。 つまり、「政策効果という点での限界」は、 だれの目にも明らかになってしまったわけです。 とはいえ、「敗北宣言」を出すわけにはいきませんから、 今回日銀は「期限を設定しない」で、物価上昇率が 2%くらいになるまで、そしてそのあとでもしばらくの間は 「緩和政策」を続けると宣言することでお茶を濁したわけです。 これはいってみれば「長い目で見てください」ということですが、 これを日銀は「フォワードルッキングな期待形成」と またまた英語を使うことで、 意味があるかのように「装っています」。 こうしてますます「わかりにくく」なってしまいました。 でも、どう言いくるめようとしても、日銀自身が 「短期的な効果は期待できない」ことを認めたわけですから、 これからは「長期戦」だということになります。 そうなると、長期間続けられる政策でなければなりませんから、 金融界から反発の強いマイナス金利政策は改めよう、 いずれ限界が来る「大量の国債買い上げ」という「旗」も降ろそうと いうことになります。 そこで、上記のような政策発表になったのです。 考えられる今後の影響 最後に、今回の日銀の政策変更で、 実際の経済にどんな影響があるのかという点について 簡単に記しておきます。 一言でいえば、当面は「大した変化はない」と思います。 それでも、指摘しておかなければならないことが3点ほどあります。 影響その①――円高圧力の高まり  事実上のテーパリングが始まるということで、 これからは円高圧力が続くと予想されます。 「円を大量に供給する」ことで「円安を誘導する」というのが、 黒田日銀の手法でしたから、その「円の供給が減ってくる」となれば、 投機筋が円高方向に仕掛けてくることは十分に予想されます。 もちろん、米国の利上げがどうなるかなどにもよりますから、 一概には言えませんが、こういう観点をもって 事態の推移を見守ることが必要です。 影響その②――長期ローンの金利上昇 もう1つは、日銀が10年物以上については ゼロ%以上の金利にする方針を打ち出したわけですから、 長期の貸出金利とりわけ住宅ローンは 多少上昇してくる可能性があります。 もちろん、低金利政策は続くわけですから、 大幅な上昇はないと思いますが、 今年の7月のような水準よりは「上がる」ことになると思われます。 影響その③――「信用リスク」の増加による金利上昇に注意を  3つ目は、日銀が「長期戦」を打ち出したことで、 長期にわたって「低金利」が続くという安心感から、 「借り過ぎ」の企業が出現する懸念が大きくなることです。  不動産業界などですでにその傾向があることは、 スモールサンニュース9月号で述べましたが、 そうした業界に限らず、銀行の「貸し込み」や、 企業や投資家の「借り過ぎ」が発生しやすくなります。 もちろん長期にわたる低金利状態は、低コストで 借り入れができるチャンスであることは間違いありません。 しかし、「金利が安いから」という理由だけで、 十分な展望のないまま借り入れを増やすことは危険です。 金利がいくら低くなっても、返済ができなくなれば 企業は倒産の危機にあうことになりますから。 さらに、国債利回りを基準にしているといっても、 銀行が実際に貸し出す時には、それに「信用リスク分」を 上乗せした金利になることを忘れてはいけません。 「借り過ぎ」によって企業の保有する在庫が増加し、 「今後この企業では売れ残りがかなり出そうだ」とか、 「景気の先行きが怪しくなったので 売れ行きが急減するかもしれない」と銀行が予想すれば、 「信用リスク」が高まったとして、追加融資の際の金利を 引き上げてきます。  経営者はこのことを忘れずに行動する必要があります。                  2016.9.25山口義行筆 ”
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ホントに素晴らしい天皇陛下です!2016.07.16
“ 安倍総理の判断なんでしょう・・・ 生前退位は『憲法上無理』って、よく言えますよねぇ~。(笑) 自己矛盾感じないんでしょうか。”
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山口ブログ№8 [2016.6.27]
“英EU離脱問題~今言える2つのこと~ 英国民投票でEU離脱派が勝利 英国の国民投票直前には EU残留派優勢という世論調査も出ていましたから、 多くのマーケット関係者にとって 離脱派の勝利という結末は まったく想定外の出来事でした。 そのため、市場は大きなショックに 見舞われることになりました。 しかし、その動揺も数日でひとまず収まり、 現在は英とEUとの「離脱交渉」が 今後どのような展開を見せるかに 多くの人々の関心が集まっています。 そもそも、英国会の承認が得られて 本当にEU離脱が実現するのかどうかさえあやしい とする意見もあるほどですから、 今後を予想することは極めて難しいことです。 とはいえ、少なくとも、以下の2つのことは 「今でも言える」のではないかと私は思っています。 最終的には「自由貿易協定」の締結へ その1つは、 英国が離脱通告をすれば、EUとの間で厳しい 離脱交渉が始まることになりますが、 それでも、最終的には 両者は「自由貿易協定」を結び、 両者間の貿易関税はゼロに近いところで 落ち着くことになるのではないかということです。 そんな馬鹿な! と思う方もおられるでしょう。 英国は移民の流入に制限を加えるために、 「モノの自由な移動」が保証されているEUを 自ら飛び出しました。 その英国とEUが「自由貿易協定」を 結ぶことになれば、EUは英国に 「いいとこ取り」をされてしまったことになる。 ――そんなことをEUが許すはずがない。 それを許せば、EU域内の離脱派が 英国の真似をして、 「ウチも、ウチも」と騒ぎ始め、 EUそのものが瓦解してしまう。 こんな風に思われている方は 少なくないと思います。 EUにとって英国は重要な輸出先 でも、英国はEUにとって もっとも重要な貿易相手国の1つだということを 頭に置いておく必要があります。 しかも、EUからすれば輸出の方が輸入よりも多い。 2014年でいえば、 EUは英国に2240億ポンド輸出し、 英国から1480億ポンド輸入しました。 そういう「お得意さん」ともいえる英国に対して、 自ら高い関税をかけて 「輸出をしにくくして、マーケットを減らす」のは、 EUにとって極めてばかばかしい選択です。 さらに、仮に「自由貿易協定」を結んで、 関税をゼロに近づけたとしても、 EUを離脱したことで 英国にとっては様々な障壁ができることになり、 必ずしも「いいとこ」だけを「取る」ことにはならない という点も理解しておく必要があります。 たとえば、関税ゼロの適用を受けるためには、 英国は「英国内で作られた商品」であることを 輸出の際に証明することが必要になります。 いわゆる原産地証明というものですが、 EU内にとどまっていれば、 英国内の企業はそういうコストを負わなくてすみました。 また、たとえば これは金融機関などに影響してきますが、 イギリス国内で一度許認可を得さえすれば、 これまでであればEU域内どこの国でも それが通用してビジネスが行えたのですが、 離脱後はそういうわけにはいきません。 また、EU域内に進出した英国の企業や金融機関は、 EUのルールに従わなければなりませんが、 これまでであれば、そのルール作りに 英国も関わることができました。 しかし、離脱後はもはや口出しできなくなります。 将来英国の企業や金融機関にとって不利なルールが 課せられることになっても、文句はいえません。 こうした様々な障壁やリスクを嫌って、 今後英国に参入してくる企業の数が大きく減少しまうとか、 あるいは今英国にいる企業や金融機関が 英国を去ってEUに出て行くようなことになれば、 いくら自由貿易協定を結んでいても、 英国経済は打撃を受けます。 今後は、そうした関税以外の細々としたことが EUと英国との間の「交渉事」としてテーブルに 乗せられていきます。 その結果次第では、 EU域内の離脱派が元気づく可能性もありますから、 この点については、 EU側は慎重に交渉を進めることになるでしょう。 しかし、「自由貿易協定」そのものについては おそらく締結の方向に向かうと思われますし、 その他の交渉においても 英国経済を著しく停滞させてしまうことは EUにとっても好ましいことではありませんから、 それなりに時期を選びながら、 ――言い換えると、域内各国の選挙日程や 「離脱派」の動きなどを見据えながら―― 遅かれ早かれ「大人の決着」がなされていくものと思われます。 結論的には、英国のEU離脱が、 世間で取り沙汰されているような 世界経済の大きな混乱ないし低迷要因になることはないし、 これを機にEUが崩壊に向かうなどということもない と考えています。 ただ、離脱が実行されれば、 それがきっかけとなって、 長期的には、英国経済の国際的な地位の低下が 徐々に進行していくことは 避けられないとは思っています。 残されるもの――それは「円高」 「それなら、心配はいらないね」 ということにはならないのが、 “日本にとって”の「離脱問題」です。 というのは、今回の離脱騒動で 一気に進行した円高が、 新たな1つの水準として、 定着してしまう可能性が高いからです。 さきほど「今でも言える2つのこと」と書きましたが、 この「円高の定着」というのが、 その2つ目にほかなりません。 離脱騒ぎで英国(ポンド)や EU(ユーロ)からお金が逃げだして、 ドルや円に向かっていきました。 その結果、ポンドやユーロに対して ドルが上昇し、さらにそのドルに対して 円が上昇するということが起きました。 今後、英国とEUとの間で「離脱交渉」が行われ、 一定の方向性が見えてきたとしても、 それを期待して、お金が、円から ポンドやユーロへと戻っていって 元通りになるかといえばそれは難しい、 したがって、ドル対して円が 再びかつての円安水準にまで戻るのも 難しいと思われるからです。 なぜか―― 第1に、英国とEUとの「交渉」は 完全に決着するまでには数年を必要としますから、 仮に交渉過程で、ある程度「落し所」が 見えてきたとしても、多かれ少なかれヨーロッパには 不安定要因がかなりの期間残されることになるからです。 ですから、安全な通貨としての「円への志向」は なかなか払しょくできません。 第2には、そういう不安定さを配慮して、 アメリカの金利再引き上げが さらに延期される可能性があるからです。 これは、金利引き上げによってドルが上昇することを見込んで ドルを持っていた投機筋に 「ドル売り=円買い」を促す要因になります。 こうして、現在の1ドル=101~105円という水準が 定着してしまうことになれば、安倍政権下で 一部大企業に見られた「円安バブル」ともいえる現象は 完全に終止符を打たれることになります。 その意味では、英国のEU離脱は、 アベノミクスに「最後のとどめをさす」役割を 担うことになります。 これを機に、円安への甘い期待を捨て、 日本経済は「新しいあり方」を求めて 模索を始めなければなりません。 国民がそのことに気づけば、 それが参議院選挙の結果にも 影響することになりますが、 はたしてそれはどうでしょうか。 日本国民の問題意識が問われます。 ”
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山口ブログ№7 [2016.5.31]
“世論と政府、どっちが狡猾なのか ~消費増税先送りが意味するもの~ 増税延期で政権支持率大幅アップ 安倍首相は来年4月に予定されていた 消費増税の再延期を決めました。 「再び延期することはない。 ここで皆さんにはっきりと そう断言いたします」と 14年11月に発言したことも、 「必ずや」(増税が可能な)「経済状況をつくり出す」 と断言したことも棚に上げ、 本人は何ら責任を取らないままの再延期です。 サミットの場で「リーマンショック前後に似ている」と 発言し、この現状判断を各国首脳も「共有」したから という理由で、増税再延期を正当化しています。 でも、これが「こじつけ」でしかないことは だれの目にも明らか。各国首脳や外国メディアからも 「こじつけ」ぶりに批判が上がっています。 何よりも、政府自身がいまだに日本の景気は 「ゆるやかな回復が続いている」としています。 この景気判断と増税再延期は明らかに矛盾しています。 政府は、この景気判断を取り下げて、 素直に「日本の景気は悪化しつつある。 ここで増税するのは危険だ」と言うべきです。 それを言わないのは、ただただ 「アベノミクスが失敗した」と 批判されることを恐れているからにすぎません。 こんな政権を国民はどう思っているのか。 今回の決定で、少しは政権に批判的な人たちが増えるのでは ――と思いきや、結果は真逆。 直近の世論調査で政権支持率は大幅にアップしました。 政権としては大成功。「筋が通ろうが、通らまいが、 国民は増税再延期を喜んでいる。これで参議院選挙も安泰」。 安倍首相はそう思っているに違いありません。 「世論誘導なんてチョロイ」と思っているかもしれません。 しかし、ちょっと見方を変えると、 この事態はまったく逆に見えます。 というのは、今回の決定は、 安倍政権の方が「世論によって見事に誘導されている」 ともいえるからです。 「世論」に誘導される安倍政権 「再び延期することはない」と断言した首相が、 なぜ再延期を決定せざるを得なくなったのか。 それは4月増税に反対する世論が高まってきたからです。 共同通信社が4月末に行った世論調査では 「反対」が64.6%。 昨年12月調査の50.0%から大幅な上昇です。 同調査では「アベノミクス」で 景気回復を「実感していない」との答えも 81.4%に達していて、 このまま消費増税の再延期なしに 参議院選挙に突入すれば、 国民の反発を招いて与党が思わぬ「敗北」を喫する 可能性さえあったのです。 こんな具合に、最近の安倍政権では 世論に押されて「妥協」を余儀なくされる という事態が続いています。 最初は冷たい反応をしていた保育園・保育士問題では、 国民からの批判の高まりに慌てて 付け焼刃的とはいえ「対策」を打ち出しました。 また、沖縄の辺野古問題では「粛々と工事を進める」と 言っていたにもかかわらず、世論の批判を無視できず、 急きょ方針を転換してひとまず工事を中止しました。 では、なぜこんな風に安倍政権は世論を気にして、 「妥協」めいたことを繰り返しているのでしょうか。 それは、集団的自衛権の行使や憲法改定という 国民にいまだ不人気な政策を実現しようとしているからです。 そのためには国民からの高い政権支持率が不可欠です。 とくに憲法改定となれば、 議員総数の3分の2を確保する必要があります。 どっちが狡猾なのか、国民世論と政権 では、国民はそういう安倍政権の意向を 受け入れてきているのでしょうか。 今回の増税再延期で、共同通信の5月末世論調査では 政権支持率が前回調査48.3%から55.3%へと 7ポイントも上昇しました。 ところが、同調査では、 安倍首相の下での改憲について 反対が54.9%にのぼり、 賛成35.0%を大きく上回っています。 日本経済新聞社とテレビ東京は 例年憲法記念日を前に世論調査を実施しています。 安倍政権誕生前には憲法を「改正すべきだ」が 「現状のままでよい」を上回っていましたが、 安倍政権誕生後は状況が一変しています。 15年4月に「現在のままでよい」(44%)が 「改正すべきだ」(42%)を逆転し、 さらに本年4月の調査では 「現在のままでよい」との回答が50%に達しました。 世論に妥協してでも政権支持率を引き上げたいと 躍起になってきた安倍政権ですが、 安倍首相が「一番やりたいこと」については 反対に世論の支持を失いつつあるというのが実態なのです。 安倍政権はあの手この手で「世論誘導」を行い、 高い支持率を得て改憲にまでもっていこうとしている。 他方、世論の側は安倍政権にエールを送ることで政策を誘導しつつ、 でも、安倍政権の本当の狙いに対してはノーを突きつけている ――安倍政権と世論、双方に「狡猾さ」を感じるのは私だけでしょうか。 とはいえ、次期の参議院選挙で改憲勢力が3分の2を獲得すれば、 安倍首相は改憲の夢に大きく近づくことになります。 3分の2を取れなければ、 安倍政権は世論に妥協しただけで、 肝心の目的は果たせなかったことになります。 参議員選挙の結果が待たれます。 立教大学教授・スモールサン主宰 山口義行 追伸) 私が企画、出演しているBS11「中小企業ビジネスジャーナル」は 多くのスモールサン企業の協賛で成り立っています。 今回協賛企業として紹介したいのは、株式会社晃商。 とくに同社が経営する「焼肉の天壇(てんだん)」です。 天壇は1965年に京都で誕生した「焼肉の名門」です。 伝統の味と行き届いたサービスが魅力で、店内の雰囲気も素敵です。 京都祇園本店はスモールサン・ゼミ京都の会場としても 使わせていだたいています。 東京なら銀座店と赤坂店があります。 会合などで、ぜひご活用いただければと思います。 {現在、協賛企業の不足で番組継続が危なくなってきています。 「スポンサーをしてもいいよ」という企業がおありでしたら、 ぜひ私にご連絡ください。 1回の放送で15万円~30万円程度の出費で、 全国にテレビCMが流せます。格安です。 ”
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山口ブログ№6 [2016.4.6]
“新年度入りとともに株価大幅下落、なぜ? ~マイナス金利政策の“2つの不思議”~ 新年度入り1週間で日経平均1000円下げ 新年度入りした途端、 株価が大幅に下落するという状況が続いています。 3月31日終値16758円をつけた日経平均は、 新年度入りとともに下落し続け、 4月6日の終値は15712円と、 再び16000円を割り込んだ水準で低迷しています。 新年度入り早々の株価大幅下落―― なぜ、こういうことが起きているのか。 今回のブログではその解説を試みます。 景気失速懸念の急浮上 今回の株価下落のきっかけになったのは、 1日発表された3月の日銀短観です。 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が たとえば大企業製造業でプラス6と 前回(昨年12月)調査を6ポイントも下回りました。 業況判断DIというのは、 景況感が「良い」と答えた企業の割合から 「悪い」と答えた企業の割合を 差し引いて求めたものです。 DI値が6ポイントも下がったのは 「よい」と答えた企業の割合が3%減って、 「悪い」と応えた企業の割合が3%増えたからです。 注目すべきはその水準です。 プラス6という水準は、 13年6月にプラス5となって以来 2年9カ月ぶりの低さです。 つまり、今回の結果は、 アベノミクスが始動した頃の水準にまで 景況感が戻ってしまったことを示したわけです。 「アベノミクスはもう用を成さなくなった」 「景気は後退局面に入ろうとしている」 ――そういう感じを抱かせたのが今回の日銀短観でした。 これを受けて株価が下落したわけですから、 これはきわめて正常な反応だったといっていいでしょう。 海外からの需要は円安誘導前の水準に逆戻り では、日銀短観が示した景況感悪化の背景には 何があるのでしょうか。 2つあると考えられます。 その1つは中国景気の失速を背景とした海外経済の悪化です。 それは、日銀短観でいえば、 海外の製商品需給判断指数(DI)に示されています。 このDIは、「需要超過」と答えた企業の割合から 「供給超過」と答えた企業の割合を引いた値です。 このDI値がマイナス11と 前回調査から2ポイント悪化しました。 マイナス11という水準は 2013年3月調査以来3年ぶりの低さです。 つまり、海外からの需要は、 安倍政権が円安誘導を開始する以前の水準にまで 下がってしまったことを示しています。 一時1ドル=109円台 日銀短観が示した景況感悪化の背景にはもう1つ、 円高の進行があります。 円高は日銀短観発表以降も加速していて、 5日のニューヨーク外国為替市場では、 一時1ドル=109円台後半にまで進みました。 約1年5カ月ぶりの円高水準です。 なぜ円高が進行しているのか。 1つは、FRBは「予定していた金利引き上げを実施できない」 という見方が広がっているからです。 昨年12月にFRBは金利を引き上げましたが、 その際今年は4回程度金利引き上げを実施するとしていました。 そこで、アメリカの金利が上がればドル高になると見込んで、 世界中にばら巻かれていた資金がアメリカ(ドル)に戻ってきました。 ところが、アメリカの経済が予想ほど強くなく、 世界景気も悪化が懸念されている状況では アメリカも金利を上げられなくなってしまい、 春に予定していた金利引き上げも断念しました。 「今年は金利引き上げを1回もできないのではないか」 という声まで出ています。 「金利引き上げ→ドル高」を期待して ドルで資金を保有していた投資家たちは、 それが無理だということになれば、 ドルから離れて他の通貨に乗り換えようと動くことになります。 その際、もともと大幅な円安が進んでいた円であれば 「今後これ以上円安になることはない、 とすれば、円安が起きてドルに戻した時に損をする心配もない」、 ということで、 ドルを売って円に買おうという動きが活発になったわけです、 こうして、円高ドル安が進みました。 マイナス金利政策の2つの不思議 こうした動きが強い中では、日銀が円安方向に相場を戻そうとして マイナス金利政策を実施しても効果はありません。 本来であれば、マイナス金利政策で日本の金利が下がれば、 資金は日本からアメリカに流れますから、 ドル高円安に相場は振れるはずですが、 0.1%くらい金利が下がったくらいでは 上記のような国際的な資金の流れを変えることはできません。 反対に投機筋は、「マイナス金利政策を実施しても 日銀は円高を止めることができなかった」という事実に着目して、 今後円高が進んでも「もはや日銀は打つ手なし」と判断し、 安心して円買いを進めました。 結果としてマイナス金利政策を実施したことで、 ますます円高が進んでしまったのです。 それでも、投機筋は「もしかしたら、 日本政府が円売りドル買いという為替介入を行なって、 円安方向に相場を戻そうとするのではないか」と 心配していたのですが、 昨日安倍首相が自ら 「通貨金利下げ競争を避けるべきだ」と発言したことで、 「日本政府が為替介入する心配はない」と ますます安心させてしまい、 一気に1ドル=109円台まで円高が進んでしまったのです。 黒田日銀総裁も安倍首相も「円安にしたい」と思っているのに、 「まったく反対の役割を果たしている」のだから、 リーダー失格だといわざるをえません。 マイナス金利政策を実施したのに、 円安ではなく、反対に円高が進んでいくというのは、 一見不思議ですが、 マイナス金利についてはもう1つ不思議なことがあります。 それは、マイナス金利政策を実施したのに、 大手銀行が住宅ローンを引き上げると発表したことです。 マイナス金利政策を受けて、 銀行は当初は住宅ローン金利を引き下げたのですが、 その結果どんどん借り換えが起き、 他方新規のローンが増えないため、 銀行は一方的に利益が減っていくという状況に 追い込まれてしまいました。 そこで、「せめて10年固定の金利だけは上げさせてください」と なったわけです。 ヨーロッパでもマイナス金利政策を実施してから、 一部の住宅ローン金利が上がるということが起きています。 無理な政策は結局「負の効果」を生んで、 実体経済を傷つけます。 私は、黒田さんや安倍さんに辞めてもらうことが 「最大の景気対策」だと思っているのですが、 これは「言いすぎ」でしょうか。 ”
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山口ブログ№5[2016.2.4]
“「空砲」の“弊害” ~マイナス金利政策の負担は国民に!~ 1.「三日天下」 前回の山口ブログ№4 「マイナス金利政策は“空砲”だ!」(2016.1.30)で書いたように、 日銀のマイナス金利政策は実質的には効果がなく、 その意味で「空砲」でしかありません。 政策発表後1週間もしないうちに こうした認識が広がり、 一時上昇した株価も下がり、 円安方向に一旦は大きく振れた円相場も 再び円高方向に戻ってきてしまいました。 2月4日には早くも 株価も円相場もマイナス金利発表前の水準に 戻ってしまっています。 市場の反応という意味での「効果」も、 まさに「三日天下」で終わったことになります。 このように「効果」がない政策であるにもかかわらず、 その「弊害」の方はすでに現れ始めています。 私たちが銀行から受け取る金利が減る。 また銀行に支払う手数料が引き上げられる。 ――そういう事態が起きてきているからです。 なぜ、こういうことになるのか、 またこうした弊害は今後も広がるのかなどについて、 以下に私の見解を述べたいと思います。 関心のある人は読んでください。 2.前回の復習から たんなる「空砲」でしかない政策のために、 なぜこういうことが起きるのか。 これを理解するために、 まずは前回書いたことをちょっと復習しておきます。 マイナス金利が実施されると、 銀行は新たに日銀に国債を売って得た資金を 日銀に預金として積んでおくと 「お金を取られる」ことになります。 かといって、借入需要がないから、 その資金を貸出に回すことはできません。 また、ドルに変えるのにもリスクがあります。 銀行にとって、一番いい方法は、 日銀に国債を売らないことです。 日銀は、銀行が国債を売ってくれなければ、 「資金供給を増やす」量的緩和政策が 継続できなくなってしまいます。 それでは困るので、 日銀はマイナス金利分の「色をつけて」、 民間銀行から通常よりも高い価格で 国債を買い上げることになります。 このことは、言い換えると、 マイナス金利になっても 銀行には「損」は起きないということです。 そうだとすれば、銀行は マイナス金利政策が施行されたからといって、 無理に貸出を増やす必要もなければ、 為替リスクを負ってまでドルに変える必要もない ということになります。 これまでどおり、国債の売却代金を 日銀預金として積み増しておいても 「問題なし」ということになります。 だったら、結局何も変わらないじゃないか―― というわけで、 今回の措置は「空砲」だというのが、私の見解です。 3.銀行を「国債の買い手」として見ると 以上は、国債を売る側として銀行を見た場合です。 他方、銀行は国債を買う側でもあります。 国民や企業から預金を預かって、 銀行はその資金で国債を大量に買ってきました。 今後もいい貸出先が見つけられない以上、 預金者に利子を支払うためにも、 国債購入を続けざるを得ません。 ところが、その国債の価格が、 日銀が「色をつけて」買い上げるために、 その分跳ね上がってしまいます。 その影響で、銀行が市場から国債を買う際にも 高い代金を支払わなければならなくなります。 その結果、国債購入という形で資金を運用した際の 「運用利回り」が低下してしまうことになります。 つまり、国債を売る側としては、 日銀の今回の措置で損は起きないのですが、 国債を買う側としては 今回の措置で銀行に損が起きるのです。 4.負担を背負わされるのは国民 そこで、銀行はその「損」、つまり その運用利回りの低下(利益の減少)を補うために、 私たちの預金金利を引き下げようと考えます。 私たちに支払う預金金利を引き下げれば、 国債運用の利回りが下がっても 今までどおり 預金で集めた資金を国債購入に当てても「問題なし」 ということになるからです。 というわけで、銀行は預金金利の引き下げ、 さらには私たちが銀行に支払うさまざまな手数料を 引き上げたりすることになります。 これは銀行にとっては「合理的」なことですから、 この動きは広がっていく可能性が高いといえます。 黒田総裁は「マイナス金利幅をさらに大きくするかもしれない」 と言っていますが、もしそんなことをすれば 預金金利の引き下げなどもさらに大幅に行なわれることになります。 これは、マイナス金利政策という 実体経済に効果のない「政策の負担」を、 国民が負わされるということにほかなりません。 もちろん、住宅ローン金利や企業への貸出金利が 下がる可能性もありますが、 住宅を買おうとしていない人や、 借入を必要としていない企業にとっては、 そのメリットはなく、 一方的に「損」を負わされるだけです。 マイナス金利政策を発表して 一時株が上がったせいか、 安倍内閣の支持率も上がったようですが、 国民は上記のことを理解していないのだと思います。 「知らぬが仏」とはこのことか――と思ってしまいます。 それからもう一つ、 本当に預金者のことを考えているのなら、 本来真っ先に銀行協会や信用金庫協会が、 黒田日銀に抗議すべきなのです。 それができないのは、いまだに 「おかみ」意識が抜けないからです。 マイナス金利政策を好感して 安倍政権の支持率アップに貢献する国民。 日ごろ儲けさせてもらっている預金者より 黒田日銀総裁の顔を立てることの方を 重視する金融業界。――もう、ため息しか出ません。 ”
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山口ブログNo.4「マイナス金利政策は“空砲”だ!」2016.1.30
“日銀のマイナス金利政策は「空砲」だ! 皆さん、新聞などでご承知のように、 昨日(29日)日銀はマイナス金利政策を打ち出しました。 黒田日銀総裁が打ち出す新政策は たびたび「バズーカ」などといわれてきましたが、 今回のマイナス金利政策は いわば「空砲」でしかないというのが私の見解です。 以下、興味のある方はお読みください。 現在、日銀預金はおよそ250兆円あります。 そのうちの238兆円には0.1%の金利がつきます。 残りの12兆円は「準備預金制度」といって、 法律で銀行が日銀に預金として置いておくことを義務付けられた額 ――これを「所要準備額」といいます――で、 この部分については金利がつきません。つまり、ゼロ金利です。 今回の日銀の措置は、以上のところまではそのままにして、 新たに銀行が日銀預金を積み増したら、 その部分についてはマイナス0.1%の金利をつけるというものです。 したがって、今後銀行が日銀に国債を売って、 その代金を日銀預金として積み増すと、 日銀に「お金(0.1%分)を取られる」ことになります。 結果として、国債を売れば売るほど、 日銀預金全体から銀行が得られる金利は少しずつですが、 低下していくことになります。 このことがどういう影響を与えるかですが、 1.企業や個人への民間銀行の貸出は増えるか――→増えない 民間銀行が日銀に預金すると「お金を取られる」から、 新たな国債の売却代金については、 これを日銀預金にしないで貸出に回すのではないか。 そんな期待がありますが、そうはいきません。 なぜなら、そもそも企業や個人の借入需要がないからです。 借入需要があったらとっくに銀行は貸出を増やしていたはずです。 つまり、今回の処置は実体経済にはほとんど影響を与えないということです。 したがって、中小企業には実質的な影響はありません。 2.円安誘導に役立つか――→効果は限られている 民間銀行が日銀に預金をすると「お金を取られる」からと、 国債の売却代金を日銀預金にしないでドルに変えれば、 円安を引き起こすことになります。 しかし、銀行は為替リスクというものを考慮しなければなりません。 銀行が国債の売却代金をどんどんドルに変えて、 ドル資産を増やしてしまうと、 将来円高(ドル安)が起きた時には、銀行は マイナス0.1%どころではない大きな損を被ることになります。 銀行がこれまで日銀預金を大量に抱えながらも、 それをドルに変えなかったのは、 そうした為替リスクがあるからです。 日銀預金の一部をマイナス金利にしたからといって、 突然銀行がそういう為替リスクを犯してまで 大量にドル買いに走るとは考えられません。 現在の市場の反応も円高修正に向かいつつあった傾向が ちょっと止まっているという程度です。 3.日銀が銀行から国債を買えなくなる ――→日銀は0.1%分国債価格に上乗せして買い上げるしかない。 銀行は、日銀に国債を売って得た資金を貸出に回すこともできず、 ドルに変えるのにもリスクがある。かといって、その資金を 日銀預金として積み増せば「お金を取られる」。 となれば、銀行はどうすべきか。 一番いい方法は、日銀に国債を売らないことです。 つまり、マイナス金利などということをすれば、 日銀は国債を買えなくなり、結果として、 「量的緩和政策」自体ができなくなってしまうのです。 もちろん、それは困るので、 日銀はマイナス金利分の「色をつけて」、 民間銀行から通常よりも高い価格で 国債を買い上げることになります。 この点については、日銀自身が今回の措置について、 「マイナス金利分だけ買入価格が上昇(金利が低下) することで釣り合うので、買い入れは可能」と 解説していることからも明らかです。 このことは、言い換えると、 銀行はマイナス金利になっても「損」は起きないということ、 そのように日銀がやってくれるということです。 そうだとすれば、銀行は マイナス金利政策が施行されたからといって、 無理に貸出を増やす必要もなければ、 為替リスクを負ってまでドルに変える必要もない ということになります。 これまでどおり、国債の売却代金を 日銀預金として積み増しておいても「問題なし」ということになります。 だったら、結局何も変わらないじゃないか―― ”
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山口ブログ№3「年明け早々の株価急落に思う」2016.1.8
“年明け早々の株価急落に思う ――以下、かなり長い文章ですが、 関心のある方はお読みくださいーー  昨年12月30日に19,033円をつけた日経平均が、 1月4日の大発会以来4日連続で下落しました。 大発会から4日連続の下落は21年ぶりのことだそうです。 しかもその下落も大幅で、1月7日の終値は17,767円。 たった4日間で1,266円も下落しました。 8日も引き続き下落し、17,697円で引けました。 株は上がったり下がったりが当たり前ですから、 そのたびにコメントする必要もありませんが、 この大幅な落ち込みについては、以下に簡単に 私の「思うところ」を述べてみたいと思います。 というのは、この株価下落は 「北朝鮮の核実験の影響」などでは断じてなく、 明らかに世界経済の景気局面の変化を 反映していると考えられるからです。   最近の日本株下落の直接の要因は3つあります。  1つは、アメリカ経済の現状と先行きに 「不安」が生じていることです。 その「不安」の背景には世界景気の局面変化があります。 中国経済の落ち込みをきっかけにした世界経済の停滞、 しかもそれが長引きそうだという予測が 原油価格の下落を引き起こし、 それが米国エネルギー産業の収益悪化を生んで 米国株の下落を引き起こしています。 また世界経済の悪化とドル高を反映して アメリカの製造業が元気を失っています。 米国製造業の景況を示すISM製造業景況指数が、 11月、12月と2か月連続で 「活動の拡大と縮小の境目」である50を割り込みました。 1月4日に発表された12月の指数は48.2です。 これはなんと2009年以来の低水準です。 さらに、先月FRBが実施した「利上げ」の影響か どうかはまだわかりませんが、 最近は住宅ローン申請件数が減少してきています。 こうした事情を反映して、 アメリカ経済の現状と先行きに悲観ムードが漂い始めました。 このことが米国株(ダウ平均)の下落を引きおこし、 これが日本株の下落に波及しているという関係にあります。   2つ目は、いうまでもなく 中国経済の落ち込みを反映した中国株の下落と人民元安です。 1月4日日経平均が1日で400円超下落しましたが、 その背後には同日の上海市場で株価が7パーセント近く下落し、 株取引の停止措置(サーキットブレイカー)が 実行されたことがありました。 また、7日日経平均が423円下落しましたが、 これも同日中国株が7パーセント下落し、 取引停止措置が発動されたことを反映しての下落でした。 こうした中国株の下落の背後には 中国経済の落ち込みがあることは言うまでもありません。 中国経済の落ち込みが人民元の切下げを生み、 その人民元の下落を嫌気したマネーが中国から逃げ出している、 その逃避の過程で中国株が売られているという関係にあります。   日本株下落の3つ目の要因は、円高の進行です。 昨年12月号のスモールサンニュースの「景気を読む」で、 アメリカの「利上げによって新興国から資金が流出し、 その資金が比較的安全だとされる円に集まれば、 逆に円高ドル安が進む可能性」があることを指摘しましたが、 新興国からだけでなく、 世界景気の局面変化を反映した株価下落によって、 株式投資に回っていた米国マネーまでもが、 「安全」だとみなされている「円」に避難してきており、 結果として円相場は1ドル=118円を割る局面にまで上がってきました。 そうなれば、円安依存で上げてきた日経平均が 下落するのは当然ということになります。 最後に、スモールサンニュースなどで 繰り返し指摘してきたように、 昨年夏ごろまでに機能した 「公的資金による株価の引き上げ」という 一種の「偽装工作」が限界に達している という事実についても指摘しておかなければなりません。 「年金基金」による日本株の購入がすでに 目標枠である25パーセント(資産運用の日本株構成比)に 達してしまったために、 売り圧力に抗して株価を引き上げることが できなくなってしまっているのです。 日本銀行は昨年11月以降3〜4日おきに369億円ずつ 株(株式運用ファンド)を買い続けていますが、 これだけでは株価の水準を引き上げるのには力不足です。   上記のような株価下落要因は、 それが世界景気の局面変化を反映したものであるがゆえに、 簡単には好転しません。 その限りでは、上下運動を繰り返しながらも、 水準が切りあがる様な株価上昇局面の到来は 当面期待できないと言っていいと思います。 というよりも、ようやく株価が経済実態を 反映し始めたと言ったほうがいいかもしれません。  昨年末のスモールサンニュースで 2015年の漢字は「偽」とすべきであり、 それに対し、今年は「真」とすべき状況になると述べましたが、 まさに経済の「真実」が 株式市場などにも反映され始めたという意味で、 予想通りの展開が現実になり始めたというのが 最近の株価動向を見ての私の「感想」です。 みなさんはどのように考えられるでしょうか。 ご意見ご質問感想などをお寄せいただければ幸いです。 ”
山口ブログ№3 [2016.1.8]
“「年明け早々の株価急落に思う」 ――以下、かなり長い文章ですが、 関心のある方はお読みくださいーー  昨年12月30日に19,033円をつけた日経平均が、 1月4日の大発会以来4日連続で下落しました。 大発会から4日連続の下落は21年ぶりのことだそうです。 しかもその下落も大幅で、1月7日の終値は17,767円。 たった4日間で1,266円も下落しました。 8日も引き続き下落し、17,697円で引けました。 株は上がったり下がったりが当たり前ですから、 そのたびにコメントする必要もありませんが、 この大幅な落ち込みについては、以下に簡単に 私の「思うところ」を述べてみたいと思います。 というのは、この株価下落は 「北朝鮮の核実験の影響」などでは断じてなく、 明らかに世界経済の景気局面の変化を 反映していると考えられるからです。   最近の日本株下落の直接の要因は3つあります。  1つは、アメリカ経済の現状と先行きに 「不安」が生じていることです。 その「不安」の背景には世界景気の局面変化があります。 中国経済の落ち込みをきっかけにした世界経済の停滞、 しかもそれが長引きそうだという予測が 原油価格の下落を引き起こし、 それが米国エネルギー産業の収益悪化を生んで 米国株の下落を引き起こしています。 また世界経済の悪化とドル高を反映して アメリカの製造業が元気を失っています。 米国製造業の景況を示すISM製造業景況指数が、 11月、12月と2か月連続で 「活動の拡大と縮小の境目」である50を割り込みました。 1月4日に発表された12月の指数は48.2です。 これはなんと2009年以来の低水準です。 さらに、先月FRBが実施した「利上げ」の影響か どうかはまだわかりませんが、 最近は住宅ローン申請件数が減少してきています。 こうした事情を反映して、 アメリカ経済の現状と先行きに悲観ムードが漂い始めました。 このことが米国株(ダウ平均)の下落を引きおこし、 これが日本株の下落に波及しているという関係にあります。   2つ目は、いうまでもなく 中国経済の落ち込みを反映した中国株の下落と人民元安です。 1月4日日経平均が1日で400円超下落しましたが、 その背後には同日の上海市場で株価が7パーセント近く下落し、 株取引の停止措置(サーキットブレイカー)が 実行されたことがありました。 また、7日日経平均が423円下落しましたが、 これも同日中国株が7パーセント下落し、 取引停止措置が発動されたことを反映しての下落でした。 こうした中国株の下落の背後には 中国経済の落ち込みがあることは言うまでもありません。 中国経済の落ち込みが人民元の切下げを生み、 その人民元の下落を嫌気したマネーが中国から逃げ出している、 その逃避の過程で中国株が売られているという関係にあります。   日本株下落の3つ目の要因は、円高の進行です。 昨年12月号のスモールサンニュースの「景気を読む」で、 アメリカの「利上げによって新興国から資金が流出し、 その資金が比較的安全だとされる円に集まれば、 逆に円高ドル安が進む可能性」があることを指摘しましたが、 新興国からだけでなく、 世界景気の局面変化を反映した株価下落によって、 株式投資に回っていた米国マネーまでもが、 「安全」だとみなされている「円」に避難してきており、 結果として円相場は1ドル=118円を割る局面にまで上がってきました。 そうなれば、円安依存で上げてきた日経平均が 下落するのは当然ということになります。 ”
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番組出演「2015」
“ 2015年12月31日(木) 文化放送 毎週月曜日~金曜日07:00~9:00[130] 番組名:「福井謙二 グッモニ」 【ニュースピックアップ】「健康保険証の番号や氏名、住所などの個人情報10万件流出」について 【福井の新聞まとめ読み】毎日新聞「『期限切れ』水道管1割 1970年代整備、耐用年数超え 収入落ち進まぬ更新」について ...”
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山口ブログ№2 [2015.9.28]
“怒りさえ覚えます―都合が悪くなったら景気判断を示さない政府(立教大山口) 調査の結果が自分たちの意向と違っていたら、ノーコメントを決め込む。 そんな政府、皆さんは信用しますか? 私は怒りさえ覚えます。 政府が毎月「月例経済報告」というものを発表していることは皆さん御存知だと思います。 9月の「月例経済報告」が示した景気の基調判断は、「このところ一部に鈍い動きもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」というものでした。 8月は「このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」というものでした。 こんな具合に、言葉遣いを微妙に変えることで、景気の変化を示すというのがこの「報告」のやり方です。とはいえ、言葉だけではわかりにくいので、政府は、その都度、景気判断を先月より「上方修正」したのか、「下方修正」したのか、あるいは「据え置き」(横這い)にしたのかを発表してきました。 「改善テンポにばらつき→一部に鈍い動き」という8月から9月への変化は、誰が見ても「下方修正」ですよね。「改善」という言葉が消え、「鈍い動き」という言葉が出てきたのですから。マスコミも「実質下方修正」と書いています。 ところが、今回に限って、政府は「前月よりも景気は弱いが、据え置きでも下方修正でもない」という意味不明のコメントをして、判断を避けてしまったのです。 こんなことは前代未聞です。一体どういうことなのでしょうか。 「(安倍晋三首相が)アベノミクス第2ステージといった直後に下方修正とはいえなかったのだろう」――日経新聞はこんな旧経済企画庁OBの言葉を載せています。そして、「経済指標が上向いたときだけ上方修正するとなれば、信頼性が損なわれかねない」と、日本経済新聞にしてはめずらしく、安倍政権を批判しています。 権力者「安倍晋三」のご機嫌を損なうようなことはやらない――権力者の顔色を伺うことばかりに神経を使う「忖度(そんたく)政治」。与党自民党からも批判が出てしかるべきですが、誰も批判しません。こんな政治が長期化すれば、いずれデータそのものも書き換えられかねません。こんな政権をまだ4割もの国民が支持しているのは、私には危険としか思えません。 もはや「緩やかな改善」という判断そのものがインチキだということを、私はくりかえし強調してきました。今回の政府の醜態ぶりは、私の指摘の正しさを物語っていると感じています。 私の主張については、 スモールサン経済解説動画「『景気を読む』を読む」(閲覧方法は事務局から会員諸氏にメールしました) あるいは10月5日(23時~24時)のBS11「中小企業ビジネスジャーナル」をご覧下さい。 ”
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山口ブログ№1 [2015.9.24] 
“「今、経済環境が大きく変わりつつある」と訴えました。 今、私たちをとりまく経済環境は大きく変わりつつある。 一言で言えば、歴史的転換点にいる。 そういう時代感をもって経営に取り組んで欲しい。 ――このことをスモールサンの皆さんに訴えたいと思い、 昨日、会員限定インターネットテレビで 経済解説番組「『景気を読む』を読む」を放映いたしました。 「快晴の連休最終日、はたしてパソコンの前にどれだけの人がいるのか」 という状況ではありましたが、 それでも100名を超える方々がご覧になられていたようで、 大変うれしく思いました。 私もフリップを14枚用意して、真剣勝負で挑みました。 「景気の現状分析」、「株価下落の背景」、「けん引役を失った世界経済」と、 ほぼ50分間喋り続けました。 ゼミ東京の町田さんからは、番組内で質問を受けもしました。 経営者の「読む力」を引き上げたい ーーこれはスモールサンの基本理念です。 そのためには「やれることはすべてやる」 という気持ちでがんばっています。 それでも、64歳になって、 「老骨鞭打つ」という感覚が日々大きくなってきています。 だからこそ、 1000人を超える会員の方に観ていただきたかったというのが本音です。 昨日見損なった方々は、 10月5日(23時~24時)に放映されるテレビ番組 BS11「中小企業ビジネスジャーナル」をぜひ観してください。 私が経済情勢を解説するという、昨日と同じ試みを番組で行います。 ”
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執筆活動「2014」
“ ●「日本の『ものづくり魂』が果たす国際貢献」『mundi』NO.14、JICA、2014年11月号 ●「法人税減税は必要か 中小企業増税とセットでは経済成長を妨げる」『エコノミスト』2014年9月30日号 ●「法人税減税と中小企業増税~株価対策と化した成長戦略」『世界』2014年8月号 ●「座談会: 第三の矢 成長を知らない『成長戦略』」『文芸春秋』2014年7月号 ●「中小企業を押し潰すアベノミクス」『世界』2014年2月号 ●「金融機関は『情報・安心』の提供を 中小企業の“事業創造”を支援せよ」『金融ジャーナル』2014年1月号   著書 KADOKAWA・中経出版 2014年2月22日 初刊 『社長の経済学』   『スモールサンニュース』 2014年12月号 『巻頭論文 アベノミクスの継続は"信任"されたのか ~「自民勝利」報道への疑問~』 『巻頭レポ 大崎まこと(経済ジャーナリスト) スモールサン巻頭合同ゼミ大会 ~中小企業のネットワークをより広く、よの深く~』 『山口義行の「景気を読む」第70回【14年度はマイナス成長 ~来年の注目点はアメリカの金利引き上げのタイミング~】 ・14年度はマイナス成長 ~スモールサン2月号の予想が的中 !~ ・アベノミクスの「景気押し下げ効果」がますます鮮明化してきた! ・注目すべき「アメリカの金利引き上げ」の影響』 『連載/知っとこNews 自民が「勝利」すれば、円安は1ドル130円に向かう?! ~円安、一時119円台~ 』 2014年11月号 『巻頭論文 大義なき解散・展望なき解散  ~一層の物価高・コスト高を「良し」とするか否かが問われる「選挙」だ!』 『巻頭対談 石川大雅×山口義行 人を生かし、会社を元気にする「能力開発」とは何か』 『山口義行の「景気を読む」第71回2期連続マイナス成長の衝撃 ~高まる景気後退懸念~ ・7-9月GDP成長率マイナス1.6%~消費税再増税は先送り、解散総選挙へ~ ・年度後半景気悪化が鮮明化する可能性高まる~円安加速でさらなる消費落ち込みも~ ・海外景気も低迷』 『連載/知っとこNews 日銀追加緩和 ~株価とメンツの重視で、国民と中小企業の首を絞める黒田日銀総裁~』 2014年10月号 『巻頭対談 日本の「ものづくり魂」が途上国の未来を明るくする ~株式会社タイワ精機とカンボジアと外務省・JICA~』 『巻頭論文 中小企業への外形標準課税の導入、来年度見送り ~油断大敵! 再来年度はさらに大幅な増税に!~』 『山口義行の「景気を読む」第70回景気は「後退局面」入り!? ~安部政権と黒田日銀総裁が"政策転換"に躊躇すれば、スタグフレーションへ突入~  ・「下方への局面変化」を示した政府の景気指標~中小企業経営者は「景気下降」を踏まえて経営計画の立直しを~ ・円安の評価を巡る経済界と日銀のズレ~円安に悲鳴を上げる経済界と「円安はマイナスではない」と言い続ける黒田日銀総裁~ ・最大のリスク要因は、「アベノミクスの敗北」を認めようとしない安倍首相と黒田日銀総裁~このまま行けば、スタグフレーション入りは必至~ 』 『連載/知っとこNews 今月は「円安」関連の3つです。 1.大企業も「105円を上回る円安は困る」が多数 2.経団連会長も「これ以上の円安は日本経済にマイナス」 3.黒田日銀総裁「円安はマイナスではない。更なる緩和も」』 2014年9月号 『巻頭対談 ...”
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番組出演「2014」
“ 2014年12月25日(木) 文化放送 毎週月曜日~金曜日07:00~9:00[82回] 番組名:「福井謙二 グッモニ」 【ニュースピックアップ】「新内閣発足、安倍総理会見『経済重視路線』」について 【福井の新聞まとめ読み】朝日新聞「『ベンチャーとタッグ』『大企業追求』『提携・出資 知恵を吸収』」について ...”
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第56回山口教授のコレが言いたい!2011年
“「日本化」と「アメリカ病」 ~「失われた10年」に悩まされるアメリカ~  今アメリカで「日本化」が話題になっている。といっても、「日本文化を取り入れよう」とか、「日本人のやり方を学ぼう」といった話ではない。「アメリカも日本のようになってしまうのではないか」という懸念から、「日本化」が話題になっているのである。 失われた10年  1980年代後半、日本は不動産バブルを体験し、その不動産バブルがもたらすさまざまな景気浮揚効果に日本中が酔いしれていた。しかし、「宴」は長く続かない。バブル経済は実質3~4年で終わり、90年代に入ると、不動産価格は急落をはじめた。  それと同時に日本経済は深刻な不況に突入し、以後2003年ごろまで長期の低迷にあえぐこととなった。この長期低迷期を指して、多くの人たちが日本経済の「失われた10年」と呼んだことは周知のところである。  住宅バブルに酔いしれ、その後リーマンショックとともに深刻な不況に見舞われたアメリカ経済。リーマンショックからすでに3年も経過したにもかかわらず、景気浮揚どころか「二番底」懸念がいまだに叫ばれている。  そんな中にあって、「アメリカもバブル崩壊後の日本のように、『失われた10年』を体験することになるかもしれない」という懸念が、いよいよリアリティーをもって語られ始めている。奇妙なのは、アメリカ人たちがこうした懸念を、「アメリカ経済も“日本化”してしまうのではないか」といった具合に表現することである。 なぜ「日本化」と呼ぶのか  もともと「失われた10年」という言葉は日本に向けて言われたものではない。それは70年代後半に発生したバブルが崩壊し、その後長期の経済低迷にあえいでいた中南米諸国に向けて言われた言葉である。「80年代は中南米の失われた10年である」といった具合である。  その言葉をそのまま不動産バブル崩壊後の日本に当てはめて、当時の日本経済の低迷ぶりを「失われた10年」と称したのである。実際には日本経済の低迷はおよそ14年に及んだのだが。  大きなバブルが崩壊すると、10年ほど経済が停滞する。これは、「歴史が示す法則」なのである。それは決して日本に特殊な現象ではない。それにもかかわらず、それを「日本化」と呼ぶアメリカ人たち。その背後には、2つの心理が働いているように思われる。  その1つは、「失われた10年」をバブル崩壊に伴う不可避的な現象だと見做(みな)したくないという心理である。彼らは、それをあくまでも政策上の失敗によるものだと考えたいのである。実際、オバマ大統領は就任後初の会見で、こう語った。  90年代、日本は大胆かつ迅速な対応をとらなかったので、いわゆる「失われた10年」に苦しみ、ほとんど成長できなかった。(2009年2月9日の会見、於ホワイトハウス)  バブル崩壊後、日本は政策的に失敗したが、アメリカはそんな失敗はしない。だから、アメリカは日本のように「失われた10年」には陥らないのだというわけである。  そしてもう1つは、アメリカという国の「底力」を信じたいという心理である。「バブル崩壊後10年も停滞したのは日本が弱々しい国だからだ。その点アメリカは違う。だから、アメリカは『失われた10年』とは無縁だ」――そう信じたいのである。  こうした状況を見ていると、自分のことや自分をとり巻く環境を客観的に認識することがいかに難しいかをあらためて感じさせられる。たしかに、「自分だけは特別だ」と思いたい心理は誰にでもある。しかし、そのことが事態を客観的に分析する能力を低下させ、結果として対応を誤らせることになる。私はこれを「アメリカ病」と呼んでいるのだが、現在のアメリカにとって、この病はかなり深刻な状況だといわざるをえない。 「アメリカ病」を抜け出せないアメリカ  客観的にみれば、アメリカの状況が当時の日本よりはるかに厳しいことは明らかである。  例えば、消費。アメリカの場合は「貯蓄率がマスナス」の状況――すなわち消費者たちが貯蓄以上に借金をして、それで消費を続けている事態――が長く続いていた。それが可能だったのは、消費者たちが住宅を担保にして銀行から借金をし続けられるほどに住宅価格の上昇が続いていたからである。あるいは、手持ちの株を売ればいつでも借金が返せるほどに、株価の上昇が続いていたからである。  したがって、住宅価格の下落や株価の下落が引き起こす消費抑制効果は、不動産バブル崩壊時の日本とは比べ物にならないほどに大きい。日本はいっときバブルに酔いしれたとはいえ、その時期も含めて貯蓄率は「プラス」であった。  それだけではない。日本とアメリカとでは輸出競争力が違う。バブル崩壊後の低迷から日本経済を引っぱり上げたのはやはり「輸出」だった。中国経済の躍進が日本の輸出主導型回復を後押ししたという「追い風」も作用した。  たしかに、オバマ政権も輸出倍増を掲げてはいる。しかし、いまだその成果はみられない。日本とは輸出競争力が違うからである。しかも、世界経済の成長は新興国も含めて今後スローダウンすることが予測されている。アメリカの輸出をめぐる環境が当時の日本よりはるかに厳しいことは明らかである。  そして、今1つは財政問題。現在アメリカの財政赤字はGDP比で戦後最大の水準に達しており、国債の格下げまで起きている。そんな中では財政出動も大きく制約される。この点でも、不動産バブル崩壊時の日本より厳しい状況にある。  このように客観的には日本のバブル崩壊後よりはるかに厳しい状況にありながら、アメリカ人はいまだに「日本化するかどうか」といった観点でしか問題把握ができないでいる。だからこそ、QE2と呼ばれるむちゃくちゃな量的緩和政策を実施して、ドル価値の低下やインフレをまき散らし、世界中に迷惑をかけてきたのである。  アメリカにはもっと謙虚に現実を認識し、それをふまえた経済施策を地道に実施することが求められる。それができない以上、アメリカ帝国の凋落は続くことになる。  さて、そうだとすると、今後日本はその国際的立ち位置、アメリカとの距離関係をどう定めるべきか。将来世代のために、これをしっかり考えて行動するのが、今を生きる日本人の責務である。 (2011年10月9日執筆) (2011年/スモールサンニュース10月号より) ”
第55回山口教授のコレが言いたい!2011年
“「日本化」と「アメリカ病」 ~「失われた10年」に悩まされるアメリカ~  今アメリカで「日本化」が話題になっている。といっても、「日本文化を取り入れよう」とか、「日本人のやり方を学ぼう」といった話ではない。「アメリカも日本のようになってしまうのではないか」という懸念から、「日本化」が話題になっているのである。 失われた10年  1980年代後半、日本は不動産バブルを体験し、その不動産バブルがもたらすさまざまな景気浮揚効果に日本中が酔いしれていた。しかし、「宴」は長く続かない。バブル経済は実質3~4年で終わり、90年代に入ると、不動産価格は急落をはじめた。  それと同時に日本経済は深刻な不況に突入し、以後2003年ごろまで長期の低迷にあえぐこととなった。この長期低迷期を指して、多くの人たちが日本経済の「失われた10年」と呼んだことは周知のところである。  住宅バブルに酔いしれ、その後リーマンショックとともに深刻な不況に見舞われたアメリカ経済。リーマンショックからすでに3年も経過したにもかかわらず、景気浮揚どころか「二番底」懸念がいまだに叫ばれている。  そんな中にあって、「アメリカもバブル崩壊後の日本のように、『失われた10年』を体験することになるかもしれない」という懸念が、いよいよリアリティーをもって語られ始めている。奇妙なのは、アメリカ人たちがこうした懸念を、「アメリカ経済も“日本化”してしまうのではないか」といった具合に表現することである。 なぜ「日本化」と呼ぶのか  もともと「失われた10年」という言葉は日本に向けて言われたものではない。それは70年代後半に発生したバブルが崩壊し、その後長期の経済低迷にあえいでいた中南米諸国に向けて言われた言葉である。「80年代は中南米の失われた10年である」といった具合である。  その言葉をそのまま不動産バブル崩壊後の日本に当てはめて、当時の日本経済の低迷ぶりを「失われた10年」と称したのである。実際には日本経済の低迷はおよそ14年に及んだのだが。  大きなバブルが崩壊すると、10年ほど経済が停滞する。これは、「歴史が示す法則」なのである。それは決して日本に特殊な現象ではない。それにもかかわらず、それを「日本化」と呼ぶアメリカ人たち。その背後には、2つの心理が働いているように思われる。  その1つは、「失われた10年」をバブル崩壊に伴う不可避的な現象だと見做(みな)したくないという心理である。彼らは、それをあくまでも政策上の失敗によるものだと考えたいのである。実際、オバマ大統領は就任後初の会見で、こう語った。 --------------------------------------------------------------------------------  90年代、日本は大胆かつ迅速な対応をとらなかったので、いわゆる「失われた10年」に苦しみ、ほとんど成長できなかった。(2009年2月9日の会見、於ホワイトハウス) --------------------------------------------------------------------------------  バブル崩壊後、日本は政策的に失敗したが、アメリカはそんな失敗はしない。だから、アメリカは日本のように「失われた10年」には陥らないのだというわけである。  そしてもう1つは、アメリカという国の「底力」を信じたいという心理である。「バブル崩壊後10年も停滞したのは日本が弱々しい国だからだ。その点アメリカは違う。だから、アメリカは『失われた10年』とは無縁だ」――そう信じたいのである。  こうした状況を見ていると、自分のことや自分をとり巻く環境を客観的に認識することがいかに難しいかをあらためて感じさせられる。たしかに、「自分だけは特別だ」と思いたい心理は誰にでもある。しかし、そのことが事態を客観的に分析する能力を低下させ、結果として対応を誤らせることになる。私はこれを「アメリカ病」と呼んでいるのだが、現在のアメリカにとって、この病はかなり深刻な状況だといわざるをえない。 「アメリカ病」を抜け出せないアメリカ  客観的にみれば、アメリカの状況が当時の日本よりはるかに厳しいことは明らかである。  例えば、消費。アメリカの場合は「貯蓄率がマスナス」の状況――すなわち消費者たちが貯蓄以上に借金をして、それで消費を続けている事態――が長く続いていた。それが可能だったのは、消費者たちが住宅を担保にして銀行から借金をし続けられるほどに住宅価格の上昇が続いていたからである。あるいは、手持ちの株を売ればいつでも借金が返せるほどに、株価の上昇が続いていたからである。  したがって、住宅価格の下落や株価の下落が引き起こす消費抑制効果は、不動産バブル崩壊時の日本とは比べ物にならないほどに大きい。日本はいっときバブルに酔いしれたとはいえ、その時期も含めて貯蓄率は「プラス」であった。  それだけではない。日本とアメリカとでは輸出競争力が違う。バブル崩壊後の低迷から日本経済を引っぱり上げたのはやはり「輸出」だった。中国経済の躍進が日本の輸出主導型回復を後押ししたという「追い風」も作用した。  たしかに、オバマ政権も輸出倍増を掲げてはいる。しかし、いまだその成果はみられない。日本とは輸出競争力が違うからである。しかも、世界経済の成長は新興国も含めて今後スローダウンすることが予測されている。アメリカの輸出をめぐる環境が当時の日本よりはるかに厳しいことは明らかである。  そして、今1つは財政問題。現在アメリカの財政赤字はGDP比で戦後最大の水準に達しており、国債の格下げまで起きている。そんな中では財政出動も大きく制約される。この点でも、不動産バブル崩壊時の日本より厳しい状況にある。  このように客観的には日本のバブル崩壊後よりはるかに厳しい状況にありながら、アメリカ人はいまだに「日本化するかどうか」といった観点でしか問題把握ができないでいる。だからこそ、QE2と呼ばれるむちゃくちゃな量的緩和政策を実施して、ドル価値の低下やインフレをまき散らし、世界中に迷惑をかけてきたのである。  アメリカにはもっと謙虚に現実を認識し、それをふまえた経済施策を地道に実施することが求められる。それができない以上、アメリカ帝国の凋落は続くことになる。  さて、そうだとすると、今後日本はその国際的立ち位置、アメリカとの距離関係をどう定めるべきか。将来世代のために、これをしっかり考えて行動するのが、今を生きる日本人の責務である。 (2011年10月9日執筆) (2011年/スモールサンニュース10月号より) ”
第54回山口教授のコレが言いたい!2011年
“中小企業経営者は菅政権の「失敗」から何を学ぶべきか ~「理念」と「対話」と「信頼」を欠いた経営の危うさ~  野田新政権が誕生した。新政権の誕生で私たちの暮らしはどう変わるのか、増税はいつごろ実施されるのか、新政権下で果たして民主党は挙党体制を組めるのかなど。新政権への期待と不安がマスコミの話題をさらっている。  野田政権の政策運営については今後たびたび論評することになるだろうから、ここで通り一遍の推測を述べることは避けたい。ここではむしろ支持率の低迷に悩まされ、とうとう辞任にまで追い込まれた菅前首相の政権運営を振り返って、そのどこに問題があったのか、中小企業経営者がその失敗から学ぶとすれば、それは何なのかについて考えてみたい。 「理念」と「対話」――その欠如が菅政権の凋落を招いた  民主党は自民党から権力を引き継ぎ、菅首相は鳩山前首相から政権を引き継いだ。これは、会社でいえば、社長の世代交代、新経営陣への事業承継にあたるが、一般的に言って、事業承継時の新社長・新経営陣には、少なくとも次の2つのことが課題として課せられる。  その1つは、明確な「理念」を呈示することである。「自社の存在意義はどこにあるのか」「自社の強みは何なのか」「その強みをどう生かしていくのか」。新社長はその経営の「理念」をまずもって自分の言葉で示し、それを株主、従業員、顧客、取引金融機関など、各種のステークホルダー(利害関係者)たちと共有する。この過程を経て初めて、新社長は「社長」として認知されることになる。  いま1つは、現場との「対話」を怠らないことである。現場は常に具体的な問題を抱え、その現実的な解決策を求めている。高邁な理念を振りかざすだけでは会社は経営できない。新社長は自ら現場に赴き、そこで問題を発見し、解決の糸口を見いだしていく。そうした現場重視の姿勢とコミュニケーション能力が新経営陣に対する現場の信頼を醸成し、スムーズな事業承継を可能にする。  かつてカルロス・ゴーン氏が会社再建のために社長として日産自動車に乗り込んできた時、赴任後真っ先に現場を徹底的に回ったことは周知の事実である。「日本人社長の誰もこんな現場まで来てくれなかった」と従業員たちは驚き、そんなゴーン氏に信頼を寄せた。それがその後の会社再建の原動力となっていった。  明確な「理念の呈示」と綿密な「現場とのコミュニケーション」――会社の事業承継時に必要とされるこれら2つのことを、菅前首相は政権スタート時から全くと言っていいほど怠ってきた。菅政権を特徴づける政策提示の「唐突さ」とそれへの国民の拒否反応がそのことを端的に物語っている。 菅政権に付きまとってきた「唐突さ」  例えば、菅首相が参議院選挙前に「唐突」に打ち出した消費税増税はその典型である。消費税を引き上げてどういう国づくりを進めようとしているのか。肝心な国家理念が全く示されないまま、「10%」という数字だけが提起された。消費税増税の影響などについて、国会議員や経済の現場を担う経営者たちと「対話」しようという姿勢も全くなかった。  それゆえに、税率や逆進性対策を巡って、首相の発言が選挙中に二転三転するという醜態をさらけだすことになり、このことがまた有権者の怒りを買って、与党民主党は参議院選挙で大敗を喫した。その結果は「ねじれ国会」。この「ねじれ」に悩まされながら、菅前首相は辞任への道を歩み続けることとなったのである。  この唐突な増税提案の背後には、「ギリシャ危機」があった。ギリシャ危機を目の当たりにした当時の菅財務大臣は、「財政再建に取り組まなければ、国際通貨基金(IMF)が箸(はし)の上げ下ろしまでコントロールすることになりかねない」と懸念を示したという。  しかし、このコーナーでもすでに述べたように、少々冷静に考えてみれば、右の懸念が一種の「早とちり」であることは誰でも気づくことである。なぜなら、日本国債はすべて円建てであり、国債償還に必要なのは「円資金」であって、「外貨」ではないからである。したがって、日本政府がIMFに融資を請う理由はなく、そうである以上、当然のことながら「IMFの監視下」に置かれることもない。  本気で「IMFの監視下」に置かれることを心配するのであれば、警戒しなければならないのは、「財政赤字」ではなく、むしろ対外的な「経常収支赤字」である。経常収支が赤字化すれば、いずれ外貨不足が起き、IMFからの融資を仰ぐ必要も生じる。そうなれば、結果として日本が「IMFの監視下」に置かれるという事態も起きかねない。  ちなみに、最近の新聞論調は、この2つの「赤字」を意図的に同一視して、財政危機を煽(あお)っている。例えば、日本経済新聞の次の記述はその典型である。 「日本の債務が直近5年間と同じペースで増え続けると仮定すると、2015年に277%となり、終戦直後の英国の記録を抜く計算となる。英国はその後、インフレや通貨安に見舞われ、外貨準備が枯渇した英政府は、70年代にIMFの緊急融資を受けた」(2011年2月12日付)。 ...”
第53回山口教授のコレが言いたい!2011年
“被災中小企業への支援を急げ! ~地域金融機関の“魂”が問われる二重債務問題~  被災中小企業から悲惨な現状を訴えるメールが寄せられている。震災で会社を失い、顧客を失った被災企業が事業継続や会社再建に取り組むもうとしている今、それを阻んでいるものは何なのか。また、その困難を乗り越えるためにはどんな支援が必要なのか。その際、スモールサンはどんな貢献ができるのか――最近の数カ月間、この問題が私の頭を巡り、問題解決のための糸口を求めていろいろな所に出向く日々が続いていた。 放射能避難地域の中小企業を取り巻く現状 「原発から半径10キロメートルもない距離に会社も自宅もあったために、ほとんどすべてを失ってしまったような状態でおります。社員も7つの県に避難中で、業務遂行がほとんどできないような状態です。地元商工会加盟600社中、事業継続の意思を示したのが15社だけで、このままでは原発により全滅させられてしまいます。国も東電も現場の現実をどのくらい理解しているのか甚だ疑問です。  しかし、私はこんな状況でもとにかくやり続ける意思だけは明確に持っておりますので、どうしたら会社の活動が再開でき、従業員を再び雇用して地域の人たちにサービスを提供できるようになるか、アドバイスをいただければと思っております。つべこべ言わずにとにかく自力で動くしかないと思っております。スモールサンはぜひ入会させていただきます。よろしくお願いいたします」。  これは本年6月末に、福島県のある中小企業経営者から私の下に寄せられたメールである。この経営者は現在仙台市に在住し、会社の再建をめざして奔走している。  もともと地域密着型の企業であり、顧客も避難中のため、現在8割の顧客を失った状態にある。しかも、現状ではこの企業への支援はほとんど行われていない。東電から「仮払金」として250万円が振り込まれたが、震災によって不可能になった買掛金の支払いだけでも数千万円を要する状況下では、「焼け石に水」である。  そんな中にあっても、一部大手メーカーからは容赦ない催促の嵐だという。「すべての業務機能を奪われ、支払い決済ができないので東電の補償がハッキリするまで待ってほしいと何度も依頼しましたが、とにかく払えと。本社から何とか払わせろと指示が来ているんだと。裁判するとまで。仕方ないので、生活資金としていただいた義援金や心あるメーカーさんからいただいたお見舞い金等まで使って支払いをしました」。  これが被災中小企業を取り巻く厳しい現状である。ちなみに、銀行債務については現在1年間の返済猶予が実施されている。 スモールサンが担う「情報提供」という支援  私は頂いたメールをもとに早速中小企業庁に連絡を取り、同社が利用可能な公的支援の一覧をつくってもらって、それをこの経営者に転送した。その中にはすでにご存じの情報もあったし、実質的に使えない制度も少なくなかったが、「初めて知った」「早速調べてみます」と言っていただけた情報もあった。  また、「原子力損害賠償」の見通しなどについて、資源エネルギー庁の担当者からヒアリングをして、その情報をもって仙台に出向いて直接お会いする機会も作った。 「発生した損失のうちどこまで賠償がなされるのか」「いつ賠償金が支払われるのか」といったことは、経営者がもっとも欲しい情報であろう。その見通しが金融機関からの新規融資を左右することにもなるからである。  もちろん、私がお会いしても何かを確約できるというわけではない。しかし、こうした「情報提供」が経営者の「折れそうになる心」を支え、希望をもって頑張っていただくための一助となるに違いない。これは、そんな思いからの行動である。  仙台には、中山義活経済産業大臣政務官の秘書さんにも同行していただき、同社の相談に乗ってもらうことにした。「国はがんばる経営者を見捨てない!」――そうあってほしいし、そのことを経営者に実感してもらうことが必要だと考えたからである。 既存債務の重荷を下ろす方法がある」ことを伝える 「情報提供」の重要性は他地域の被災中小企業においても同様である。以下は、水産加工業を営んでいた岩手県のある中小企業から得た報告である。  同社は津波で会社も自宅も流され、やむなく社員全員(50名)を解雇した。経営者はそれでも会社を再建し、従業員を再雇用することを望んでいる。その希望を阻む最大のネックは、金融機関に残された6億円の債務だという。これがあるために新たな借り入れがまったくできない状況にある。 ...”
第52回山口教授のコレが言いたい!2011年
“安易な消費税増税論に潜む危険 ~少なくとも実態を踏まえた議論を~  7月1日、税と社会保障の一体改革について、政府・与党の改革案がようやくまとまった。最大の争点となっていた消費税増税については、2010年代の半ばをめどにその税率を10%にまで引き上げることで合意がなされた。新聞社などが実施している世論調査でみるかぎりでは、今や「社会保障の財源のためなら消費税増税はやむを得ない」とする考え方が国民の間にも相当程度受け入れられつつあるようである。しかし、「増税やむなし」と回答した国民のうち一体どれだけの人たちが、消費税5%引き上げの根拠や消費税そのものの仕組み、さらにはその問題点について正確に理解しているのだろうか。 なぜ5%の引き上げなのか ~社会保障改革に充てるだけなら3%の引き上げで足りる~  そもそもなぜ消費税を5%引き上げる必要があるのか。その根拠は、「社会保障改革を進めるための財源が2015年には10兆円超不足する」とする政府の試算にある。  周知のように現在の消費税率は5%であるが、その税収は毎年およそ10兆円超に上る。とすれば、2015年に生じるとされる不足額10兆円超を賄うためには、その時までに消費税の税率をあと5%程度上乗せすればいいという計算になる。  かくして、政府からは「2015年をめどに消費税を10%にまで引き上げるべきだ」という提案がなされることになり、与党も――議員からはかなり強い異論が出されはしたが――最終的にはこの提案をおおむね受け入れることになったのである。 「社会保障は国民みんなが享受するもの。だから、その財源を国民がみんなで広く薄く負担する消費税で賄うことには合理性がある」。こう主張する人は多い。しかし、こうした考え方に立つなら、むしろ「5%」の引き上げを容認することには疑問が残る。  というのは、上に記した「不足額10兆円超」のうち、社会保障の維持・改革に必要な経費は政府の試算でも実は8兆円程度にとどまるからである。その8兆円程度の不足を賄うだけであれば、消費税は3%程度の引き上げで事足りる。  それなのに、なぜ5%も引き上げる必要があるのか。それは政府の提案の中には、消費税2%分にあたる2~4兆円の税収増で、財政赤字を減らす(基礎的収支の赤字を半減させる)ことが企図されているからである。政府の言葉を用いれば、5%のうち2%分は「財政健全化のため」の税率引き上げなのである。 「財政赤字を減らすための増税」として真っ先に消費税が対象になることの不合理 財政赤字を減らすための増税――そうだとすれば、その財源は必ずしも消費税でなければならない理由はない。むしろ消費税を真っ先に増税の対象にすることは不合理だとさえ言える。なぜなら、財政赤字拡大の原因を歳入面に限ってみるなら――つまり、無駄な財政支出があったのか、なかったのかといった問題を別にすれば――、それが近年実施されてきた所得税の減税にあることは明らかだからである。  消費税導入後今日までの間に発生した所得税の税収減は、およそ100兆円にも上ると言われている。たしかに高額所得者への高率課税が廃止され、現在では課税所得が1800万円を超えれば、何十億円を稼ぐ高額所得者であろうと税率は一律40%が適応されるにすぎないようになった。この措置で、税収の減少が生じたことはいうまでもない。  さらに課税最低限の切り下げも実施されてきたから、低所得者から得られる税収も減少した。仮にこうした歳入減が主因で財政赤字が拡大してきたのだとすれば、財政健全化のための増税としてまず検討の対象にあげられるべきは所得税であっても、消費税ではないということになる。  あるいは、いわゆるキャピタルゲイン課税のあり方にもメスが入れられてしかるべきである。現在、株の売買などで得た所得に対しては「分離課税」が適用され、何億円もうけても税率は10%が適用されるだけである。民主党はそれを20%に戻すとしていたが、いまだ実施されてはいない。財政健全化が喫緊の課題だというのであれば、このキャピタルゲイン課税の引き上げこそが先行されるべきだと思うが、なぜ消費税の増税だけが真っ先に決められるのか。これも大いに疑問である。 消費税は消費者が公平に負担するものという「幻想」  こんな疑問がかき消されて、消費税増税論が当たり前のように広がっていくのは、「消費税は消費者が公平に負担するものだ」というイメージがすでに広範囲にしみわたっているからである。しかし、このイメージは必ずしも現実を反映してはいない。  実際、消費税分を販売価格に上乗せできずにいる中小企業者は少なくない。その場合には、消費税の負担者は消費者ではなく、販売業者だということになる。消費税という名前がついているために、この税金は消費者が負担するものだと思われがちであるが、現実は必ずしもそうではなく、競争力の強い弱いによって実質的な税負担者が決まるというのが、消費税なのである。  ちなみに、中小企業経営者の中に、法人税が払えなくて首をくくる人はほとんどいない。赤字で経営が苦しい時には、法人税は課税されないからである。しかし、消費税はそうではない。業績が赤字の時も、消費税は容赦なく課税される。そういう厳しい環境の下にいる中小企業は往々にして価格競争力が乏しく、消費税分を製品価格に転化できないどころか、むしろそれ以上の値引きをも強いられている。  苦しい企業ほど、負担が重くのしかかるのが消費税である。消費税論議を行う時には、こういう現実をきちんと踏まえて論議する必要があるのだが、マスコミに登場する多くの増税論者たちにはそうした配慮はまったくみられない。  また、消費税が「公平な税金」だというイメージも同様に非現実的である。現在、輸出企業は外国から消費税を受け取ることができないために、国内の仕入れ業者に支払った消費税相当分が国から還付されることになっている。例えばトヨタの場合、その額は毎年2000億円を上回っている。 ...”
第51回山口教授のコレが言いたい!2011年
“サービサーを考える ~1通のメールから~  先日、スモールサン会員からあるメールが届き、これがサービサーについてあらためて考えるきっかけになった。 横暴さが目に余るサービサー そのメールとは下記のようなものである。 「昨日、私のクライアントに驚くべきことが起こりました。こんなことも現場では起こっているということを知っていただきたくてメールしました。  この会社は都内でドラッグストアを経営する中小企業です。最盛期は十店舗ほど営業しておりましたが、近年の低価格戦争、薬事法改正などで経営環境が変化し、採算が厳しくなりました。一昨年ごろより、取引銀行の理解をもらいながら事業再生に取り組み、不採算店はクローズをしつつ、現在は3店舗でどうにかこうにか頑張っています。  しかし、この度の震災以降の消費者マインドは東京でさえ消極的となり、前年比30%減という状況の中、そんな折も折り、昨日の夕刻に裁判所から執行官が来店し、レジの中の現金を差し押さえました。釣り銭まで持っていかれては営業に差し支えると店長が懇願し、どうにか、その分は残してもらったそうです。  小売店にとって、1日の売り上げを丸ごと差し押さえることは死活問題です。また、営業時間中に店頭でレジのお金を差し押さえるということは、お客さまの目もあり風評の悪化を招きかねず、実に配慮の無い行為といえます。  この差し押さえを行った債権者は、●●●●債権回収という消費者金融系のサービサーです。このサービサーは銀行からの債権譲渡当初から、ろくに交渉の機会も与えず、威圧的な取り立てをし、昨年末には稼働中の店舗の保証金を差し押さえるという強攻策を行ったため、危うく大家から解約寸前にまでなりました。もし解約ということになっていれば即倒産でした。(この一件は法務省にご報告しました)。さらに今回の店舗レジの現金です。  私の経験では、悪質な税金の滞納者がこのような差し押さえをされた例は知っていますし、それは致し方なかったと思っています。しかし、今回の事例は、もともと銀行が貸し出した債権を、銀行の都合で不良債権処理としてサービサーに譲渡したものです。  現在、中小企業に手厚い施策を行っている金融庁や中小企業庁の管轄を離れ、サービサーの主務官庁である法務省下では、このような『何でもあり』とも取れる無謀な回収を見過ごされていることが許されてよいものかと危惧(きぐ)しております」。 何のためのサービサーか  読者諸氏は、このメールをお読みになってどのような感想をもたれるだろうか。  1998年10月、「債権管理回収業に関する特別措置法」が公布され、1999年2月から同法が施行となった。サービサーとはこの法律に基づいて許認可された債権回収会社のことである。 ...”
第50回山口教授のコレが言いたい!2011年
“中小企業経営者には「支援を生かす」責務がある ~行政と中小企業の共同作業で、"活力ある日本経済"を復活させよう!~ 東日本大地震によって、全国各地の中小企業は深刻な打撃を被った。そのダメージを少しでも和らげ、早急に活力ある日本経済を再生すべく、現在さまざまな緊急支援政策が中小企業向けに実施されようとしている。中小企業経営者は、今こそこの支援策を積極的に活用して、日本経済の再生に貢献する責務がある。 スモールサンによる「政策提言」  震災後、私がスモールサン会員諸氏から寄せられた現状報告や政策要望を踏まえて、「政策提言」書を作成し、それを櫻井充財務副大臣や中山義活経済産業大臣政務官のところに届けたことについては、読者諸氏はすでによくご承知のはずである。  前号のスモールサンニュースの巻頭対談でも述べたように、「政策提言」を作成するにあたって、私がもっとも強く主張した点は、「今回の震災については『間接被害』の概念を広くとらえて施策を講じなければ、十分な政策効果が得られない」ということであった。  被災企業から一部の部品が供給されないために、生産がストップしている中小製造業者がいる。復興需要の影響で建設資材が手に入らないために、建物の引き渡しができず、資金繰りに窮している工事業者がいる。計画停電の影響で、売り上げが大きく落ち込んだ中小企業が続出した。風評被害で売り上げが急減している輸出業者がいる。自粛ムードでキャンセルが続き、売り上げが90%減という飲食店や旅行関係業者が少なくない。  さらに、震災によって原材料が手に入らないために、親会社が休業状態にあり、その影響で待機を余儀なくされている下請け中小企業がいる。  これら中小企業のすべてが震災の「間接被害者」であることは明白である。ところが、政府の規定によれば、これら中小企業はすべて、「間接被害者」ではないということになってしまう。  なぜなら、政府が規定する「間接被害者」というのは、あくまでも被災企業との取引が全体の2割以上を占める企業だけだからである。これでは、せっかくの支援策の効果も大きく減殺されてしまう。どうしても改善を求めなければならない――これが、「政策提言」を行った際の、私の最大の問題意識であった。 成果が見えた「中小企業支援ガイドブック(バージョン3)」 ~信用保証の対象を「その他、震災の影響により、業績が悪化している方」に拡大  第一次補正予算成立(5月2日)後に作成された経済産業省の「中小企業向け支援策ガイドブック(バージョン3)」を見ると、この点についてたしかに改善がみられる。今回震災対応で拡充された「信用保証」の対象者の範囲に、従来の「直接被害者」や「間接被害者」に加えて、「その他、震災の影響により、業績が悪化している方」が新たに加えられているからである。  補正予算を踏まえた新たな「ガイドブック」が作成されたことを、私に連絡してきてくれた中小企業庁の部長は、そのメールに「先般いただいたご意見も踏まえて、保証制度も、被災地域以外の事業者についても拡充した」とする一文を添えてくれた。スモールサンという中小企業ネットワークを背景に「政策提言」を行ったからこそ得られた「成果」である。  そもそも支援政策は、政府から中小企業への一方的な「施し」ではない。それは、日本経済の維持発展のために、“現場”を担う中小企業経営者と行政担当者との「共同作業」で策定されるべきものである。学者や専門家は、この両者の間に立って知恵をしぼるのが仕事である。 スモールサンが設定する行政担当者との意見交換の場に、経営者は積極参加を!  実際、現場からの指摘を受けて行政マンや私たち学者が問題を初めて認識するということが少なくない。例えば、先日、産廃業を営むある会員さんから、私のところに下記のようなメールが届いた。 「被災地域の復興に当たっては産廃業者の果たす役割は大きい。ところが、産廃業の認可はそれぞれ地元の自治体から得たものなので、他県の業者は被災地域で活動することができない。これを政府が特例措置などで対応すれば、多くの業者が復興活動に参加でき、早急な復興も可能になる。ぜひ、政府に進言してほしい」というものである。  これは私にとっては、このメールで初めて知った問題である。早速、テレビなどで、「特例措置」の必要を訴えるとともに、5月15日の「日曜大学」でのパネルディスカッションで、中山政務官にもぶつけることにした。  また、4月15日にスモールサンが開催した「中小企業庁担当者による説明会&意見交換会」でも同様のことが起きた。 あるスモールサン会員が、夏の節電をスムーズに行うためには、電気料金の仕組みを変える必要があると中小企業担当者に提言したのである。  計画停電なしに夏場の電力不足を乗り切るためには、午前10時から午後2時の間のピーク時の需要を、早朝や深夜にシフトさせる「分散化」が必要になる。この点について、会員は下記のような発言をした。 「高圧電力は一日のうち、最大に使用した値(デマンド値)によって1年間の契約電力の基本料金が決まってしまう仕組みになっている。例えば、3月10日に最大値に達した場合、この日から換算して1年間の契約電力基本料金が決定してしまう。したがって、来年の3月10日を待たなければいくら節電をしても基本料金が下がらない。この仕組みを変えなければ、節電へのモチベーションも起きてこない。早急に改善をはかるべきである」  この指摘で事実を始めて知った中小企業庁の部長は、その後早速資源エネルギー庁に問い合わせて、同庁からつぎのような「回答」を引き出してくれた。 「【回答】 御指摘のような過去一年間の最大需要電力により基本料金が決定される形態(デマンド制)については、自由化領域であり、規制の対象外でありますが、ご要望については、夏の需要対策の観点から料金において工夫を行えないか、東京電力に伝えてまいりたい」  このやり取りが実際の「成果」につながるかどうかは未知数だが、もし改善につながれば、関東圏の企業に大きな影響を及ぼすことになる。仮にそうなれば、スモールサンが仲介した行政と中小企業経営者との「共同作業」が、また一つ実を結ぶことになる。これはまた、行政担当者との交流の場に多くの経営者が参加することが、いかに重要であるかを物語るものでもある。 支援政策を「現場に生かす」のは中小企業経営者の責務  さらに重要なのは、いかにりっぱな支援政策が策定されたとしても、それを「現場で生かす」ことができなければ、「絵に描いた餅」にすぎないということである。ここでも、中小企業経営者の果たす役割は大きい。 ...”
第49回山口教授のコレが言いたい!2011年
“「奪い合う経済」から「分かち合う経済」へ ~電力不足問題が提起したもの~  大震災がもたらした電力不足。当初政府はいわゆる「計画停電」でこの問題を乗り切ろうとした。しかし、1日数時間の停電が引き起こす経済的な打撃はあまりにも大きい。なんとかこの方式によらずして、電力不足を乗り越えることはできないかと現在さまさまな試みが提起されている。 「輪番操業」の提案  その1つとして注目されているのが、自動車工業会が提案しようとしている「業界別の輪番操業」である。日経新聞はこう報じている。  自動車工業会(志賀俊之会長)は、自動車や電機、素材など主要業界ごとに休日を決めて工場の操業を一斉に止める「業界別の輪番操業」を近く提案する。……  例えば月・火曜日は自動車、水・木曜日は鉄鋼、金・土曜日は電機といった具合に主要業界が休日を設定。金融や流通業界にも広げていくことを想定している。 (2011年4月7日日本経済新聞)  経済産業省は工場などの大口事業者に、夏のピークの電力需要を25~30%削減するよう求めることで、電力不足問題を乗り切ろうと考えている。しかし、この要望に応えようと各社がばらばらに節電を実施すると、A社の工場が操業していても、B社が休業中のために部品が手に入らず、結局生産が続けられないということになりかねない。  そこで、業界として効率的に節電するには、加工組立などを行う会社とそこに部品を納入する会社が一斉に工場の操業を停止する必要がある。これは、国内に7000社を越える部品会社をもつ自動車業界にすれば切実な問題である。こうした業界の事情が、「業界別の輪番操業」の提案となった。 「分かち合い」の仕組みづくり  もちろん、この提案が簡単に実現されるとは思えない。「業界によっては2~3日ごとに工場の操業を止めると品質が低下するといった問題もあり、調整は難航する可能性もある」(同上紙)。しかし、その成否は別にして、この試みが新たな社会システムの提案でもあることに、私は注目したい。  それは一言でいえば、一時的にせよ、「奪い合う経済」を「分かち合う経済」へと転換させようとする試みだからである。 「電力が不足するのなら、電気料金を上げればいい」と主張する人たちもいる。たしかに電力使用のコストが上がれば、そのことが節電の工夫を促すことにもなり、決して不合理な提案だとはいえない。  しかし、それは、高所得者は今まで通りで電気を使用できるが、低所得者は使用の抑制を余儀なくされるという意味で、低所得層に負担を押し付けて事態を切り抜けようという社会的不公平感を生みかねない提案である。経済界でいえば、競争力のある大企業はコスト増を製品価格に転嫁することができるから、今までどおり電気を使用できるが、製品価格への転嫁が難しい中小企業は電気の使用を抑え、結果として売り上げの縮小に甘んじざるをえないということになる。 ...”
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第47回山口教授のコレが言いたい!2011年
““人が育つ会社づくり”、“人が育つ地域づくり” ~イタリアブランド企業の実践に学ぶ~ 「観たよ!」という方もおられると思うが、本年1月11日から14日まで、私はNHK(BS1)で放送された、「イタリアブランドパワー~地方にこだわる世界企業」に5夜連続で生出演した。そこで目の当たりにしたものは、人・企業・地域・世界という4つの要素が相互に絡み合い、支え合うことで見事にブランドパワーを生み出しているイタリアの現実であった。 「日本の中小企業も世界市場にもっと進出すべきだ」(=「中小企業の国際化」)ということについては、すでに何回かこのコーナーでも主張してきた。今回は、上の4つの要素のうち、特に人と企業、人と地域とのかかわりを中心に、イタリアブランド企業の歴史とその実践を紹介したい。 人材が企業を呼び込む~フェラガモを呼び寄せた町・フィレンツェ  放送第1夜で取り上げたブランド企業は、高級靴で有名な「フェラガモ」である。創業者サルヴァトーレ・フェラガモは1898年ナポリ近郊のボニート村で生まれた。生活費を稼ごうと9歳で近所の靴屋に弟子入りし、早くも12歳にして自ら靴屋を開業した。その彼が兄を追ってアメリカへ渡ったのは1914年、16歳の時であった。  渡米後、ハリウッドで映画衣装用の靴を受注したことがきっかけとなって、サルヴァトーレは一躍時代の寵児となる。彼の靴を一度履いた映画スターたちが、そのデザインと履き心地のよさに魅入られて、こぞってプライベートでも彼の靴を求めるようになったからである。  注文が増えるにつれて、生産が追いつかなくなる。それでも、彼はあくまでも「手作り」にこだわった。しかし、当時すでに大量生産型の靴作りが一般化していたアメリカでは、腕のいい靴職人を数多く集めることは不可能だった。そこで、29歳の時、彼はある決断を下す――「イタリアに戻ろう!」  だだし、新天地として選んだ町は、生まれ故郷のナポリ近郊ではなく、“フィレンツェ”だった。フィレンツェは、ルネサンス以来の歴史を持つ世界有数の職人の町。今でも、路地には職人たちの工房が軒をつらねる。  特に、革細工はフィレンツェの伝統工芸である。靴職人も多い。サルヴァトーレは新たな靴のブランドを立ち上げるべく、彼らに声をかけた。そして、1928年、60人ほどの靴職人とともに、靴メーカー「サルヴァトーレ・フェラガモ」がそのスタートを切ったのである。  フィレンツェでは、伝統的な編み物やレース、刺繍など、さまざまな職人たちの技に触れることができる。サルヴァトーレはそうした伝統工芸に数々のヒントを得ながら、2万もの新しい靴のモデルを開発した。  今では、フェラガモは100カ国に販売網を持ち、2600人の従業員を抱えるトータルファッションブランドになっている。機械化は進めたものの、すべての製品にどこか必ず昔ながらの職人技を取り入れて、手作りの味わいを残している。 「イタリアの職人たちの力を借りて履きやすさを追求しながらも、時代によりそった斬新なものを送り出す。ベースをしっかり保ちながらも、チャレンジを忘れない。こうした『父の思想』を現在も引き継いでいることが、わが社の今日の繁栄の秘訣です」――現会長のフェルッチオ・フェラガモ氏はこう語る。  もちろん、フェラガモは職人を「育て続ける」ことにも力を注ぐ。同氏は言う――「今日のイタリアでは、若い人が就職することは非常に困難です。だから、若い人たちをサポートして、能力を育て、チャンスを与えることは、国の未来のためにも大切です。現代の若い人たちは基礎学力もあり、優秀です。私は若い人たちに大きな期待を持っているんです」。 “人が育つ町”をつくる~ファッションブランド・ベネトンの戦略  放送第3夜で取り上げた世界的アパレルブランド「ベネトン」も、若者を育てることに力を注ぐ。 ...”
第46回山口教授のコレが言いたい!2011年
“2011年は、“前向きな自分主義”で行こう!  米国の巨大なバブルが崩壊し、リーマンショックという衝撃を経て、世界経済は激しい競争の時代へと突入した。米国というエンジンを失った世界経済は、新興国の内需に支えられてかろうじて失速を回避してきたが、これはまた市場や産業の構造変化を伴う大競争時代の幕開けでもあった。  米国というけん引力を失って低迷する先進国経済では、中小企業を吹き飛ばす程に激しい「パイの奪い合い」が展開されている。また、先進国の大企業は新興国市場の獲得に向けて激烈な競争を展開しつつあり、それにともなって中小企業もあらたな選別の嵐にさらされてようとしている。  そういう厳しい時代状況から目をそらすことなく、中小企業がこの「大競争時代」を生き抜くには何が必要なのかと問い、その上で自ら設定した諸課題に果敢に挑戦していく――“今”という時代は、そういう愚直で、たくましい中小企業経営者を必要としている。  2011年の年頭にあたって、以下では、時代が提起している中小企業経営者の課題についてあらためて考えてみたい。あわせて、そうした諸課題を担う経営者諸氏を支援すべく、スモールサンの本年の活動を展望したい。 “大競争時代”を生き抜くための「自己分析」と「自己表現」 ~経営者はマーケティング・ブランディング・管理会計に強くなれ!~  厳しい価格競争と市場構造の変化――中小企業経営者はそうした経営環境の中にあっても、常に自社の「立ち位置」を見いだし、発展の道筋を示していかなければならない。そのために求められるものは、何よりもまず不断の「自己分析」である。  自社の「強み」や「売り」を客観的に分析してみることで、はじめて自社の歩むべき道が見えてくる。しかし、その「客観的な」分析というものが意外に難しいのである。 「結構大きな中堅企業と言われる会社の経営者さんでも、自社のセールスポイントに気づいていないケース、自社の商品や自社の一番光るモノをとらえきれていないケースが多いんです。……経営者が自らの『強み』に気付くことをお手伝いする」(スモールサンニュース2009年1月号より)――それが「私の仕事なんです」と語るのは、スモールサンのイノベーション・プロデューサー小出宗昭氏(富士市産業支援センター長、株式会社イドム代表)である。  第三者の目、専門家の目をも活用しながら、どの程度客観的に「自分を知る」ことができるか。これは、大競争時代を生き抜くために経営者が挑むべき最初の課題である。  そして、次に必要になるのが、その「強み」や「売り」をどうマーケット戦略として表現していくかである。それは、「自己分析」を踏まえた「自己表現」を探る作業である。小出氏はある企業の実例を挙げて、その重要性をこう指摘する。 「自分の会社で作ったモノが超一流なんだという自覚に社長自身欠けていた。それで、マーケティング戦略がぼけていたわけです。……私は、セールスポイントをきちんと探して、気づきを起こしていただいて、戦略を策定する。それで、結果を出してきました」(同上)。 「SOHOしずおか」という静岡市の中小企業支援センターに在籍していた3年間で、小出氏は140というヒット商品を生み出した。この華々しい活躍は、富士市の支援センターに移籍した現在も続いている。  スモールサンでは、今年から、その小出氏による「個別相談会」を定期的に開催し、会員諸氏の「自己分析」や「自己表現」の手助けを行っていきたいと考えている。また、現在立ち上げの準備を進めている「スモールサンゼミYOKOHAMA」では、2011年のテーマを「実践的マーケティングの研究:顧客に選ばれる会社になるために」とし、小出氏を顧問として本年3月から活動を開始する予定でいる。いずれも、会員諸氏の積極的参加が期待される。 ...”
第45回山口教授のコレが言いたい!2010年
““5%の新規性”を実践しよう! ~「小さな挑戦」が未来を開く~ 「売り上げの5%でいいから、何か新しい事業に挑戦しませんか」――日本経済がバブル崩壊後の「失われた10年」(実際の停滞は14年間続いた)を歩んでいた時期、私は中小企業経営者の方々にこんな呼びかけを繰り返してきた。 「マクロ経済がこういう状況なんだから、会社の業容が低迷するのもやむをえないかもしれません。でも、こんな時期だからこそ、売り上げの5%でもいいから何か新しい事業に挑戦してみることが必要だと思うんです。そうすることで、なえがちな社員のモチベーションを高めて、会社が閉そく感に押しつぶされないようにする。これは経済が停滞期にある時には、経営者のもっとも重要な仕事の1つだと言えます」――こう語り続けて、すでに10年以上が経過した。 10年前の「ちょっとした提案」~“普通の印刷業者”から“ユニークな出版業者”へ スモールサン会員でもあり、現在、冊子スモールサンニュースの『上期号』や『下期号』の出版・印刷をお願いしている(株)三恵社の木全哲也社長は、同氏がまだ専務であった10年ほど前に、「小部数テキストの出版」という新しい分野への挑戦を開始した。  不況に加えてIT化やデジタル化といった構造的要因が重なり、印刷業界は当時すでにじりじりと「縮小」の道を進んでいた。そんな印刷業界に身を置く者として木全氏は、「何か新たな事業を始めなければ、会社の将来はない」と焦燥感にも似た強い危機意識を抱いていた。とはいえ、何をしたらいいのか。その答えは簡単には見つからない。  そんな状況にあった木全氏に、「大学は印刷物の宝庫だから」と、私は立教大学を訪れることを勧めた。早速池袋の研究室を訪ねてくれた同氏に、私はちょっとした「思いつき」を提案したのである。10年以上も前のことである。 「学習参考書で育った今の学生たちの多くは、90分間にもおよぶ講義の内容をノートに上手にまとめるなんてことはできません。そこで、多くの先生が講義の内容を整理したレジュメを配って、それに基づいて講義を進めています。でも、そのペーパーを受講生全員に配るだけでも結構時間を要しますし、やっと配り終わったかと思うと、『今日欠席した友達の分も下さい』とか、『先週のレジュメをなくしちゃったから、もう一度頂けませんか』とか言って学生たちがだらだらと教授の下にやってくる。そんなこんなで授業の始まりが大幅に遅れてしまうので、多くの先生たちが手を焼いているのが現状なんです。  そこで…ですが、そうしたレジュメの1年分を1冊にまとめた講義用ノートかテキストのようなものを、履修する学生数に応じて少しだけ印刷・出版してあげるというのはどうでしょうか。ビジネスになりませんかねえ。間違いなくニーズはあると思いますよ」。 「おもしろいですね」と返事したものの、木全氏の頭をよぎったのはコストの問題。受講者数100名にも満たない講義のために少部数の「テキスト」を出版していたら、それはどんなに薄っぺらなものでも1冊3~4000円もする高額な出版物になってしまうからである。 “新規への挑戦”が、従業員のモチベーションを高める  躊躇する木全氏に、素人の私は気楽にもこう言い放ったことを覚えている。「そこを何とかするのがプロでしょ!執筆者である教授たちに自分で編集もやらせることでコストを下げるとか、何とか工夫して下さいよ!」 ...”
第43回山口教授のコレが言いたい!2010年
““政策への過度の期待”は現実を見誤らせる! ~中小企業経営者は「政策効果」を冷静に分析する姿勢を持とう~  TVや新聞などのメディアがつくる「世論」に押されて、政府は為替介入を実施した。結果はどうだったか。効果は、ほんの数日間円の対ドル相場が1ドル85円台で推移したというだけ。円相場は半月もしないうちに80円台前半に戻ってしまった。 「政策への期待」と「政策の有効性」は全く別物  政府の為替介入に強い期待を寄せていた人たちは、介入が実施されたことをもって、「これで円は80円台後半、あわよくば90円台前半にまで下落するのではないか」と予測したかもしれない。「政策への過度の期待」が現実を見誤らせる結果になったといえる。  そもそも「政策への期待」と「政策の有効性」とは全く別物である。言ってみれば、前者は「心」の問題だが、後者は冷静かつ客観的な分析を要する「頭脳」の問題である。日々厳しい経済環境の下で戦っている中小企業経営者は、「政策への期待」が強くなりがちであるが、それが強すぎて現実を見誤ることがあってはならない。  もちろん、政府や自治体に対し、正当な政策要望を行うことは当然であり、それは日本経済を担う中小企業経営者の重要な役割でもある。しかし、同時に、「政策への期待」は別にして、「政策がどの程度有効に機能するか」をも見据えながら、経済の「先を読む」冷静さが必要なのである。  実際今回の為替介入に対しては、TVや新聞に煽(あお)られた「世論」の強い要請があった。メディアは円高是正の必要を毎日のように訴え、介入をなかなか実施しようとしない政府に対して、「無策」「無能」と厳しい批判を投げつけた。また、経団連をはじめとする経済界も為替介入の必要性を強く訴え、それをTVや新聞が報じ続けた。  しかし、政策への強い期待があったからといって、その政策が有効に機能することにはならない。政策の有効性については、「強い思い」は別に置いて、あくまでも冷静に客観的に分析することが必要なのである。  為替相場を見る際に欠かせない視点 本年8月25日、「1ドル 83 円台入り、日経平均9000円割れについての私見」と題して、私はスモールサン会員向けに一斉メールを配信した。その際、次のように記した。  アメリカ経済の低迷が長期化する一方、中国をはじめとする新興国がその地位を高めてきています。いわゆる「BRICs全体の経済規模は2018年に米国を追い越す、個別でもブラジルは2020年にイタリアを追い越し、インドとロシアの経済規模もスペイン、カナダ、イタリアを上回るようになる」と言われています。ですから、今回アメリカが体験している(バブル崩壊後の)「失われた10年」は、世界経済の大きな構造変化=アメリカ経済の地位低下とともに進行していることになります。 ...”
第42回山口教授のコレが言いたい!2010年
“「民意」「世論」「市場の声」って何? ~マスコミが振りかざす言葉の危うさ~ 「民意」って何?「世論」って何?「市場の声」って何?――最近の新聞を読んでいると、こんな「つっこみ」を入れたくなるような記事をよく見かける。少々へそが曲がっているのかもしれないが、私はマスコミがこんな言葉を振りかざすたびに、「本当なの?」と、その正当性を疑ってみたくなる。 朝日新聞「あいた口がふさがらない」社説への疑問  例えば、「小沢氏出馬へ――あいた口がふさがらない」と題した8月27日付朝日新聞の社説。  社説執筆者が「あいた口がふさがらない」と感じたのは、まだ政治資金規正法違反事件が「決着」していないにもかかわらず、小沢一郎氏が民主党代表選に立候補したからだという。しかし、一つの事件について、そもそもどの時点をもって、「決着」と判断すべきかは、国民の間でも意見が分かれてしかるべきものである。  検察特捜部が大掛かりな強制捜査をし、関係者を次々に調べ上げて、それでも「不起訴」の結論を出したのだから、この時点で事件は「決着した」と判断すべきだ――小沢氏のこの主張は、果たして「あいた口がふさがらない」ほどに正当性を欠いたものなのだろうか。  例えば、電車内でチカン行為をはたらいたのではないかと、あなたが警察に疑いを掛けられたとしよう。その後、警察は徹底的に取り調べたが、結局証拠はでてこない。あなたは「不起訴」になったとする。  そこで、この問題は「すでに決着した」と判断して、あなたは休んでいた会社への通勤を再開した。ところが、「まだ『怪しい』と疑っている人もいるのに、のうのうと会社に出て来るなんて、『あいた口がふさがらない』」と仲間から非難される。会社はその非難の声に配慮して、職場復帰を認めようとしない。こんなことになったら、あなたはどう思うだろうか。「これは人権侵害だ、捜査を経て『不起訴』になったのだから、もう『決着』ずみだ」と主張するに違いない。  会社はあなたの説明不足を責める。「職場復帰したかったら、仲間に対し身の潔白をもっと説明すべきだ」と。しかし、説明したらといって、「怪しい」と思っている人がゼロになるとは限らない。ゼロにならなければ、会社に出てきちゃいけないというのは、ちょっとひどすぎる。――小沢氏が「出馬するのはけしからん」と言っているのは、これと同じではないか。そう考える国民がいてもおかしくないはずである。  ところが、朝日新聞は、「どうしてここまで民意とかけはなれたことができるのか。多くの国民が、あぜんとしているに違いない」と断じるのである。 「世論調査」とは、マスコミの影響力を確認するための調査?  そもそも選挙に出馬すべきかどうかということを、第三者が「民意」を「代表」してアレコレ批判すること自体がおかしい。なぜなら、その「民意」を確かめるために選挙があるのだからである。もし出馬が「民意」に沿うものでなければ、その候補者は選挙で負けることになる。それが民主主義である。朝日新聞が断ずることではない。 「選挙なんかしなくても、民意は分かっている」――朝日新聞の論説員たちはそう考えたのかもしれない。では、彼らはどうやって「民意」を知ったのか。「世論調査」だろうか。しかし、今や「世論調査」は、「マスコミの影響力を確認するための調査」と化している。 ...”
第41回山口教授のコレが言いたい!2010年
“「元気企業の法則」を探れ① ~「価格の多様性」に着目したTKP貸会議室ビジネス~ 「あの会社、不況の中でもすごく“元気”だよ!」――スモールサン会員の方から、そんな「元気企業」を紹介していただき、その会社を取材して「なぜ、どう元気なのか」を分析する。この作業を積み重ねていけば、やがては“元気企業の法則”が見つかるのではないか。そう考えて、この間、会員諸氏に「元気企業」の紹介をお願いしてきた。  今回は、千葉県のスモールサン会員である猪瀬忠彦氏にご紹介いただいた(株)TKPの貸会議室ビジネスを取り上げることにしたい。 たった1人で始めた貸会議室ビジネスが、5年で従業員250名の会社に!  インターネットなどで貸会議室を探した経験のある人なら、おそらく一度や二度は「TKP」の三文字に出会った経験があるにちがいない。(株)TKPは、全国主要都市に500室を超える貸会議室・研修施設・貸オフィスなどを直営している。創業してまだ5年しかたっていない。まさに業界ナンバー1の急成長企業である。  同社の施設が、民主党政権の「事業仕分け」の会場として使われたことから、最近はメディアで取り上げられることも増えた。会員諸氏の中には、「TKPをテレビで知った」という方も少なくないだろう。  猪瀬氏のご紹介で、私が同社の河野(かわの)高輝社長を訪問したのは、去る7月26日。たんなる好奇心からあれこれ質問する私に、河野社長はもったいぶることもなく、多弁に自社のビジネスの特徴を語ってくれた。「やる気」あふれる37歳の若き社長である。  貸会議室ビジネスをはじめたきっかけは?――これが私の最初の質問。 「伊藤忠商事を辞めて何をやろうかと考えていた5年前、ある人の紹介で、今の六本木ミッドタウンの近くにあった3階建てビルの2階と3階の2フロアを、通常の3分の1の家賃で借りられることになったんです。会社を辞めたばかりで『失業中』でしたが、『この値段なら何とかなる』と思って借りることにしました。  なぜそんなに安かったのかというと、このビルは取り壊しが決まっていたんですね。ところが、1階のレストランが出ていかない。まだ交渉中だったんです。かといって、空き室のまま放っておくのももったいないので、立ち退きが決着するまでの間、安くていいから誰か借りてくれないかということになったわけです。  そこで、私は『3ヶ月前に通告されたら、無条件ですぐ出ていきます』という念書を入れ、そのかわり格安で借りることにしました」。 「そうしたら、たまたま近くで工事をしていた建設会社が、現場事務所として1フロアを借りてくれたんです。もう1つのフロアも、近くのいろんな企業が時間制で借りてくれて…。  もともと通常の3分の1の値段で借りていましたから、いわば仕入価格が非常に安い。結果として、予想以上の利益が出ました。そこで、『よし、このビジネスモデルで行こう!』と思ったんです。」  同社はいまや従業員250名を抱える企業であるが、それを支えるビジネスの基礎は、あくまでも河野社長のこの時の体験にある。 「正当な価格」は多様でありうる~この事実に着目したビジネスモデル 「正当な価格は、1つではない」。この、「価格の多様性」というものに着目したのが、御社のビジネスモデルだといってよさそうですね。――河野社長の説明を聞いて、私はこう念を押した。社長は「その通りです」とうなずいてくれた。 ...”
第40回山口教授のコレが言いたい!2010年
“唐突な「消費税増税論議」の奇妙 ~選挙で一体何を「問うた」のか?~  菅首相が「消費税10%」を口にしてから、消費税増税が突如、参議院選挙の争点として、浮上することとなった。「税を問うことは国の形を問う」ことでもある。したがって、増税論議が堂々と選挙の争点になること自体は、民主主義の証しとして歓迎されてしかるべきことである。  しかし、そうであればなおさら、選挙に突入する相当以前から、このテーマに関する各党の考え方が鮮明に国民に提示され、国会の場などを通して、国民の目の前で活発な論議が交わされていなければならなかったはずである。  そうであって初めて、国民はその投票行動で、自身の考えを示すことが可能になる。ところが、今回は選挙公示の数週間前に、突然消費税増税が争点として浮上した。これでは、有権者は戸惑うばかりである。 菅首相の「勘違い」がきっかけ?  唐突な消費税増税論議の背後には、いわゆる「ギリシャ危機」があると言われている。菅首相が財務相の時にギリシャ危機を目の当たりにしたことが、消費税増税論議につながったのだと言う。岡部直明氏は、日経新聞のコラムで次のように書いている。  ユーロからの警鐘が菅首相を動かしたのは事実だろう。財務相として参加した、G7やG20会議でのギリシャ危機をめぐる論議を、「対岸の火事」とは思えなかったはずだ。「財政再建に取り組まなければ、国際通貨基金(IMF)が箸(はし)の上げ下ろしまでコントロールすることになりかねない」と語る。[日経新聞6月21日]  もし、これが事実だとしたら、今回の消費税論議は、菅首相の「勘違い」から始まったことになる。「勘違い」は菅首相だけではない。コラム執筆者の岡部氏自身が、次のように続けている。  IMFは、すでに消費税増税など警告を発しており、ここで財政再建に踏み出さなければ、IMFの監視下におかれかねない。  日本が「IMFの監視下」におかれるとすれば、当然のことながら、それは日本がIMFから融資を受けた時である。IMFは融資と引き換えに相手国に対し、財政再建策や経常収支黒字化策などについて、さまざまな条件を付してその実行を迫る。これを、コンディショナリティー(貸し出し条件)と言う。IMFに「箸の上げ下ろしまでコントロール」されるとは、こういう事態に陥った時のことである。 自国通貨建て債務が原因で、「IMFの監視下におかれる」ことなどありえない!  たしかに、日本の政府債務はGDP(国内総生産)の180%程度に達しており、120%程度のギリシャよりも、重い債務を数字上は抱えている。しかし、スモールサンニュース前月号の「インタビュー:景気を読む」を読まれた方はすでにご承知だと思うが、日本国債はすべて円建てである。外貨建ての国債は、1980年代をもって、すでに残高ゼロになっている。  したがって、仮に政府の国債償還が困難になっても、その際不足するのは「円資金」であって外貨ではない。とすれば、IMFに融資を請う理由もないはずである。日本銀行が国債を買い支えれば、済むことだからである。  仮にIMFに融資を依頼しても、断られること必至である。IMF側は、おそらくこう言うに違いない。「なぜ、自国通貨の融資をウチに依頼するんですか? 日銀に行ってくださいよ!」と。  IMFから融資を受ける必要がない以上、当然のことながら「IMFの監視下」におかれることもない。つまり、日本がIMFから「箸の上げ下ろしまでコントロール」されることなど、心配する必要はまったくないのである。 ...”
第39回山口教授のコレが言いたい!2010年
“菅直人新政権への期待と不安 ~中小企業支援は3点セットで~  鳩山前総理の辞任を受けて、6月4日、菅直人総理大臣が誕生した。菅新総理がいわゆる「脱小沢路線」を鮮明にした人事を打ち出したことで、国民の民主党支持率も急回復を示している。その菅政権に私たちは何を期待すべきなのか。中小企業政策を切り口に、以下に若干記しておきたい。 鳩山政権はなぜ行き詰まったのか  現在日本を取り仕切っている権力は3つある。1つは国会という権力。2つ目は官僚という権力。3つ目はマスコミという権力である。  昨年の衆議院選挙で、国民は国会という権力の場で“主役交代”を実現させた。その国会での権力把握に基づいて鳩山政権が誕生したが、これに連動して残りの2つの権力に基本的変化が生じたかと言えば、決してそうではない。  官僚もマスコミも、戦後初の「選挙による政権交代」という歴史的事実を簡単には受け入れようとしなかった。新政権が残りの2つの権力を掌握するには相当な時間が必要だったのである。  ところが、鳩山首相は官僚もマスコミも掌握できないままで、沖縄の普天間基地移転という重い課題に挑んだ。それは、超大国アメリカを相手にハードな交渉を要する課題であり、その達成には、政権が国内に盤石な支持基盤を有していることが不可欠である。それは決して国会という1つの権力を得ただけで果たせる課題ではない。結果は、火を見るより明らかであった。 「国外、少なくとも県外」という首相の「思い」を体現して動く官僚は、外務省にも防衛省にもほとんどいなかった。その冷ややかなムードを反映して、岡田外務大臣は就任早々嘉手納基地への統合という「県内移設」案を打ち出し、北沢防衛大臣も「グアムは無理」と国外移設案を否定した。  また、マスコミも鳩山首相の「思い」を「アメリカとの関係を悪くしかねない危険な政策」と位置づけて批判的論調を繰り返した。鳩山首相の敗北宣言はまさに「時間の問題」だったのである。 中小企業支援は3点セットで  さて、リーマンショック後、世界の市場も産業も「100年に一度」という言葉に値する劇的な構造変化を遂げようとしている。そうした時代にあって、日本の「財産」とも言える中小企業群の活力を維持し、それをより強靭なものへと発展させていくことは、今日の政治に課せられた最重要課題の1つである。  そのためには、以下の3つの施策が3点セットで実施されなければならない。  1つには、「中小企業憲章」の制定である。  EUには「小企業憲章」があり、EU各国はこの憲章に基づいて政策を実行していくことを約束している。その基本姿勢は「Think small first」(小企業を第1に考えよ)である。その基本理念に基づいて行動計画を策定したり、欧州委員会によるフォローアップが行われている。  民主党は前回の衆院選でマニフェストの中に「中小企業憲章の制定」を明記した。実際、鳩山政権下で憲章文の作成作業も行われてきた。私は同省の「憲章」研究会のメンバーとしてその作業に関わってきた。  重要なのは、これを単なる作文に終わらせないことである。まずは国会決議を通して、その基本理念を「中小企業立国宣言」として国の内外に高らかに宣言することからはじめなければならない。残念ながら、中小企業庁はこれを「閣議決定」にとどめる方針である。 ...”
第38回山口教授のコレが言いたい!2010年
“中小企業の国際化”を考える!! ~求められる中小企業ネットワークの「国際化」~ 「言葉」というものは不思議な力を持っているように思う。気に入った言葉、重要だと感じたキーワードを繰り返し口にしていると、だんだんとその意味することの具体的な姿形が見えてくる。「中小企業の国際化」という言葉は、私にそんな体験を与えてくれた。  最初のきっかけは「中小企業支援会議」。縦割り行政に横ぐしを入れて、政府が一体となって中小企業支援に取り組むためには、首相を議長とする「中小企業支援会議」の設置が必要である。すでに一斉メールやスモールサンニュースでお知らせしたように、私はそのことを官邸で中山首相補佐官に提言した。その際、「では、どんな支援が必要だと考えるか」と問われ、今求められているものは「金融支援」「国際化支援」「新分野開拓支援」の3つだと答えた(スモールサンニュース09年12月号参照)。その時以来、「中小企業の国際化」は、私にとって最も重要なキーワードの1つとなった。 バイドゥー(Baidu、百度)の提案 「中小企業の国際化」をどのように支援するか。その具体策を練るべく、ジェトロ(日本貿易振興機構)の関係者からヒアリングを行うなど情報収集に努めてきた。その情報収集の過程で、実にいろいろな人たちとのつながりができた。その一人に、バイドゥー(Baidu、百度)の駐日首席代表である陳海騰氏がいる。  ご存じの方も多いと思うが、バイドゥーというのは中国の代表的な「検索エンジン」である。インターネットで何か調べたいという場合、日本人の多くはヤフーやグーグルの検索サイトから入っていくが、中国の人たちはほとんどの場合バイドゥーを使う。「百度」というのは、その漢字表記である。  バイドゥーの検索エンジンシェアはグーグル、ヤフーに続いて世界3位。中国ではもちろんトップである。  中国のインターネット利用人口は3億人と言われている。その中国でのバイドゥーのシェアは70%以上に達し、利用状況は一日平均10億ページビュー、月間平均300億ページビューにも上る。そのバイドゥーの駐日首席代表である陳氏は、私にこう語った。 「中国のマーケットが急速に伸びているからといって、今まで中国と関わりがなかった中小企業経営者に突然中国市場に出ていくべきだと言ってもやはり腰が引けてしまいます。実際、リスクも高いでしょう」 「でも、中国人の多く、特に若い人たちはインターネットで買い物をしていますし、日本に関する情報もインターネットから得ています。したがって、日本の中小企業もまずはインターネット上にアンテナショップを出店して、どんな技術や商品が中国人にウケるかなどを調査・確認することから始め、『行けそうだ』となったら本格進出を考えればいいのではないでしょうか。わが社では、中国語への翻訳やどういうキーワードが検索過程で中国人の目を引きやすいかなど、いろいろアドバイスしています」  ちなみに、陳氏が最近著した本の題名は『50万円でインターネットから中国3億人富裕層と商売する方法』(講談社)である。  たしかに、例えば商店街の衰退が言われて久しいが、商店主は地元住民だけでなく、インターネットを通して中国の人たちに商品を売ることを考えてもいいはずである。そういうことが不可能でなくなった時代を、今私たちは生きているのである。陳氏の言葉を聞いて、「中小企業の国際化」のイメージがさらに広がった思いがした。  そこで、私は陳氏の話をスモールサン会員諸氏に聞いてもらいたいと思い、早速同氏に会員向け講演をお願いした。陳氏は快く引き受けてくれた。本年6月23日18時30分から都内で開催する予定である。同氏の講演と私とのセッション、参加者とのディスカッションを通して、「中小企業の国際化」について考える集いにしたいと思う。興味のある方はぜひ参加してもらいたい。 講演会 『中小企業の国際化~バイドゥ—(Baidu、百度)の提案~』 ...”
第37回山口教授のコレが言いたい!2010年
““支援競争”が始まった!! ~日本が「官民挙げて」の国際競争に後れを取る危険~ 「官民挙げて」――この言葉が新聞の国際経済面に躍り始めた。リーマンショック後の未曾有の不況を契機に、各国で「官と民との関係」に変化が生じつつあることを示している。ところが日本では、「官から民へ」「民でやれることは民で」といった小泉政権時代のキャッチフレーズがいまだ頭から抜けない政治家やメディア関係者が多い。このままでは、日本が「官民挙げて」の国際競争時代に後れを取ることは必至である。 「官民で輸出促進」~「5年で2倍の輸出」を目指すアメリカ 「米 官民で輸出促進」――3月12日付日経新聞はこう見出しをつけて、オバマ大統領が打ち出した「輸出倍増」計画の推進案について報じている。その具体的内容は―― 1.国務、財務、商務などの長官で構成される「関係閣僚会議」を新設する。 2.「大統領輸出評議会」を再開し、会長にはボーイングのマクナーニー、ゼロックスのバーンズ両CEOが就任する。 3.企業の商談支援を狙い、各国に派遣している大使に「通商外交」に取り組むよう指示。 4.官民一体の貿易使節団を年内に40以上構成し、海外に派遣する――というもの。 「民間主導色が強かった輸出振興で官民一体の態勢を整えて売り込みを展開」(同上日経新聞)しようというのである。アメリカと言えば、「経済は市場に任せるのがもっとも合理的だと信じる」市場原理主義者たちが政策を牛耳ってきた国である。小泉政権が「構造改革」と称して、そうした米国型市場原理主義を忠実に日本に持ち込もうとしたことは記憶に新しい。  ところが、その米国が豹変しようとしている。今や「官民挙げて」「官民一体で」が経済政策の推進では合言葉になっている。こうした傾向はアメリカだけではない。 「官民挙げて」が功を奏した韓国  昨年12月、UAEアブダビ首長国の国営原子力エネルギー会社が、アラブ諸国初となる原子力発電所の建設を韓国企業連合に発注することを決め、合意文書に調印した。  韓国は、GE/日立を中心とする日米企業連合やフランス電力公社などのフランス連合を抑えて巨額プロジェクトを勝ち取ったことになる。李明博(イ・ミョンバク)大統領自らトップセールスを展開するなど、「官民挙げて」の対応が功を奏したのだと伝えられている。  大統領府の尹政策室長が外交通商部、国防部、知識経済部、教育科学技術部、韓国電力などからなるプロジェクトチームを指揮し、経済、安全保障、教育などを網羅するパッケージプログラムを作ってUAEに提案した。それはまさに、国家の政策資源を総動員し、総合的パッケージを提起して勝ち取った受注なのである。 ...”
第36回山口教授のコレが言いたい!2010年
“トヨタ・リコール騒動~中小企業経営者はそこに何を見るべきか トヨタ車のリコール問題が世間をにぎわしている。中小企業経営者は、この事象に何を見るべきだろうか。 「他山の石」とすべきリコール問題 その1つは、何と言っても、「企業の社会的責任」に関する問題である。 「安全を第一に」と言いながらも、トヨタには「臭いものには蓋」的な体質があったのではないか。今回のリコール問題では、何よりもまずそれが問われている。 「企業の社会的責任」というと、ついつい寄付活動やボランティア支援などを頭に浮かべがちだが、そこで本来求められているものは、企業が「自分自身の活動が社会にどのような影響を及ぼすか」を十分に認識したうえで、自ら市民社会と調和的な存在であり続けようとする姿勢にほかならない。  経営陣にそういう「社会的責任」への意識が欠如していると、いずれは市民社会との間で衝突が起き、企業の長期継続的発展は大いに阻害されることになる。トヨタが直面している問題もまさにこれである。  いま1つは、「コーポレート・ガバナンス」の問題である。「急速な企業の成長に人の育成が追いつかなかったことが一因になった」と豊田社長は述べているが、どんなに立派な企業理念を掲げていても、それを体現する「人」の育成なしには、その理念は「絵に描いたもち」になってしまう。  コーポレート・ガバナンスを「所有者である株主の意向を企業経営にいかに反映させるか」という問題として認識する向きもあるが、これはアメリカ型企業社会を前提にしたあまりに狭い問題把握である。コーポレート・ガバナンスは、何よりも、「企業理念を日々の活動にどう具体化・徹底化させるか」という問題として認識されるべきであろう。  上述の「企業の社会的責任」も、コーポレート・ガバナンスがしっかりしていなければ十分に果たせない。その際、もっとも大切なのは「人」である。豊田社長の反省の弁が示す問題は、決して中小企業にとっても無縁の事柄ではない。  いずれにしても、中小企業の経営者が、今回のリコール問題を「他山の石」として、そこからいかなる教訓を引き出しておくかは重要である。ぜひとも、リコール騒動をテーマに、社内で従業員と大いにディスカッションされることを勧めたい。 激化する競争の一場面  トヨタ・リコール騒動が示すものは、上述のような「企業倫理」上の問題だけではない。それは「国家を巻き込んで展開される企業間競争の一場面」であり、この競争激化こそ、リーマンショック後の世界経済を象徴するものにほかならない。その意味で、トヨタ・リコール問題は極めて今日的な事象なのである。 「競争激化」をもたらしている背景の1つとして、アメリカの輸出志向国家への転換が挙げられる。今回の騒動に対し、トヨタの自動車工場を有する州の知事らは、「あまりにも不公平である。トヨタは米国で17万2000人もの雇用を生み出している米国でもっとも称賛されるべき企業である」という声明を出したという。こうした州知事らの認識は、つい最近までアメリカの「常識」でもあった。  戦後、アメリカは世界経済を「消費国」としてけん引してきた。ただ、「消費」を輸入でばかりまかなってしまうと、国内では「雇用」問題が発生する。トヨタはこの問題をアメリカ国内でアメリカ人を使って自動車を組み立てるという形で解決した。結果として、トヨタは17万人の雇用を生み出し、「米国でもっとも称賛されるべき企業」となったのである。にもかかわらず今、そのトヨタが徹底したバッシングにあっているのはなぜか。  その背後には、アメリカという国が輸出国へと「転身」しようとしている事実がある。去年の9月26日、G20の声明の中で、アメリカは今後過剰消費を抑え、財政支出も抑制し、他方で「輸出セクターを強化する」と宣言した。  アメリカの自動車産業を「輸出産業」として強化するためには、業界トップとして君臨する最大のライバル・トヨタの牙城を崩すことが不可欠になる。今回のリコール問題はその絶好のチャンスなのである。とすれば、トヨタが17万人の雇用を生み出したという事実は後景に押しやられ、いかにしてその「ブランド価値」を低下させるかが、「国家的課題」として優先されることになる。 ...”
第35回山口教授のコレが言いたい!2010年
“鐘は打つほどに響く~消費者から参加者へ~  2009年のスモールサンニュース5月号と6月号で、若者の「消費者化」を取り上げた。その時以来というわけではないが、私はどうも「消費者」という言葉に、否定的な響きを感じてしまう。  たとえば、多くの人たちが、お金の支払いが介在するというだけで、人間関係を財やサービスを売り買いする「消費者」対「供給者」という関係で捉えたがる。しかし、私は「それでいいのか」と問いたくなる。  もちろん、こうした認識が誤っているというわけではない。そういう認識を持つことが「消費者」としての正しい権利意識を生み、他方「供給者」の側にはきちんとした「プロ意識」を醸成することにもなる。平たく言えば、「お金を払っているんだから」という権利意識と、「お金をもらっているんだから」という緊張感である。これはむしろ大切なことである。  しかし、すべてを「消費者」対「供給者」という関係に還元してしまうことにも問題は多い。実際、安易な「消費者」意識が、財やサービスを受け取る側の姿勢をあまりに「受け身」にしてしまい、結果として、彼らが本来得るべきものを得られなくしてしまっているということもある。 消費者というより、参加者であるべき  その典型が「教育」である。最近、「モンスター・ペアレント」という言葉をよく耳にする。教師にやたらクレームをつける親たちのことで、その存在が教育現場を混乱させているというのである。  しかし、親が学校の教育に対してあれこれ「口を出す」こと自体、悪いことだとは私は思わない。子供の教育に無関心な親より、はるかにマシである。本来、子供の教育権は親に帰属していて、教師にあるわけではない。だから、親が教師の教育実践にあれこれ「口を出す」のはむしろ当然のことなのである。  問題はそこにあるのではない。その親たちの「口を出す」姿勢にある。そこで聞かれる親の意見は、多くの場合、教師とともに子供の教育にあたるのだという前向きな「参加者」としてそれではない。そのほとんどが、教育サービスをお金で買っている「消費者」としてのクレームなのである。教師は「クレーム処理」に追われ、教育現場は停滞することになる。結果として、親たちは十分な教育サービスを得られないことにもなる。  私はかつて、ゼミ生に「君たちが大学に支払っている授業料は、何に対する対価だと思うか?」と聞いたことがある。私はてっきり「それは自分たちが受け取る教育サービスに対する対価です」と、「消費者的」な答えが返ってくるものだと思っていた。しかし、実際はそうではなかった。そのゼミ生はこう答えたのである。 「それは、大学という教育の場を活用させてもらうことへの対価です」。 鐘は打つほどに響く  鐘は打つほどに響く――私が、ゼミ生たちに繰り返し語ってきた言葉である。鐘は強く打てば大きく響くが、弱く打てば小さくしか響かない。ゼミという場を、自分の成長にどう役立てるかは君たち次第なんだよ。自分が積極的に参加しようとしなければ、結果として何も得られない。「口に何か入れてもらうのを待っている」といった姿勢では、けっして成長できない。そのことを忘れないで。  上記のゼミ生の返答は、私がこんなことを繰り返しゼミで語ってきたことの反映なのかもしれない。  誤解を恐れずに言えば、同様のことを、私はスモールサン会員にも求めたいのである。ぜひとも、スモールサン会員には「消費者」ではなく、「参加者」であってもらいたいと思っている。スモールサンの会費は、私たちが提供する「サービスに対する対価」ではなく、スモールサンという「中小企業経営者の育ちあいの場を活用することへの対価」であってほしいのである。  会員諸氏には、受け身で情報を得るだけでなく、できるだけセミナーや「囲む会」に積極的に参加して、報告者や参加者間での交流を通して貪欲に「何か」を得ていただきたい。送られてくるニュースを読むだけでなく、たとえ短くても「感想」をしたためて私のところに送っていただたい。それが、会員相互の学び合いの輪を広げ、成果は「感想」を送った本人にも返ってくる。  「そんな面倒なことまでは、ちょっと…」と感じておられる会員も少なくないかもしれない。でも、やっぱり鐘は打つほどにしか響かないのである。 (2010年2月7日筆) (2010年/スモールサンニュース2月号より) ”
第34回山口教授のコレが言いたい!2010年
“競争と共生 ~2010年、その年頭に想うこと~  世界不況の波が日本経済を飲み込んでからすでに1年が経過した。そんな2010年の年頭にあたって想うこと、それは「競争と共生」。今回は、この言い古された2つのキーワードについてあらためて考えてみることにしたい。 激化する“生存競争”  生存競争――そんな刺激的な言葉が再び新聞の経済面に躍り始めた。たしかに、不況で大きく委縮したマーケットを舞台にして、現在多くの企業は激しい生存競争を繰り広げている。  生き残るために値引き競争を仕掛ける企業があれば、「理不尽」と感じつつも、やむなくさらなる値引きで応戦しようとする企業がある。体力勝負で企業が真っ向からぶつかり合うこうした光景は、まさにこの言葉がふさわしいほどの「すさまじさ」を伴っている。  とはいえ、不況期に企業間競争が激化すること自体は、なんら目新しいことではない。景気循環というものがこの世から消えてなくならない限り、それは今後も繰り返される光景でもあるだろう。  しかし、ここで強調すべきは、今日の「生存競争」が、通常の不況期のそれとは比較にならないほどの“重み”と“広がり”をもっているという事実である。今回の大不況に「百年に一度」という形容句を付すことの正当性も、実はそこにある。 「過去の栄光」を捨てて、再スタートを切る覚悟を!  リーマン・ショックを契機にしたバブル経済の崩壊は、アメリカの過剰消費にけん引される世界経済の成長モデルそのものの終焉を示唆している。とすれば、これまでこの成長モデルをどの国よりも享受してきた日本は、まさに“生き残りをかけて”、新たな成長モデルを模索していかなければならない。  それだけではない。この大不況が加速させた技術革新のうねりが、戦後日本人が営々と築き上げてきた日本経済の国際的地位を根底から揺るがしかねない。「エネルギー革命」の進行が、20世紀の象徴であった「石油と自動車の時代」を一変させる可能性を孕んでいるからである。  例えば、日本はガソリン自動車に関わる卓越した技術をもって、今日の国際的地位を築いてきた。しかし、生産の主軸が電気自動車へと大きく転換すれば、その技術的優位性も無に帰してしまう可能性がある。  いや、それどころか、これまで日本の「強み」として機能してきた巨大な下請け機構の存在が逆に「足かせ」となって、日本の自動車メーカーが新興国企業の後塵(こうじん)を拝するといったことさえ起きかねない。それはまた、下請け中小企業群が“自立の道”を求めて、新たな戦いに打って出ることを余儀なくされるということでもある。 「過去の栄光」をかなぐり捨てて、あらためて過酷な「生存競争」に挑む!――この大不況は、まずもって、私たちにそうした“覚悟”を求めているのだと言ってよい。 単純な市場原理主義への回帰は許されない  現在、こうした厳しい認識は徐々に経済界にも広がりつつある。懸念されるのは、そのことが、かつてわが国で「小泉・竹中路線」として称賛された「市場原理主義」への回帰を引き起こしはしないかということである。  いわゆる「小泉・竹中時代」の日本は、「市場競争に身を任せ、弱肉強食を放置することこそが、日本経済の再生と強化につながるのだ」という、アメリカ型の単純な経済イデオロギーに包まれていた。政府は、自らそうした経済思想普及の先導役になるとともに、その体現こそが「構造改革」だと称して、無節操な規制緩和や「民営化」そして強引な不良債権処理を推進してきた。 「結果は?」と言えば、日本経済は新たな成長モデルを見いだすことも、新産業を創出することもできず、無念の思いを引きずりながら大量の中小企業が市場からリタイアしていくという悲惨な現実を生んだだけである。 「共生」への強い意識が競争力を生む   再び、その轍(てつ)を踏むことは許されない。今必要なのは、厳しい「競争」を強いられている現実を十分に認識した上で、社会構成員の一人ひとりが「競争」ならぬ「共生」への強い意識をもつことであろう。  私たちが挑まなければならない「生存競争」は、単に個別企業の生き残りをかけたそれではない。それは、いわば国を挙げて、新たな日本の生きる道を探り、新しい国の形を作る戦いである。  そこで問われているものは、日本という国の持つ“総合力”をどう発揮するかということにほかならない。国家戦略としての新たな産業政策、成長政策そして中小企業政策が求められている理由もここにある。  そのためには、個々の企業の経営者や従業員はもちろん、行政マンや研究者たちも含めた日本社会のすべての構成員が、「共に生きる」という自覚をもって、それぞれの立場で社会的課題の解決に積極的に貢献しようとする姿勢が必要になる。  そういう強い「共生」意識こそが、新しい日本の競争力を生む。それは、「弱肉強食」の危機感を煽るだけでは決して得られない、日本社会が潜在的に持っている総合的なパワーの発揮である。  翻ってみれば、「競争」と「共生」の新しい関係は、現在進行している技術革新のうねりの中にも潜んでいる。そこで繰り広げられる激烈な「開発競争」の背後には、「これ以上地球環境を悪化させることは許されない」という人類共通の危機感がある。地球人としての強い「共生」意識が、環境技術の開発に向けた高い競争力を生むことになる。  さて、2010年の冒頭、漠然とこんなことを考えている自分は、果たしてこれからどんな社会貢献を実践していくべきなのか。少なくとも、スモールサン活動がそのうちの重要な1つであることは疑いない。会員諸氏には、本年も一層のご支援を願いたい!! (2010年1月5日筆) (2010年/スモールサンニュース1月号より) ”
第33回山口教授のコレが言いたい!2009年
“中小企業に必要な3つの支援策 中小企業に必要な3つの支援策 「底打ち」が言われながらも、依然として中小企業を取り巻く経営環境は厳しいままである。それどころか、個人消費の低迷などを背景に「不況感」を訴える業種・業態はますます広がりつつある。また、「百年に一度」と形容されるだけあって、今回の世界不況は市場や産業の構造にグローバルな変化を引き起こしつつあり、当然のことながら、日本の中小企業もそうした変化への対応が迫られている。こういう時代状況であれば、政府に対しても、たんなる「景気対策」にはとどまらない中長期的展望を踏まえた本格的な中小企業支援策が求められる。以下、この点について若干の私見を述べてみたい。 リスケ推進を国家的課題に  求められる中小企業支援の第1は、いうまでもなく「資金繰り支援」政策である。大不況がもたらした急激な売り上げの減少は、何よりもまず中小企業の資金繰りを窮地に陥れるからである。  周知のように、中小企業金融円滑化法(いわゆる返済猶予法案)が施行となり、銀行もリスケ対応の充実をあらためて課題として挙げている。しかし、同法の施行のみで問題解決が可能かと言えばけっしてそうでないことは、前号ニュースのこのコーナーでも書いたとおりである。  2つの課題が未解決のまま残されている。その1つはリース業者やサービサーなど、金融庁管轄外の金融関係業者の協力をどのように得るかという問題、いま1つはリスケを実施した企業にどのようにしてニューマネーを供給するかという問題である。  前者の問題を解決するためには、関係省庁の連携が不可欠になる。後者については、リスケ実施企業向けの新たな「信用保証枠」を設定するか、あるいは現行の信用保証協会とは異なる新たな信用保証の機構を設立するか、いずれにしても予算措置を伴う政策対応が必要になる。 「返済が難しいからこそリスケを実施したのだから、そんな企業に新たな資金を貸し出しても返済できないはずだ」――こんな論理で、リスケ実施企業へのニューマネーの供給や信用保証が拒まれてきた。しかし、ニューマネーを得られないのであれば、多くの企業はリスケを断念せざるを得なくなる。これでは、未曾有の不況に日本経済は柔軟に対応することができず、この不況を機に日本経済は成長力を大きく失うことになる。  むしろ、「適切にリスケを実施すれば、新たな貸し出しも可能になるはずだ」という考え方に立って、行政も金融機関も積極的にニューマネーの供給を検討すべきであろう。リスケの推進は「かわいそうな中小企業を救う」という社会政策ではなく、企業や金融機関が大不況への柔軟な対応を積極的に行うことで日本経済の活力を維持するという、まさに国家的規模で展開されるべき経済政策なのである。 中小企業に「国際化」支援を~とくに北東アジア経済圏構想を念頭に置きながら~  求められる中小企業支援の第2は、「国際化支援」政策である。中国経済を扱った前号ニュースの巻頭対談に対しても、スモールサン会員から「中国企業とのビジネスに進出したいが、情報も乏しく何から始めたらいいかもよく分からない」という声が「感想」として寄せられた。そのことは、皆さんに一斉メールでお知らせしたとおりである。  この大不況はアメリカのバブル崩壊を起点としており、それは「アメリカの過剰消費(対外赤字)にリードされながら、世界各国が成長を果たす」という近年の世界経済の成長パターンに基本的な変容をもたらした。そんな中、新たな成長のリード役として脚光を浴びているのが、中国などの新興国である。日本の中小企業もこうした市場構造の変化に対応する必要がある。  しかし、これら諸国への進出やこれら諸国の企業との取引を望みながら、情報不足、経験不足、人脈不足などで立ちすくんでいる中小企業が少なくないことも事実である。とすれば、その「不足」を補うことが政策支援となる。私がいう「国際化支援」とはこのことである。  たとえば、日本、韓国、中国、ロシアという「北東アジア圏」の経済交流が進めば、九州地方のほか、北陸、東北、北海道など、現在元気がないと言われている地域の活性化にもつながる。しかし、中国やロシアなどとのビジネスにはいまだリスクも多く、とりわけ中小企業が単体で切り込んでいくのは危険でもある。  各国政府や地方自治体が協調してリード役を果たしてビジネスマッチングの機会を提供していくなど、政治的な支援が必要である。こうした国際的な協調に基づく支援政策によって、日本の技術、中国のマーケット、ロシアの資源をうまくつなげることができれば、「北東アジア圏」は世界経済の成長にも大きな貢献を果たすことになる。 新分野開拓に省庁連携で支援を ~内需再構築を目指して~   求められる中小企業支援の第3は、内需を再構築するという観点から中小企業の「新分野開拓を支援する」政策である。  日本の輸出依存度は他の先進国と比べてとくに高いというわけではない。しかし、2000年以降、日本経済は輸出への依存を急速に高めつつ成長を遂げてきた。2000年には11%程度であった財貨・サービス輸出のGDPに占める割合(実質ベース)は、08年には16%程度にまで上昇している。この輸出依存の高まり、言い換えれば内需の伸び悩みが、アメリカ発世界不況の波を日本経済がもろに受けることになった理由でもある。  そこで、日本経済をより強靭なものにしていくためには、内需の再構築が不可欠になる。内需再構築とは、国民のニーズや時代の要請を背景に、需要と供給とを新たにマッチングさせることである。その場合、さしあたり注目されるテーマは、「環境」や「福祉」であろう。  いわゆる「低炭素社会への転換」は日本経済が担う時代的課題である。日本の産業構造がこうした時代の要請に見合ったものへと転換していく過程でこそ新たな内需が形成され、それに対応した供給体制が生み出されていく。内需の再構築とはそういうものである。 ...”
第32回山口教授のコレが言いたい!2009年
“リスケ支援の包括的な政策パッケージを!  話題を集めた返済猶予法案については、スモールサンニュース10月号の巻頭対談で私の考え方を述べ、その後、そのニュースへの「補足」として一斉メールを配信した。今回は、その一斉メールを見損なったという会員諸氏のためにその「補足」を再掲するとともに、若干の更なる「補足」を記すことにしたい。  さて、先の一斉メールでも記したように、いわゆる「返済猶予法案」は、私が国民新党で述べた主張にかなり近い形のものとなっている。その理由として、以下の3つをあげた。 モラトリアムではなく、リスケ推進  その第1の理由は、「モラトリアム」を法的に強制するのではなく、「借り手から申し込みがあれば貸し付け条件等の変更をおこなうよう務める」という「努力義務」となったことである。  私は、民間が自由意志で取り結んだ法的な権利義務を国家が強制的に停止させるのは「禁じ手」だとして、あくまでも「リスケ(条件変更)推進法」あるいは「リスケ支援法」とすべきだと主張してきた。結果的には、そのとおりになったと思っている。したがって、「返済猶予法案」というマスコミの呼び名も本当は正しくない。返済を猶予するのではなく、返済の仕方を組みなおす(リスケジューリングする)というのが、この「法案」の趣旨だからである。 法的強制ではなく、情報公開で  第2の理由は、金融機関に「実施状況を定期的に開示(虚偽の開示には罰則)」するようを義務付けたことである。  私は、金融機関にリスケ対応をしっかりやってもらうためには、法的強制ではなく、「金融アセスメント」の手法を使うべきだと主張した。それは金融機関の「努力」の度合いを「評価」したり、それを「公表」したりすることである。そうすれば、金融機関はいい評価をもらうために、あるいは悪い評価を避けるために、努力するようになるはずだからである。  今回の法律では、「実施状況の開示」については、金融機関が金融庁に「開示」し、金融庁がそれを「国会」に「開示」する形になる。私は国民に分かりやすく「開示」することが肝要であると、国民新党で主張した。利用者の目を通して、望ましい金融機関を育てていくことが重要だからである。今回の法律の施行についても、この観点でしっかり見守っていくことが必要だと思っている。 検査マニュアルの見直し   第3の理由は、「貸し付け条件を変更しても『不良債権』にはしないなど、金融検査マニュアルや監督方針を改定」するとしたことである。  ニュース10月号のなかで「金融検査の在り方や方針について検討することが必要」であると述べたように、この点も私の主張と合致している。  政府は、今回の法律施行に併せて、「利払いが続いていれば、不良債権扱いしない」といった項目を「金融検査マニュアル」に入れる方針である。実は、「金利さえ払っていてくれれば、正常債権だ」という考え方は、かつての銀行には一般的に存在していた。それが、小泉政権時代の金融庁の非現実的で画一的な「検査マニュアル」の実施によって変ってしまったのである。そういう意味では、金融庁は自分たちが始めたことを自ら「非現実的」と認めた形になっている。  以上の理由から、今回の法案提出については、金融システムの改革に向けた一歩として私は評価している。しかし、政策の実効性という点では、まだいくつかの疑問符がつく。 サービサーやリース業者への指導を含む包括的な政策パッケージを  その一つは、サービサーの問題である。取引金融機関が複数あった場合、そのうちのある金融機関がリスケに応じたとしても、別のある金融機関がその債権をサービサーにすでに売却してしまっていて、そのサービサーが債権の取り立てを始めたら、結局企業再建は困難になる。  また、同様のことはリースについても言える。とくに製造業では、機械設備などをリースで調達している。したがって、金融機関がリスケに応じてくれても、リース業者がリスケに応じてくれなければ、借金の負担を十分に軽減することは出来ず、企業再建が進まない可能性がある。現状では、リース業者がリスケに応じることはまれである。  政策の実効性を上げるためには、サービサーやリース業者への指導を含む包括的な政策パッケージが必要なのである。 ...”
第31回山口教授のコレが言いたい!2009年
“金融アセスメント法、再論!(2) ――中小企業経営者による“メイク・ドラマ”―― 「私は、アメリカの地域再投資法に、日本独自の金融慣行上の問題の解決にも役立つような工夫を付し、法案『骨子』を作成した。そして、それに『金融アセスメント法』という名称を付したのである」。そして、「その法案『骨子』を民主党の桜井議員に見せ、法制化に持ち込むことを提案した。当初は、参議院法制局の役人の抵抗にあって条文化が進まなかったが、担当課長が代わったこともあって半年後に条文が完成した」。――以上、前号。 その「条文」とはどのようなものか、以下に簡単に紹介したい。 法律の「目的」  民主党版「金融アセスメント法」は、「地域金融円滑化法」と命名された。同法の「第一条」には、この法律を制定する「目的」が記されている。大変長い一文で読みづらいと思われるので、法文を分解して以下に記すことにしよう。 この法律は、地域金融の円滑化に関し、 (1)基本理念を定め、並びに (2)国、地方公共団体及び金融機関の責務を明らかにするとともに、 (3)地域金融の円滑化に対する金融機関の寄与の程度に係る評価に資する情報の公表の制度を設けること等を通じて、その推進を図ることにより、 (4)金融機関の地域金融に係る業務の適切な運営及び地域経済の活性化を期し、 (5)もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資することを目的とする。 きっかけは「アントレ会」~アメリカの「地域再投資法」を参考に~ 基本理念――地域金融の円滑化とは?   上記のように、この法律には「地域金融の円滑化」とはどういうことか、その「基本理念」が定められている。まずはそこから見ていこう。  基本理念を記した「第三条」では、地域金融の円滑化とは、「地域において社会的に要請されている分野に必要な資金が十分に供給される」ようにすることであると明記している。その際、中小企業への資金供給が特に配慮されなければならないとして、次のように記している。 「中小企業が地域経済の活性化において果たす役割の重要性にかんがみ、それに対し適切かつ効果的に資金が供給されるよう特に配慮されなければならない」。  さらに、そのためには「金融機関に関する情報の開示」が必要であるというのが、この法律の趣旨である。 金融機関の「責務」――機会均等、事業の適正な評価、十分な説明  同法の「第四条」で、国は「地域金融の円滑化に関し必要な施策を策定し、(中略)実施する責務を有する」とし、また「第五条」では、地方公共団体は、その「国の施策に準じた施策及びその他(中略)区域の特性に応じた施策を策定」し、実施する責務を有するとしている。  そして、肝心の金融機関についてであるが、「第六条」で「地域金融の円滑化に主体的かつ積極的に寄与する責務を有する」として、特に次のように記している。 金融機関は、中小企業向け融資にあたって――、 (1)「均等な機会を確保するようにする」こと、 (2)「経営資源及び事業の成長発展の可能性を適正に評価する」こと、 (3)「取引条件を明確にし、適切かつ十分な説明を行う」こと、 (4)その他「苦情の適切な処理を行う」こと、など――公平かつ適正な業務の実施に留意しなければならないとしている。 情報の公開――地域金融の円滑化に「情報公開」を活用する  金融機関に上記のような「責務」を果たしてもらうために、「情報公開」を積極的に活用しようというのが、この法律の特徴である。先に記した「目的」の(3)がこれにあたる。その内容は「第八条」で規定している。 「行政庁は、個々の金融機関について」、それらがどの程度地域金融の円滑化に寄与しているか、その情報を「公表するもの」としている。特に下記の「事項」に関する情報が公表されることになる。 ...”
第30回山口教授のコレが言いたい!2009年
“金融アセスメント法、再論!(1) ――中小企業経営者による“メイク・ドラマ”――  「民主党政権誕生!」となってから、新聞や週刊誌の取材を受けた。その主なテーマが「金融アセスメント法」についてである。同法については、本ニュース冒頭の鼎談記事でも触れているが、スモールサン会員の中には耳慣れない言葉で戸惑いを感じている方もおられるかもしれない。そこで、私としてはすでに著書などで繰り返し述べてきたことではあるが、以下で簡単に「金融アセスメント法」について記しておくことにしたい。 『魂の中小企業』より  本年7月、朝日新聞出版から『魂の中小企業』と題する本が発刊された。著者は朝日新聞デスクの中島隆氏。その8章に「金融アセスメント法」制定運動がドキュメント風に紹介されている。以下は、同書からの引用である。ちなみに、同書は朝日新聞夕刊(2009年1月8日~28日)に掲載された記事に加筆したものである。  1990年代後半、日本中に、嵐が吹き荒れた。その貸し渋り、貸しはがしという悪夢の嵐が。その中で、中小企業経営者たちが「金融アセスメント法」の制定を求めて全国的な運動を起こした。中小企業や地域経済にどれだけ優しいか、銀行を格付けして公表するという法律である。もちろん、貸し渋り、貸しはがしをさせないのが狙いだった。  運動は99年5月の夜、福岡・博多の居酒屋で産声を上げる。福岡県直方(のおがた)市で産業機器を販売する「紀之国屋」の会長、中村高明(68)、福岡市で封筒をつくる「福岡製袋工業」の相談役、吉田昭和(67)、ビル管理「創建サービス」の社長、堺光則(61)の3人が杯を重ねていた。  話題は、その日の昼間にあった金融の専門家、立教大学の山口義行(57)の講演に及んだ。米国の法律を基に金融アセス法を思いつき、ひとりで国会を回って提唱していると話していた。名古屋の繊維問屋に生まれ、経営者の苦労をよく知る学者である。金融アセス法という発想も、「アントレ会」という愛知の中小企業経営者との勉強会での議論から生まれた。 「学者先生が、わしらのためにがんばってくれてる。立ち上がらなくてどげんする」 「西から風を起すばい」  居酒屋の3人の意気は上がった。準備を進め、翌年秋、「福岡県中小企業家同友会」の理事長に金融アセス法を求める署名運動を持ちかけた。まずは福岡の企業を回り、2001年には街頭で署名集めを始めた。同友会は、中小企業の理想を考える経営者の交流会で、全国にある。運動のリーダー格になった中村は、各地の同友会に出かけていって「立ち上がろう」と訴えた。  中村らの呼びかけに、01年から03年にかけ、全国の中小企業経営者が繁華街に立ち、署名を集めた。貸し渋り、貸しはがしをやめろという訴えは、道行く人の共感を得ていった。  集まった署名は計101万。1004の地方議会が法制定を求めて意見書を国に出した。101万人署名は国会に提出された。   きっかけは「アントレ会」~アメリカの「地域再投資法」を参考に~  私は、愛知の若手経営者20名ほどとともに「アントレ会」(代表、木全哲也氏)と称する定期的な勉強会を組織し、経営問題だけでなく、マクロの経済・金融情勢を経営者諸氏が的確に把握できるようにと、すでに数年にわたって学習会を続けていた。  貸し渋りの嵐が吹き荒れていた1998年、暮れも押し詰まった頃、アントレ会のメンバーからこんな電話をもらった―「私たちの方から、何か政策を提案するようなことができませんかね」。  ただ愚痴を言っているだけでなく、中小企業経営者の側から問題解決につながるような政策を提案していくべきではないかという声があがってきたのである。 ...”
第29回山口教授のコレが言いたい!2009年
“新政権に求む、中小企業担当大臣の設置! ――中小企業の目線から“選挙”を考える――  いよいよ国民が待望していた(?)衆議院の解散が実施され、総選挙の日程が「8月18日公示、同30日投開票」と決まった。本ニュースが配信されるころは、まさに選挙戦真っただ中ということになる。ところで、近年選挙の度に、私が政治家や中小企業団体などに訴えてきたことがある。それは「日本においても中小企業担当大臣を設置すべきではないか」ということである。 中小企業担当大臣設置を提言!  2002年12月頃だっただろうか。民主党代表に就任したばかりの菅直人氏に呼ばれ、中小企業の現状や中小企業政策について1時間ほどレクチャーしたことがある。  私は、不良債権処理の推進を掲げ、結果的に中小企業向け融資の貸し渋りを横行させてしまっている当時の小泉政権の施策に対し、民主党が十分な批判を展開できていないこと、また対抗軸となる政策も打ち出せていないことなどを指摘した。  その際、もう1つ、菅氏に重要な施策を提案したことを覚えている。それは、「中小企業担当大臣を設置したらどうか」というものである。菅氏は私の提案に強い興味を示し、以後民主党の『政策インデックス』の中に――残念ながらマニュフェストには記載されなかったが――「中小企業担当大臣の任命を検討する」という一文が明記されるようになった(2009版では「中小企業施策全般を一元的に担当する大臣を任命します」として、「任命を検討する」が「任命する」となっている)。 中小企業の目線で法案をチェックする大臣が必要  私は今も中小企業担当大臣の設置が必要だと考えている。主な理由は2つある。その1つは、中小企業の政治的地位の低さがさまざまな問題を引き起こしていること。  例えば、小泉政権下、金融庁が中小企業の実情を無視した画一的な金融検査マニュアルで金融機関を指導したために、中小企業が不当に「貸し渋り」を受けた。その後、金融庁も反省し、より現実的な「マニュアル」を作成するに至るのだが、政策ミスによって倒産してしまった中小企業はもはや戻ってこない。そんな時、金融庁の施策を中小企業の目線でチェックし、閣議でその是正を求める中小企業担当大臣がいたら、事態は大きく変わっていたかもしれない。  同様の問題は繰り返し起きている。2006年1月に閣議決定され、同年3月に衆議院を通過した中小企業増税策も同様である。これは、同属企業の社長が所得税を支払う際に認められる「給与所得控除」に法人税を課すというもの。税理論上も矛盾に満ちた施策だが、増税対象企業が「会社全体の2%程度、5~6万社でしかない」という財務省の説明を真に受けて、閣議でもほとんど議論されないまま法案提出が決定された。  税理士会の調査では、実際には30%、70万社ほどが増税対象になることが当時すでに予想されていた。結局、法施行1年後には、対象となる中小企業の所得水準を引き上げるなどして増税対象企業を減らす調整がなされたが、これもやはり中小企業の目線で法案をチェックする中小企業担当大臣の必要を示す事例である。  このように、担当大臣を持たないという中小企業の政治的地位の低さが、中小企業の現場に様々な負担や混乱をもたらしている。私はこうした現状を是正したいのである。ちなみに、フランスでは中小企業担当大臣が閣僚の一員であり、アメリカでは中小企業庁長官が閣議に参加できる仕組みになっている。 縦割り行政に横ぐしを入れるために    いま1つの理由は、今日では「中小企業というテーマ」はもはや縦割り行政では対応しきれないということ。例えば、環境政策にしろ、地域活性化策にしろ、政策推進にあたって中小企業の問題は避けて通れない。また、医療や福祉さらには農業の分野でも、中小企業の活用は重要な課題になっている。中小企業の側からみても、環境分野や医療・福祉分野への進出は、今や真剣に追及されるべき経営課題である。  このように中小企業のもつ重要性が高まり、その活動分野が多岐にわたる現在においては、従来の縦割り行政だけでは中小企業政策は十分に展開できない。その縦割り行政に「中小企業」という観点から横ぐしを入れる行政改革が必要なのである。  現在中小企業政策を担う中小企業庁は、経済産業省の「外局」という位置づけにある。これを金融庁のように内閣府の「外局」に位置づけ、金融庁が金融担当大臣を持っているように中小企業担当大臣を置いて、中小企業庁が他の省庁と対等の関係に立って中小企業政策を推進していく体制が求められているのである。 各党の対応  以下は、2007年参議院選挙の際に東京中小企業家同友会が行った公開質問状に対し各党東京都本部が示した回答である。「中小企業省を設置し、中小企業担当大臣を置くことについて、貴党のお考えをお聞かせ下さい」という問いに対するもの。参考までに掲載しておく。(なお、下記はあくまでも07年参議院選挙の際のものであり、今回の衆議院選挙における「質問と回答」ではないので注意されたい。なお、順序は当時の回答順)。 ...”
第28回山口教授のコレが言いたい!2009年
“若者の「消費者化」が、日本に危機を呼ぶ(3) ――“問う力”が試される時代――  スモールサンニュース5月号・6月号の2回にわたって、このコーナーで現代の若者について論じてきた。いつものように、会員諸氏からはさまざまなコメントをいただいた。  その多くは、若者たちの「受け身の姿勢」を嘆きながらも、「大人のほんの一言、ちょっとしたアドバイスで若者が劇的に変化する」こともあるなど、私たちがあきらめないで若者たちと積極的に関わっていくことの重要性を指摘するものであった。  また、若者のやる気を削いでいる現代日本社会の風潮や大人たちの姿勢にも問題があるのでは?とするコメントもあった。気づかないうちに、私たち大人が若者たちの成長を阻害する「重し」になっているのかもしれない。このことに、きちんと目を向けるべきだとする主張である。  いずれも真剣かつ示唆に富んだコメントばかりである。この場を借りて、あらためて謝意を表したい。 社会への「不信」が、若者の“消費者化”の一因になっている さて、若者の「消費者化」の背景には、そもそも何があるのか。  通常、よく指摘されるのが「物質的豊かさ」である。モノが溢れ、欲しいモノが簡単に手に入るようになると、物事への主体的な取り組みや要求実現までの忍耐の必要が減少する。それが「受け身」で「弱々しい」若者を生み出しているというのである。  私もその通りだと思う。ただ、最近の若者を見ていると、こうしたことだけでは説明できない何かがあるような気がしてならない。それは、簡単に言えば、最近の若者たちに顕著な「社会に対する不信感」あるいは「しらけ」である。その背後には、近年の日本社会がこれまでにも増して激しい動揺を体験してきたという事実がある。  例えば、「終身雇用」の崩壊。毎日遅くまで仕事をし、会社のために尽くしてきたはずの父親たちがある日突然リストラにより職を失う。そういう親世代の状況を目の当たりにしてしまえば、若者たちは社会や会社に強い不信感を抱くようになる。「コツコツがんばってもダメな時はダメになる」。こんな感覚が、彼らに社会や会社と「距離をおいて暮らす」生き方を選ばせる。  史上まれに見る支持率を獲得し、マスコミがもてはやした小泉政権が追求したものは、日本社会の「アメリカ」化。それを「改革」と称して、煽りに煽ったのが小泉純一郎氏である。その言葉に踊らされて、政治に興味を持たなかった若者たちも投票所に押し寄せた。  ところが、それもつかの間、そのアメリカが世界の危機の震源地となり、今や世界はアメリカが進めてきた「市場原理主義的改革」からの転換を迫られている。そのことについて、小泉氏だけでなく、小泉路線を持ち上げたマスコミや評論家たちも「しらんぷり」を決め込んでいる。数年前の熱狂は一体何だったのか? 若者たちと社会との距離はますます遠くなる。 “なぜ ”という「問い」が主体性を呼び起こす  今の若者たちは、そんな時代に生きている。そう認識するからこそ、私は今、若者たちに「問う」ことの重要性を訴えている。 「適当なところで『分かった』ことにしないで、もう一度“なぜ”と問うようにしなさい!」と、繰り返す。この“なぜ”という「問い」こそが、彼らに「主体性」を呼び起こすにちがいないと考えるからである。 「会社のために一生懸命がんばってきたはずの人が、なぜリストラにあわなければならないのか?」――この「問い」が経済政策のあり方や社会的セーフティーネットへの関心を呼び起こし、若者の政治参加を促すかもしれない。あるいは、こうしたリストラへの「問い」がきっかけになって、社会や会社が求める人材とはどういうものか、能力向上のために自分自身は何をすべきかを考えるようになるかもしれない。いずれにしても、若者たちは自分と社会との関わりを意識しはじめるはずである。 ...”
第27回山口教授のコレが言いたい!2009年
“若者の「消費者化」が、日本に危機を呼ぶ(2) ――若者に“自分の位置”を知らしめる――  スモールサンニュース5月号のこのコーナーで、中小企業後継者難の背後にあるものとして若者の「消費者化」について言及した。今回は、この問題についていま少し踏み込んでみたい。 若者の消費者化とは・・・ まずは、前号での問題提起を簡単に振り返っておくことにしよう。近年の若者を特徴づける「消費者化」現象――これを前号では、学生たちに散見される事例を挙げながら、下記のように指摘した。  私の職場は立教大学である。その立教大学の学生の中には、例えば早稲田大学を1年で辞め、あらためて入試を受けなおして立教に入学してきたという者がいる。 「なぜ、1年で辞めてしまったの?」と聞くと、彼らは、大学に入ってはみたものの、「思ってたのとは違ってたから」と答える。  私のゼミでも、入ゼミ後1ヶ月もしないうちに――言い換えれば、たった一度もゼミでの発表を体験しないうちに――ゼミを辞めたいと申し出てくる学生が毎年のように現れる。「なぜ?」と問うと、答えはやはり同じ。いろいろ期待してゼミに入ったものの、「思ってたのとは違ってた」からだという。同様のことは、入社後数ヶ月で退社してしまう若者たちにも見られる。  こうした彼らの行動は、あたかもレストランに入って「思ってたのとは違ってた」といって、別のレストランに入りなおす消費者と同じ。彼らはまさに「消費者感覚」で、自分の居場所を探しているのである。  退ゼミを申し出た学生に、「思ってたのと違ってた」のなら、「思ってた」ようにゼミを変えようとは思わないのかと尋ねてみると、彼らはびっくりしたような顔をしてこう答える。「そういう発想は僕にはありませんでした」。  親鳥が餌を口に入れてくれるのを待つひな鳥のように、そこに確認されるのは、若者たちの徹底した「受け身の姿勢」である。自分を取り巻く環境の変革に、自ら取り組もうとする主体的な姿勢はそこにはない。・・・  中小企業の後継者問題は単に経営上の問題ではない。その背後には、若者の「消費者化」という時代を特徴づける社会問題が存在している。こうした認識に立って、私たちの世代が問題解決に積極的に取り組んでこそ、社会の活力も維持される。・・・では何をすべきか。 以下では、私が学生と接する際に心がけていることを述べてみたい。 「ちゃんと挫折しなさい!」   まずもって私たちが頭に入れておかなければならないことは、若者たちが発する言葉が必ずしも真実(本音)を語ってはいないということである。ゼミを辞める理由として、彼らが挙げる「思ってたのと違ってた」という言葉も同様である。多くの場合、それが自身の挫折感を覆い隠すために用いられている。 「ゼミに入って頑張ろうと思っていましたが、僕には無理でした」と言えば、挫折の理由は自分自身の中にあることになる。しかし、「思ってたのと違ってたからです」と言えば、挫折の理由は学生本人ではなく、ゼミの側にあるか、あるいは単なる情報不足ということになる。  こうして、巧妙に自分の問題を他者の問題にすりかえ、自らを免罪する。しかも、この「すりかえ」に本人も気づいていない。正確に言えば、気づきたくないのである。したがって、彼らに対し、「『思ってたのと違ってた』のなら、『思ってた』ようにゼミを変えればいいではないか」と説教してみてもはじまらない。  若者の「消費者化」の背後には、実は、自分自身と正直に向き合おうとしない若者の「弱さ」、あるいは「ずるさ」がある。私たちは、そのことを頭に入れておく必要がある。 ...”
第25回山口教授のコレが言いたい!2009年
“最近の円安をめぐる3つの論点 ―アメリカ、日本そしてドル― 「最近の円安をどう読むかについて、ご意見をお寄せください」と呼びかけるスモールサン会員向け一斉メールを4月5日送付させていただいた。多くの会員から、多様なご意見をいただいた。そこで今回は、その方々への感謝の意味も込めて、お寄せいただいたご意見を再考にしながら、「最近の円安をめぐる」論点を整理し、あわせて若干の私見を述べることとしたい。 3つの論点 お寄せいただいたご意見はどれも決して「相場の当てっこ」に参加するといった低レベルなものでなく、為替相場に表現されていると思われる世界経済の構図や問題点を、できるだけ論理的に捉えようと試みたもので、お世辞ではなく、それぞれ本当に学ぶべき点の多いものであった。その多様な意見を、ニュアンスの違いなどを捨象して大胆に整理してみると、論点は以下の3つに集約されるように思われる。  その1つは、アメリカ経済の現状と先行き、とりわけオバマ政権の政策効果をどう見るかをめぐるもの。アメリカ経済の現状や先行きを比較的楽観的に捉え、またオバマの経済政策を高く評価しようとする見解は、最近のドル高・円安を正当なものと位置づけ、今後も同様の傾向が続くと見る。少なくとも、円高への揺り戻しは生じないであろうと判断する。これに対し、米国経済の痛みを深刻なものとみなし、オバマの政策効果についても疑問視する人々は、「オバマ期待」から一時的なドル高・円安が起きても早晩円高方向への揺り戻しが生じると考える。  第2の論点は、日本経済の現状や先行きをどの程度厳しく評価するかをめぐるもの。これを悲観的に捉える人々は現状の円安を正当と見るのに対し、日本経済の回復力に信頼を寄せる人々は遅かれ早かれ円高に向かうと予測する。  第3の論点は、国際通貨ドルの位置づけに関するものである。アメリカを中心に深刻な金融・経済危機を体験したものの、ドルを基軸とした国際通貨体制に揺らぎはなく、むしろドル体制を守ろうとする国際間の暗黙の合意がドル高を生み出していると考える。これに対し、この度の危機を経て、国際通貨ドルへの信認も低下せざるをえないと考える人々は、いずれドルは下落の軌道を歩み始めることになるであろうと予測する。   アメリカ経済の本格的な調整はまだ始まっていない  まず、第1の論点についてであるが、悲観・楽観どちらの見解に立つにせよ、忘れてならないことがあることを指摘しておきたい。それはアメリカ経済の本格的な調整はまだ始まっておらず、これからが本番だということである。  日本のバブル崩壊後の歩みを思い起こしてもらいたい。不動産バブル崩壊後景気後退が鮮明化する中で、小渕政権は徹底的な「バラマキ政策」を実施し、財政支出によって不足した需要を補うことで経済の落ち込みを防いだ。その結果、大幅な資産価格(特に土地・不動産)の下落があったにもかかわらず、日本経済はGDP成長率がマイナスに陥ることもなく推移することができた。  しかし、それで日本経済が回復軌道を取り戻したかといえば、そうではない。結局は小泉政権下での不良債権処理を伴う構造調整(「痛みを伴う改革」)を経なければ、回復軌道に乗ることはできなかった。このプロセスは、バブル崩壊から景気回復へという道のりにおいては――そのやり方の良し悪しは別として――どうしても経なければならないものである。  現在オバマ政権が打ち出している巨額な財政支出政策は、小渕政権下のそれと同じである。それは「痛み」を和らげる効果はあっても、それだけで経済が回復軌道に戻るわけではない。実際、アメリカではいわゆる不良債権処理はほとんど進んでいない。オバマ政権は不良債権(資産)を買い取る機構の設置を打ち出してはいるが、それもなかなかスタートさえ切ることができず、実施が危ぶまれているのが現状である。  また、不良債権問題は、他方では不良債務問題である。多額の債務を抱え、傷んでしまった個人や企業をどうするか。この問題は、政府が何らかの基金を作って不良債権を金融機関から買い上げたからといって解消するものではない。経済の回復のためには、痛んでしまった個人や企業のバランスシートを修復し、企業で言えば、在庫だけでなく、設備、人、負債などの過剰を解消して新たに積極的な活動を始めることが必要である。そうなるには、まだまだ時間がかかる。日本がバブル後遺症に苦しみながら、失われた10年を体験したのも、この調整が過酷かつ長期を要するからである。もちろん、この調整過程を大胆かつ短期でやろうとすることは不可能ではない。ただしその場合には、傷口はさらに大きくなるため、「景気底割れ」の危険を覚悟しなければならないし、政権支持率も大きく下落しかねない。  日本の経営者に必要なことは、ニューヨーク株式市場の動向やオバマの演説の上手さに惑わされることなく、上記のようなプロセスが現実にどのように進行して行くのか、それを冷静に見極めることなのである。 「日本にはできなくてもアメリカならできる」、「なんといってもアメリカはすごいパワーを持っている」、「日本なら10年かかってもアメリカなら1~2年でやるにちがいない」――日本国民の間には、いつの間にか「アメリカ信奉」のようなものが出来上がっている。今こそ冷静に、現実がたどるはずのプロセスやメカニズムを頭の中で描きながら、「アメリカ経済の回復」をイメージする必要があろう。 浮き彫りになった日本経済の課題  2つ目の論点である日本経済については、別コーナー「インタビュー:景気を読む」などで逐次取り上げていくので、ここでは詳しく論じることはしない。ただ、円安をめぐる論議の中で、日本経済の2つの課題が浮き彫りになったことだけを指摘しておきたい。  その1つは過度の輸出(外需)依存体質の是正、いま1つは、過度のアメリカ依存体質からの脱却である。 「アメリカ経済の落ち込みの影響をもっとも大きく受けるのは日本、その深刻度は当のアメリカより厳しいものになる」――会員の意見の中にも、そういう国際的な「評価」が最近の円安の背景になっているのではないか、とする指摘が多く見られた。私も、その通りだと思う。これは、言い換えれば、日本経済が上記の2つの課題を背負っているのだということでもある。また、その課題克服のための施策を明確に打ち出せていない麻生政権への不信も、円安の背景になっていることを意味する。  これら2つの課題のうち、後者については、私は遅かれ早かれ日本企業の戦略ターゲットがより鮮明にアジアにシフトするという形で、徐々に克服に向かうのではないかと考えている。今後は、嫌が上でも、アジア仕様の製品やサービスを本格的に打ち出していくことで日本企業と日本経済の回復が模索されていくことになるだろう。  私がキャスターを務める報道番組「こちら経済編集長」(BSジャパン) では、4月12日に「アジア・シフトで景気に底を打て」と題する編集長コーナーを放映したが、日本の企業(特に大企業)に求められるのはこの姿勢である。そうした努力なしに、単に「アメリカ経済の回復頼み」を続けているとすれば、やがて日本はより深刻な円安、またその国際的地位の大幅な後退を余儀なくされるにちがいない。しかし私は、日本企業はそれほどひ弱ではないと信じている。 円安の進行は「ドルの信認の広がり」を意味しない  3つ目の論点、ドル体制についてであるが、ここでも注意すべきことが1つある。それは、最近の円安進行の過程で、ドルは円に対しては上昇しているが、ほかの多くの通貨に対してはむしろ下落しているという事実である。  金融危機の最中、ドルが一気に世界から母国アメリカに逃げ込んだために(詳しくは、拙編著『バブルリレー』参照)一時的にドル高が生じていたが、金融が落ち着きを取り戻す中で、その是正が起きて、再びドルが特に新興国通貨に対して低下しはじめている。  例えば、ドルはウォンに対して一時1ドル=1500ウォン台半ばまで上昇したが、それが今日では1300ウォン台前半にまで低下している。ちなみに、本年3月に115とピークをつけたドルの「対広域通貨指数(貿易加重平均)」は、4月に入って110まで低下している。すなわち、全体で見ればドル価値は低下しているのであり、その意味で、最近の円安・ドル高局面は決してドルの信認回復の過程とは言えないのである。  もちろん、だからといって、ドルを基軸にした国際通貨体制に動揺が起きているというわけではない。ドルに取って代わる国際通貨が現れない限り、ドル体制は続く。しかし、それとドル相場の安定とは別問題である。実際、ドルが国際通貨としての地位にある中で、為替相場は1ドル=360円から一時は1ドル=80円程度にまで下落した。ドル体制は維持されながらも、ドル価値は低下するのである。当たり前のこととはいえ、この事実もしっかり頭に入れておく必要がある。  今回議論の遡上に載せた為替相場の問題とは別に、アメリカを襲った金融危機がドル中心の国際通貨体制に今後どのような影響を及ぼすか(あるいは及ぼさないか)は、きわめて重要な研究テーマである。この興味深い問題については、いずれまたスモールサン会員の皆さんの意見も拝聴した上で、あらためて論じることとしたい。 (2009年4月10日執筆) (2009/スモールサンニュース4月号より) ”
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番組出演「2013」
“ 2013年12月26日(木) 文化放送 毎週月曜日~金曜日07:00~9:00[35回] 番組名:「福井謙二 グッモニ」 【ニュースピックアップ】仲井沖縄知事、辺野古移設承認へについて 【福井の新聞まとめ読み】日経新聞『「デフレの勝ち組」窮地 回転寿司、初の大型再編』について 【ニュース物申す】今日で発足から丸1年、安倍政権の通信簿。 2013年12月25日(水) BS11 毎月第4水曜日23:00~24:00 番組名:山口義行の中小企業新聞 テーマ:第1部「どうなる?2014年の経済、中小企業」     第2部 元気にしてくれた中小企業アワード表彰  ...”
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番組出演「2012」
“ 2012年12月22日 BS11 毎月第4土曜日15:00~16:00 番組名:山口義行の中小企業新聞 テーマ: 第1部 経営の壁を突破せよ ...”
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執筆活動「2012」
“著書 スモールサン出版 2012年6月9日 初刊 『〝ホント〟の経済』 『スモールサンニュース』 2012年12月号 『巻頭論文 “新政権に望む”~今こそ「中小企業が発展できる国づくり」を!~』 『巻頭鼎談 "経営の壁" 〜あなたはそれをどう乗り越えたか〜 鈴木実×近藤正人×山口義行』 『第48回 山口義行の「景気を読む」  世界不況の波が日本経済を覆い始めた!~「金融緩和」では景気はよくならない~』 『知っとこNews 1.中小企業のCO2排出削減分を1トン1500円で大企業に売却! 〜年明けに制度開始、政府方針〜 2.朝日新聞主要100社アンケートで、企業の景況感悪化が鮮明に! 〜24社が来年3月の景気後退傾向を予想、6月調査比3倍の増加〜』 『連載/「社長」の言葉「伝わってますか? 第14回「聞かせる自分」をつくる~赤鉛筆と青鉛筆』 2012年11月号 『巻頭座談会金融マンが語る"貸したい会社"、"貸したくない会社"~中小企業が金融機関と「より良い関係」ょ築くために~覆面座談会』 『巻頭論文 "技術"と"文化"~「技術」が「文化」を支え、「文化」が「技術」を支える~』 『第47回 山口義行の「景気を読む」 景気早期回復論は信用できるか? 相次ぐ景気悪化指標~GDPもマイナスに~』 『知っとこNews ・景気悪化示す指標相次ぐ 〜「対中輸出14%減」「流通サービス急落」「分譲マンション弱含み」〜 ・円滑化法終了にらみ、大田区が金融相談 〜銀行が「貸したい企業」とは? 「貸したくない企業」とは?〜 『連載/「社長」の言葉「伝わってますか?第13回「使える論理」 「回り道」の論理』 2012年10月号 『巻頭論文 竹中流「市場原理主義」では中小企業は育たない!!~「維新の会」ブレーン竹中平蔵氏の経済イデオロギーを問う~』 『巻頭対談「"ちいさな企業"未来会議」で何が変わるのか〜中小企業庁課長増田仁氏に聞く、新しい中小企業支援策〜』 『第46回 山口義行の「景気を読む」 下降局面に入った日本景気 ・「緩やかな回復」→「足踏み」→「弱めの動き」~内閣府「景気判断」も示す景気局面の変化~ ・萎む「外需」回復への期待~「強気」予想をしていたエコノミストたちが見落としていたもの~ ・中小企業の倒産が多発する可能性が高まっている!~中小企業経営者は「円滑化法」で緩んだ気持ちを再度締めなおさなければならない~』 『知っとこNews円滑化法期限切れを前に倒産急増!! 〜管理会計を学んで、経営計画を作れる経営者になろう!〜』 『連載/「社長」の言葉「伝わってますか?   第12回「使える論理」――量質転化』 2012年9月号 『巻頭論文 "頑張らない経営"で成長し続ける!!~加藤修一会長の言葉から紐解く「ケーズデンキ流」経営哲学~』 『巻頭対談 "新しいアジア"と日本の中小企業 萩原直哉×山口義行  〜ミャンマー・カンボジアへの海外展開を考える~』 『第45回 山口義行の「景気を読む」「弱含み」示し始めた日本景気~懸念される米国QE3の日本のへの悪影響~ (1)QE3はアメリカの身勝手かつ無意味な政策~アメリカでも主要エコノミストの6割が「効果なし」と判断 ~ (2)QE3による円高進行で日本経済に打撃も~日本の政府や経済新聞がQE3を「歓迎」するのはおかしい!~ (3)日本景気、外需の落ち込みで「足踏み」から「弱含み」へ~8月の中国輸入、7か月ぶりのマイナス~』 『知っとこNews今月は以下の2つです。 1.中小企業向け全額保証、対象業種を4割縮小 〜「管理会計」を学んで、銀行と対等に交渉できる経営者になろう!〜 2.「16か国自由貿易圏(アセアン+6)」、15年合意目指す! 〜「TPPに参加しなければ日本は世界の孤児になる!」はますます空虚に〜』 『連載/「社長」の言葉「伝わってますか?  第11回「使える論理」――合成の誤謬』 2012年8月号 『巻頭論文 中小企業のグローバル人材育成を海外青年協力隊の活用で!』 『巻頭対談 「畳屋道場」そこで何を学んだか! 鏡芳昭×山口義行 ~和のビジネス"再生に挑む若き経営者たち~』 『第44回 山口義行の「景気を読む」【「回復」から「足踏み」へ~スローダウン避けられない日本景気~】 ●消費税増税で14年度はマイナス成長に陥るかも・・という予想 ●「海外経済の回復は遅れる」と日銀も言い始めた!~中国の7月の輸出は前年同月比1%しか伸びず~ ●弱含む国内消費~内閣府が2か月連続で下方修正〜 ●「回復」から「足踏み」へ~スローダウン避けられない日本景気~』 『知っとこNews 円滑化法期限切れを前に倒産急増!! 〜管理会計を学んで、経営計画を作れる経営者になろう!〜』 『連載/「社長」の言葉「伝わってますか? 第10回「論理」ってすごい!「どんな論理を組み立てる」』 2012年7月号 『巻頭論文「補論」"会社を引き継ぐ"覚悟を問う! ~「社員の主体性をどう育むか」に悩む次期経営者からのメールに寄せて~』 『巻頭対談 日本の「モノづくり」は負けたのか?風間善樹×山口義行  ~東京エレクトロンの「育ての親」が語る日本製造業の現状と今後~』 『第43回 山口義行の「景気を読む」 正念場にさしかかる日本景気 【内需に支えられて「緩やかに回復」してきた日本景気だが・・・】 【6月の工作機械受注は前年比15%減~けん引してきた自動車向けが低調に転じた~】 ...”
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執筆活動「2011」
“『雑誌』 『公明』2011年7月号 「被災中小企業に早急に強力な支援策を」 『世界』2011年4月号 「どのような国づくりを目指しているのか――『理念』と『対話』を欠いた菅政権の経済政策――」 『スモールサンニュース』 2011年12月号 『対談 "小出流"売れる商品の仕掛け方~10年で750件のヒット商品を生んだプロに学ぶ!~』 『山口義行のコレが言いたい「TPP参加問題」再論 ~「知らないまま」「知らされないまま」の「参加」でいいのか~』 『山口義行の「景気を読む」第36回 日本の景況判断、内閣府が5地域で下方修正』 2011年11月号 『巻頭インタビュー TPP、何が問題なのか~中小企業にとっても他人事ではない!~』 『山口義行の「景気を読む」第35回 冷え込むヨーロッパ景気』 『山口義行の「社長の言葉、伝わってますか? 第2回「キーワードで締めくくる――自分史を語るだけでは伝わらない!」』 2011年10月号 『巻頭インタビュー ヨーロッパ金融不安のゆくえ~ギリシャは本当にデフォルトするのか~』(注:山口義行の「景気を読む」第34回に替えて) 『山口義行のコレが言いたい「日本化」と「アメリカ病」 ~「失われた10年」に悩まされるアメリカ~』 2011年9月号 『対談 中国経済の"リアル"を掴め!~再び産業タイムズ社上海支局長に聞く~』 『山口義行のコレが言いたい 中小企業経営者は菅政権の「失敗」から何を学ぶべきか ~「理念」と「対話」と「信頼」を欠いた経営の危うさ~』 『山口義行の「景気を読む」第33回 後退局面入りしたユーロ景気 ~世界景気が連鎖的にダウンし始めている~』 2011年8月号 『対談 「通販」に学ぶ中小企業の販売戦略〜白川博司氏に、中小企業の販売戦略について〜』 『山口義行のコレが言いたい 被災中小企業への支援を急げ! ~地域金融機関の“魂”が問われる二重債務問題~』 『山口義行の「景気を読む」第32回 世界景気の局面変化を映し出した世界同時株安』 2011年7月号 『巻頭対談 製造業の震災復旧と中小企業~中小企業は今こそ「情報過疎」を脱し、自立と飛躍を目指せ!~ 産業タイムズ社 事業開発部長 吉満大輔氏 聞き手 立教大学教授 山口義行 』 『山口義行のコレが言いたい 安易な消費税増税論に潜む危険~少なくとも実態を踏まえた議論を~』 『山口義行の「景気を読む」第31回 ...”
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番組出演「2011」
“ 2011年12月29日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年12月24日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年11月27日 NHK総合テレビ 毎週日曜08:25~08:57 番組名:サキどり↑ テーマ:世界にGO!極細繊維で元気な中小企業 2011年11月26日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年11月24日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年10月27日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年10月22日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年10月21日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年9月24日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年9月23日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年9月19日 NHK総合テレビ 毎週月曜~木曜23:25~23:50 番組名:Bizスポ テーマ:円高で加速する企業の海外進出 2011年9月16日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年8月27日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年8月12日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年8月5日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年7月23日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年7月15日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年7月1日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年6月25日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年6月3日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年5月28日 朝日ニュースター 毎月第4土曜日22:00~23:00 番組名:山口教授の“ホントの経済” テーマ: 2011年5月24日 NHK総合テレビ 毎週月曜~木曜19:30~19:56 番組名:クローズアップ現代 テーマ:町工場 アジアの“先生”になる 2011年5月15日 NHK総合テレビ 毎週日曜08:25~08:57 番組名:サキどり↑ テーマ: 日本の“隠れたチャンピオン” たち 2011年5月6日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! テーマ: 2011年5月5日 NHK BS1 5月3日~5日三夜連続 番組名:イギリス ブランドパワー~ピンチを乗り切る極意~ テーマ:ザ・ピープルズ・スーパーマーケット 2011年5月4日 NHK BS1 ”
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執筆活動「2010」
“ 「労働対策 3つの逆説」労働政策研究・研修機構『ビジネス・レーバー・トレンド』2010年12月号 「“中小企業の国際化”が日本経済を救う」『世界』2010年10月号 『スモールサンニュース』 2010年12月号 『巻頭対談 ロシア経済と日本の中小企業      ~オポラ・ロシア(ロシアの支柱)在日代表に聞く~      オポラ・ロシア在日本代表 タメルラン・アブジケエフ氏』 『山口義行の「景気を読む」第24回 2010年の日本経済を振り返って 』 『山口義行のコレが言いたい “5%の新規性”を実践しよう! ~「小さな挑戦」が未来を開く~』 2010年11月号 『対談 中小企業は女性を活かして強くなれ!~明日からでも実践できる女性活用術~ 対談相手:小島貴子氏(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科准教授/埼玉県雇用・人材育成推進統括参与) 対談相手:櫻井浩昭氏(株式会社ストラテジック代表取締役/中小企業サポートネットワーク・人財育成プロデューサー)』 『山口義行のコレが言いたい "中小企業の国際化"は国内の雇用を増やす!~単純な「空洞化論」は誤り~』 『山口義行の"景気を読む"第23回 アメリカの追加金融緩和策の問題点と日本への影響』 2010年10月号 『対談 何が韓国経済の躍進を生み出したか~その5つのキーワード~ 対談相手:郭洋春(カク ヤンチュン)氏 (立教大学教授 経済学部長)』 『山口義行のコレが言いたい "政策への過度の期待"は現実を見誤らせる!~中小企業経営者は「政策効果」を冷静に分析する姿勢を持とう~」 『山口義行の"景気を読む"第22回 景気減速懸念がいろいろな数字に表れ始めた 」 2010年9月号 『山口義行のコレが言いたい 「民意」「世論」「市場の声」って何?~マスコミが振りかざす言葉の危うさ~』 『山口義行の"景気を読む"第21回 世界景気は緩やかに減速しつつあることを示す 』 2010年8月号 『対談 潜在する"自己革新力"を覚醒させよ! ~「老舗再生」の達人に「日本再生」の極意を学ぶ~ 対談相手:鰐渕 美恵子氏 (銀座テーラーグループ 代表取締役)』 『山口義行のコレが言いたい 元気企業の法則」を探れ①~「価格の多様性」に着目したTKP貸会議室ビジネス~』 「元気企業の法則」を探れ① 『山口義行の"景気を読む"第20回 アメリカ景気の減速がはっきりしてきた! ...”
30
番組出演「2010」
“ 2010年12月30日 朝日ニュースター 年末年始特番 番組名:山口教授の"ホントの経済" テーマ: 2010年11月7日 NHK総合テレビ 毎週日曜曜09:00~10:00 番組名:日曜討論 テーマ:“有言実行”を問う どうする予算・TPP 2010年11月5日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年10月29日 NHK総合テレビ 毎週金曜22:55~23:50 番組名:Bizスポ・ワイド テーマ:韓国のFTA、農業は? 2010年10月14日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年10月1日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年9月4日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2010年8月20日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年8月14日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00) 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2010年7月9日 フジテレビ (毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年7月9日 NHK総合テレビb 毎週金曜22:55~23:50 番組名:Bizスポ・ワイド テーマ:動き出した水ビジネス 2010年6月18日 NHK総合テレビb 毎週金曜22:55~23:50 番組名:Bizスポ?ワイド テーマ:菅内閣の経済政策を問う 2010年5月28日 フジテレビ毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年5月18日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年5月4日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年4月3日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2010年4月2日 フジテレビ 毎週月曜~金曜8:00~9:55 番組名:とくダネ! 2010年3月13日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2010年1月29日 NHK総合テレビ仙台放送局 19:30~20:43 番組名:クローズアップ東北スペシャル テーマ:不況を乗り切る 2010年1月22日 NHK総合テレビ徳島放送局 22:00~22:43 番組名:阿波スペシャル テーマ:ピンチをチャンスに~再生への鍵を探れ 2010年1月7日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:あなたのふるさとは大丈夫ですか?~前代未聞の商店街再生20年間の軌跡~ 2010年1月1日 朝日ニューススター 09:00~11:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル テーマ:“新春特集” ”
2009
12月
31
番組出演「2009」
“ 2009年12月31日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:“ニッポンの大決断 2009政権交代” 2009年10月15日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:「あなたはなぜ働くのですか? ~日本一優しい会社問い続けた50年~」 2009年9月3日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:我ら農業サラリーマン~日曜・祝日休みます~ 2009年8月29日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2009年7月25日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2009年6月26日 NHK綜合 毎週月曜日から金曜日の17:15~18:00 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:「夢のバクテリアでレアメタル回収」 2009年6月18日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:「ホームレスから社長に~こうしてどん底から這い上がった」 2009年6月11日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:「お葬式はなぜ高い?~格安でお坊さん派遣します」 2009年5月14日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:「老舗メーカーを立て直せ! 3代目がむしゃら娘の挑戦」 2009年5月1日 NHK綜合 毎週月曜日から金曜日の17:15~18:00 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:「尿もれも改善!?電気治療最前線」 2009年4月16日 テレビ東京 毎週木曜日22:00~22:54 番組名:ルビコンの決断 テーマ:「リストラか? 賃金カットか? 町工場の決断」 2009年4月3日 NHK総合 愛知・岐阜・三重・静岡・福井・富山向け、毎週金曜日19:30~20:43) 番組名:金とく テーマ:「不況に負けない~中部再生のヒントを探る」 2009年4月20日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の19:30~19:56 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「“貸し渋り”は防げたか~検証・中小企業金融支援~」 2009年3月14日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル テーマ:「失業、倒産、不景気 山口さんに聞く」 2009年2月27日 NHK福岡 第2~5金曜日 19:30~19:55 番組名:九州沖縄インサイド テーマ:「そこに雇用はあるのか」 2009年1月30日 NHK名古屋 毎週金曜日20:00~20:45 番組名:金とく(中部7県向け) テーマ:「どうする雇用 ~ものづくり中部 再生の模索~」 2009年1月23日 NHK仙台 毎週金曜日 19:30~19:55 番組名:クローズアップ東北スペシャル(43分拡大版) テーマ:「不況を乗り切る」 2009年1月1日 朝日ニューススター 毎週土曜日 11:00~13:00) 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル (新春スペシャル) テーマ:「2009年政治、経済、生活、国民がまんの年が続く!」 ”
30
執筆活動「2009」
“『スモールサンニュース』 2009年12月号 『対談 中山義活総理補佐官(中小企業担当)に聞く、中小企業支援策 対談相手:中山義活氏 (総理補佐官、中小企業担当)』 『山口義行のコレが言いたい中小企業に必要な3つの支援策』 『山口義行の"景気を読む"第12回量的緩和政策は効果なし! 』 2009年11月号 『対談 中小企業経営者は、中国経済を知ろう!(第1部)         ――中国経済の歴史と現状――  対談中小企業経営者は、中国経済を知ろう!(第2部)         ――中国経済の課題と今後―― 」 対談相手:藤井洋次氏 (立教大学兼任講師/中国経済専門家)』 『山口義行のコレが言いたいリスケ支援の包括的な政策パッケージを!』 『山口義行の"景気を読む"第11回政策効果で米国GDPがプラス転換! 』 2009年10月号 『対談 返済"モラトリアム騒動"をどう見るか ~あるべき中小企業資金繰り支援策は?~ 対談相手:櫻井浩昭氏(株式会社ストラテジック 代表取締役/スモールサン人財育成プロデューサー)』 『山口義行のコレが言いたい金融アセスメント法、再論!(2) ~中小企業経営者による"メイク・ドラマ"~」 『山口義行の"景気を読む"!第10回 進むドル安・円高――アメリカ「劇場」も幕引き?』 2009年9月号 『座談 史上初の『選挙による政権交代』、その意味を問う! 座談相手:桜井充氏 (参議院議員/医師) 座談相手:川村晃司氏 (テレビ朝日コメンテーター)』 『山口義行のコレが言いたい金融アセスメント法、再論!(1) ~中小企業経営者による"メイク・ドラマ"~』 『山口義行の"景気を読む"第9回いよいよ日経新聞の見出しに踊り始めた「商業用不動産問題」』 2009年8月号 『対談 「底割れ」のリスク抱えるアメリカ経済 対談相手:倉都康行氏 (リサーチ.アンド.プライシングテクノロジー株式会社 代表取締役)』 『山口義行のコレが言いたい新政権に求む、中小企業担当大臣の設置! ~中小企業の目線から"選挙"を考える~』 『山口義行の"景気を読む"第8回『底打ち』したといわれる景気はこのまま回復に向かうのか』 2009年7月号 『巻頭特別対談 バイオビジネスの"小さな試み"と大きな未来 対談相手:岡島麻衣子氏 (北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科研究員)』 『山口義行のコレが言いたい―若者の『消費者化』が、日本に危機を呼ぶ(3) ~"問う力"が試される時代~』 『山口義行の"景気を読む"第7回 ~景気底打つも、中小企業の体力はかなり落ちてきている~』 2009年6月号 『特別座談 日本の産業と中小企業はITをどう活用すべきか 座談相手:小野寿光氏 (株式会社HI-SO 代表取締役) 座談相手:亀岡孝治氏 (三重大学生物資源学部教授/社団法人ALFAE 会長) 座談相手:深井貴伸氏 (日本インフォメーション株式会社 取締役社長) 山口義行 立教大学経済学部教授』 『山口義行のコレが言いたい若者の『消費者化』が、日本に危機を呼ぶ(2) ~若者に"自分の位置"を知らしめる~」 『山口義行の"景気を読む"第6回"企業努力"を怠るな』 2009年5月号 『山口義行のコレが言いたい若者の『消費者化』が、日本に危機を呼ぶ(1) ~中小企業後継ぎ難の背後にあるもの~』 『山口義行の"景気を読む"第5回 演出された“米国景気の底打ち感”』 2009年4月号 『山口義行のコレが言いたい――最近の円安をめぐる3つの論点          ~アメリカ、日本そしてドル~』 『山口義行の"景気を読む"第4回 中国で生産回復、日本の対中素材輸出が拡大』 2009年3月号 『特別対談 ~どうなる?どうする?日本の中小製造業 日本の中小製造業の現状と今後について~ 対談相手:野長瀬裕二氏 (山形大学教授/新連携事業評価委員)』 『山口義行の"景気を読む"第3回下げ止まらない景気』 2009年2月号 『対談 ~いま求められる人材採用、人材育成のあり方とは?~ 対談相手:櫻井浩昭氏 (株式会社ストラテジック 代表取締役/スモールサン人財育成プロデューサー)』 『山口義行のコレが言いたい――中小企業は『リスケ』で不況から会社を守れ! ~金融庁と保証協会は足並みをそろえよ!~』 『山口義行の「中小企業が景気を読む意味」第2回 中小企業経営者がマクロ経済を勉強しても仕方ない? 』 2009年1月号 『山口義行のコレが言いたい――『未曾有の危機』は予測できた! ~問われる経営者・経済ジャーナリズムの責任~』 『山口義行の"景気を読む"第1回 中小企業経営者は“マクロ経済”に強くなれ!』 著書 岩波書店 2009年2月17日初刊 山口義行編著『バブル・リレー 21世紀型世界恐慌をもたらしたもの』 ”
2月
2008
12月
18
番組出演「2008」
“ 2008年12月18日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の19:30~19:56 番組名:クローズアップ現代 (73分拡大版) テーマ:「"未曾有"の危機 日本経済は乗り越えられるか」 2008年11月9日 NHKBS 毎月最終週の日曜日 第一部20:10~21:00、第二部21:10~22:00 番組名:新BSディベート テーマ:「危機に立つ世界経済 どうなる日本」 2008年10月19日 NHK総合 毎週日曜 09:00~10:00 番組名:日曜討論 テーマ:「中川大臣に問う 金融危機そして景気」 2008年10月17日 NHK総合 毎週月~金曜日 17:15~18:00 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:金融危機 2008年9月27日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年8月30日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年8月2日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年7月26日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年7月11日 NHK総合 毎週月~金曜日 17:15~18:00 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:「気になる現場;ゴルフ場の芝からバイオエタノール?!」 2008年7月4日 NHK総合 中部地区限定 毎週金曜 19:30~20:44 番組名:金曜特番 テーマ:中部が変わる!あす全線開通・東海北陸道 2008年5月2日 NHK総合 毎週月~金曜日 17:15~18:00) 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:今週のニッポン 2008年4月9日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜7時30分から7時56分) 番組名:クローズアップ現代 テーマ:税金400億投入~新銀行東京・石原都知事に問う~ 2008年3月29日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年3月26日 TBS  毎週月~木曜日22:54~00:25、金曜日23:30~00:50 番組名:ニュース23 テーマ:新銀行東京問題 2008年3月20日 NHK総合 夜11:00~11:30 番組名:EE感じに社会人 第二夜 テーマ:日常会話で使う経済用語講座 2008年3月8日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年3月3日 NHK総合毎週月~金曜日 17:15~18:00) 番組名:ゆうどきネットワーク テーマ:今さら聞けないサブプライムローン問題 2008年1月26日 朝日ニュースター毎週土曜日 午前11時から午後01時まで) 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2008年1月23日 NHK総合毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分) 番組名:クローズアップ現代 テーマ:地域再生のヒントを探せ ~地場産業 復活の条件~ ”
9月
30
執筆活動「2008」
“雑誌等 『企業環境金融年報』(中小企業家同友会全国協議会、企業環境研究センター) 2008年12月30日 「米国発金融危機と日本経済」 『世界』(岩波書店) 2008年11月 第784号 世界の潮 「金融資本主義」の終焉  進行する縮小均衡再編 『世界』(岩波書店) 2008年5月 第778号 「新銀行東京ー非現実的な計画と当然の大損害」 『世界』(岩波書店) 2008年3月 第776号 特集 「カジノ資本主義」の終焉? 「『バブル・リレー経済』の袋小路 ~動揺する米国一極支配~」 『中小公庫マンスリー』(中小企業金融公庫) 2008年3月号 「逆風下でこそ、中小企業の革新力が輝きを増す!」 著書 単行本(河出書房新社) 2008年5月22日初刊 『聞かせる技術』 ”
8月
7月
25
第21回 会社の成長にノルマは必要か?
“元記事 売り上げ目標の達成を唯一最大の価値とする"ノルマ至上主義"。ノルマ達成を目指して働くサラリーマンが日本経済を支えてきた。しかし、それによってさまざまな弊害が生まれていることも事実。最近はノルマ撤廃を掲げる企業も出てきている。 ノルマ主義見直しの動き 資生堂の前田新造社長は、本年4月3日記者会見を行い、「営業担当に対する販売高予算(ノルマ)を撤廃する」と述べ、今後は「プロセスを徹底して重視する方向へ転換する」とした。資生堂は2006年に化粧品を販売する美容部員の売り上げ目標を撤廃したが、今年10月からは化粧品店などの営業を担当する従業員の売り上げノルマも廃止する方針を打ち出したのである。こうした新たな動きとは裏腹に、未だに「ノルマによるプレッシャーは必要」「ノルマなしに会社の成長はありえない」と考える企業関係者も多い。「コレが言いたい」の第21回は、会社の成長とノルマについて考えてみることにしよう。 高度成長期にこそ適合的なノルマ主義 "ノルマ"という言葉はもともとラテン語であるが、ロシアで、旧ソ連時代に労働者に割り振られた仕事のことをノルマと呼んでいたようである。シベリアに抑留されていた日本人が使ったことから、日本で広がり、定着したようである。 こうした言葉の由来にも示されているように、ノルマ主義はいわゆる成果主義とは異なり、金銭面以外にもさまざまな精神的プレッシャーをかけることで、従業員を課題達成に向けて追い込んでいくという経営のあり方である。 こうしたノルマ主義が、日本の企業社会、とくに大企業で一般化した背景には高度経済成長という時代状況があった。60~70年代には、マーケットが急速に拡大しており、ノルマを設定して従業員のお尻を叩けば会社も成長できる状況であった。 とくに売上数値を「ノルマ」とするやり方は、以下の3点できわめて有効であった。 その一つは、目標を明確にするということ。「例えば良い社員になりなさい」という目標では具体的に何をすればいいかわかりにくい。これに対し、目標が売上の数字であれば、目指すべきことがはっきりしている。 二つ目は、人事管理がやりやすいということ。目標数値を「超えたか」、「超えられなかったか」、「どれくらい超えたか」、「どれくらい超えられなかったか」といった数値で人事考課をしていくことは、管理する側にとっても、される側にとっても分かりやすい。 三つ目は、従業員間に競争意識が高まるということ。上記のように人事評価が分かりやすいため、同僚に負けたくないとか、勝ちたいといった意識が刺激され、従業員のモチベーションが高まる。 ノルマの弊害 以上のように一見合理的に見えるノルマ主義だが、それをそのまま今日のような低成長時代に当てはめると、さまざまな弊害を引き起こすことになる。何よりまずノルマそのものが形骸化する危険性がある。マーケットの伸びそのものが低いため、いくらノルマを設定し、従業員のお尻をたたいても、ノルマ未達成が続出してしまう。それだけではない。。 顧客のニーズより数字決められた商品の売上数値を達成していくことが第一目標になってしまうため、顧客のニーズをきちんと把握することがおろそかになる。ノルマ主義が顧客との距離を広げかねない。 営業戦略が短期的自分が昇進できるかどうかは、その役職にいる間にどれだけ数字を上げられるかにかかっている。その結果、営業活動が短期の目標に振り回され、「すぐ売り上げには結びつかないが、数年後成果となって生きてくる」ような中長期的な戦略をもって活動することを怠るようになる。これが企業の経営戦略全体の短期化をもたらし、長期持続的な企業の発展にとってかえって障害になる。 従業員の人間性を犠牲数字を達成のみが「喜び」となってしまい、仕事本来の喜びを従業員から奪いかねない。ノルマが達成できないと会社に居にくいという雰囲気が暗黙に出来上がるため、労働強化を招き、従業員は精神的にも肉体的にも破壊されかねない。今日のサラリーマンのうつ病の増加など、精神障害の一つの背景にノルマ主義があると指摘する人は少なくない。 会社経営の不安定化ノルマ主義が会社経営を不安定化させるという危険もある。その典型が銀行であろう。80年代後半のバブル期、銀行員たちはノルマ達成に向けて借り手の企業の事情に頓着せず貸し込みを続けた。その結果、大量の不良債権を抱え込むこととなった。いったんそうした状況になると、今度は不良債権減らし・貸し出しの抑制がノルマとなり、貸し渋り・貸しはがしが横行した。銀行は信頼を失い、同時に顧客も失うこととなった。こうしたオーバーシュート現象が現在も繰り返されている。その背後には、とくに大手銀行に根強く定着しているノルマ主義体質があることは否めない。 新たな人事評価制度の模索 とはいえ、「ノルマがなかったのでは仕事へのモチベーションが下がるのでは」という声がなお強いのも現実。そこで問題になるのは、ノルマ主義に代わる新たな人事考課制度をどのように構築するかである。 たとえば、レンタルオフィスの管理・運営をするビジョンデザイン㈱では従業員の自主性を重視する人事評価制度を取り入れている。この会社では、ノルマを設定する代わりに自分で自分の「目標」を考えさせるシステムを採用している。しかも重要なのは、その「目標」がいわゆる売上数値などではなく、自らが目指す「社員像」との関係でさしあたりやるべき課題を自ら分解して設定し、それを目標化したものである。「○○冊の本を読む」とか「セミナーに参加する」とか「顧客との会話で使えるネタを収集する」とか、「目標」は多様である。1日1度その達成度合いを自己評価し、それを人事考課の資料にしていくという仕組みである。上原一徳社長は、「上司とか会社に目標を押し付けられるのではなく、自分で考えた課題を他者に向けて宣言することが大切。成果だけではなく、成果を達成しようとする努力の過程を見る。その過程で自分自身が成長の実感を得られていれば、やる気は自ずから出る」と述べている。 人材育成コンサルタントの櫻井浩昭氏は、最近のこうした傾向を次のように分析している。「企業が短期的な成長よりも長期的に持続可能な成長を意識するようになってきた。『収穫』や『刈り取り』だけでなく、『育成』や『種まき』もする社員を評価することに意識を向けてきた。ノルマであるとか、数字であるとか、業績を管理していくための評価制度ではなく、企業理念から派生した求める人材像であるとか、求める行動など、人事評価を人材育成のための一つの道具と捉える動きが広がりつつある」。 これは、「形の違ったノルマ主義」ではない。従業員一人ひとりが、自分としてはもっとこのようなことをしたいなど、自分のあるべき姿を描いて、今何をやるべきなのかを自分で課題設定し、その達成度を自分で評価し、会社がそれを人育ての一つとして活用するというやり方である。売上数値目標を設定し、従業員にそれを追いかけさせなくても、人が育てば、数字は後で必ずついてくる。そんな「思想」に基づく制度改革といえよう。 「コレが言いたい」〜ノルマ至上主義の克服に挑め!〜 ノルマがなくなれば、従業員の多くがサボるに違いないと考える企業関係者は多い。しかし、それはノルマ至上主義の中で育ち、それしか知らない人たちの単なる「思い込み」ではないのか。また、ノルマ至上主義の持つ弊害についてしっかりとした認識を持っていない人たちの発想ではないのか。人間はやりがいを多様な仕方で見出す。それは人によって違うし、時代によっても違う。数字だけで評価するのではなく、人間の多様な能力を多様な仕方で評価し、従業員のやる気や能力を引き上げていく、そんな会社が現代では求められている。「人が育つ場」を持っていない会社は、優秀な社員を逃す事になる。今こそ、多くの会社で「ノルマ至上主義の克服」という課題に挑む必要があろう。 (2008/7/25 執筆) ”
13
01
5月
2007
12月
29
番組出演「2007」
“ 2007年12月29日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年12月23日 NHK教育 日曜夜07時30分から07時55分まで 番組名:ビジネス未来人 テーマ:シリーズ 再生の達人④ ヒットをつかむ“超再生術” 2007年11月21日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:不良債権”は今 ~検証 金融危機10年~ 2007年11月17日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年9月23日 NHK教育 日曜夜07時30分から07時55分まで 番組名:ビジネス未来人 テーマ:シリーズ 古いものこそ価値がある④ “チョットひと工夫”で大ヒット 2007年9月15日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで) 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年8月25日 朝日ニュースター (毎週土曜日 午前11時から午後01時まで) 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年7月29日 テレビ東京 夜09時30分から11時まで 番組名:TXN参院選スペシャル テーマ:ザ・決断!国民の審判 真夏のビッグウエーブ 2007年7月28日 朝日ニュースター毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年 3月31日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年 3月22日 NHK総合 夜07時30分から75分 番組名:地域応援キャンペーン 発見!コロンブスの卵 テーマ:独自な地域活性化を紹介する 2007年 2月26日 NHK総合 毎週月~金曜日 17:10~18:00) 番組名:ゆうどきネットワーク 2007年 2月17日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2007年 1月20日 NHK総合 夜12時30分から01時45分 番組名:オンリーワンを探せ テーマ:独自な地域活性化を紹介する ”
10月
9月
30
執筆活動「2007」
“著書 中央公論新社 2007年6月10日 初刊 『現場に「解」あり!―中小企業の〝連携〟が未来を開く』 ”
8月
6月
5月
4月
3月
2006
12月
11月
13
番組出演「2006」
“ 2006年11月29日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2006年11月29日 テレビ朝日 毎週月曜日から金曜日 朝07時30分から09時55分まで 番組名:スーパーモーニング テーマ:夕張の悲劇 2006年10月26日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:町工場を廃業から救え~深刻化する後継者不足~ 2006年9月20日 テレビ朝日 から金曜日 朝07時30分から09時55分まで 番組名:スーパーモーニング テーマ:貸金業法案 2006年8月5日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2006年7月15日 朝日ニュースター 毎週土曜日 午前11時から午後01時まで 番組名:愛川欣也 パック・イン・ジャーナル 2006年5月29日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:シリーズ・デフレは終わったのか(1)変わり始めた消費 2006年4月25日 NHK総合 毎週火曜日の夜10時30分から10時59分 番組名:プライスの謎 テーマ:オトナがハマる食玩の秘密 2006年4月2日 BSジャパン 日曜昼12時から12時54分 番組名:こちら経済編集長 注目ニュース:「来年度予算成立、ポスト小泉候補4人発言」「財政制度審議会で消費税22%試算」「鉄鋼3社、敵対的買収防衛策で合意」 コーナー:「編集長のコレが言いたい」 テーマ:中小企業への大増税がやってくる * 以後、隔週でキャスターを担当 2006年2月24日 NHK教育 金曜夜10時25分から10時50分 番組名:ビジネス未来人 テーマ:時代のキーワード“しなやかな連携” ”
07
10月
9月
30
執筆活動「2006」
“雑誌等 『世界』(岩波書店) 2006年10月 第757号 「特集 石原都政8年を検証する 検証新銀行東京」 『アカデミア』(市町村アカデミー) 2006年1月 「地域再生を考える」 『産業情報とちぎ』(栃木県産業振興センター) 2006年1.2月合併号 「日本経済の展望と課題2006年」 『JIRニューズ』(常陽産業研究所) 2006年1月 「革新と創造の時代へーー2006年、社会と会社がなすべきこと」 対談 『近代セールス』(近代セールス社) 2006年2月1日 「これでいいのか!? 政策金融改革」(櫻井充民主党「次の内閣」金融担当大臣との対談) ”
8月
7月
6月
5月
2005
12月
15
番組出演「2005」
“ 2005年12月15日 テレビ東京 月~金午後03時30分から04時 番組名:クロージングベル テーマ:金融教育 2005年11月10日 NHK総合 木曜日夜09時15分から10時 番組名:難問解決 ご近所の底力 テーマ:大型スーパー撤退、買い物大作戦 2005年10月3日 朝日ニュースター 月~金、夜08時から08時55分 番組名:ニュースの深層 テーマ:郵政改革、自民vs民主 2005年8月27日 BSジャパン 論客が切る!郵政民営化 番組名:論客が切る!郵政民営化 2005年5月27日 NHK教育 ビジネス未来人 金曜夜10時25分から10時50分 番組名:ビジネス未来人 テーマ:“未来人”を読み解く 2005年5月14日 NHK総合 土曜日朝11時から11時29分 番組名:地球大好き環境新時代 テーマ:北九州発地域通貨、リサイクルに挑戦 2005年4月~9月 テレビ東京 朝7時から07時30分 番組名:ビジネス維新(レギュラーコメンテーター) ゲスト 和民、ポピンズ、ユニチャーム・ペットケア、星野リゾート、リスクモンスター、SBIなどの代表 2005年4月20日 NHK総合 水曜日夜07時30分~07時56分) 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「新銀行東京」中小企業を救えるか 2005年2月27日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「最適化のサムライ」(株)MCJ社長 高橋勇二 2005年2月25日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「お答えします。経営の悩み」 2005年2月6日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「甘熟するサムライ」(株)メリーチョコレートカンパニー社長 原邦夫 2005年1月23日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「実を結ぶサムライ」(株)インデックス社長 小川善美 2005年1月9日 テレビ東京 日曜日朝7時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「全開するサムライ」(株)光岡自動車会長 光岡進 2005年1月7日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:新春スペシャル2005 「環境と共生する企業へ」 ”
9月
30
執筆活動「2005」
“雑誌等 『近代セールス』(近代セールス社) 2005年12月15日 「『地域』のために金融機関は何ができるかーー新時代の創造に向け今こそ金融機関関係者の任務意識が問われている」 『経済セミナー』603号 (日本評論社) 2005年4月 「企業の将来性を見抜くための経済学」 『金融労働調査時報』653号(銀行労働研究会) 2005年2月 「地域再生・経済再生は現場からーーいま、金融労組・金融労働者に求められているものーー」 インタビュー 『ターンアラウンドマネジメント3』(月刊レジャー産業資料) 2005年11月 「地方企業再生に向けた新たな視点:中小企業を“主役”にすることで日本経済の再生が始まる」 『月刊プリール』(宣伝会議) 2005年7月 「CSRには長期的な戦略と仕組み、そして人間の知恵が必要である」 『JOYOARC』(常陽地域研究センター) 2005年6月 「地域を再生させる“現場力”」 対談 『近代セールス』(近代セールス社) 2005年6月15日 「特別対談:中小企業から見たリレーションシップバンキング」(三宅一男東京中小企業家同友会副代表理事との対談) ”
2004
12月
19
番組出演「2004」
“ 2004年12月19日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「取り持つサムライ」(株)モック社長 山田納生房 2004年12月10日 NHK教育 金曜日夜10時30分から10時50分 番組名: 21世紀ビジネス塾 テーマ:シリーズ東海ものづくり強さの秘密「異端児企業ここにあり」 2004年11月21日 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「渡走するサムライ」(株)オンデーズ社長 森部好樹 2004年11月7日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「超越するサムライ」(株)YAPPA社長 伊藤正裕 2004年10月31日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット)テーマ:「静燃なるサムライ」岡本硝子(株) 社長 岡本毅 2004年10月23日 NHK総合 土曜日朝11時から11時30分 番組名:地球大好き環境新時代 テーマ:汚泥が“宝の山”になる 2004年10月22日 NHK教育 金曜日夜10時30分から10時50分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「非営利パワーがヒットを生んだ~尾道発市民NPO奮闘記」 2004年10月17日 テレビ東京 日曜日朝07時から07時30分 番組名:サムライ魂(スピリット) テーマ:「負けないサムライ」株式会社東農園社長 2004年7月23日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時50分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「沖縄発 地元密着が生んだベストセラー」 2004年7月2日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時50分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「会社を変える補助金活用法」 2004年06月06日 NHK総合 日曜日夜09時ら10時14分 番組名:NHKスペシャル テーマ:「21世紀 日本の課題 シリーズ・景気回復は本物か 第3回 日本列島・再生への挑戦」 金子一義地域再生担当大臣と討論しました。各地の実践事例も、ビデオで紹介されました。 2004年05月25日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分) 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「あなたの投資が企業を変える~広がる社会的責任~」 2004年05月14日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時50分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:中小企業への融資、こう変わる 2004年04月09日 NHK教育 金曜日夜10時25分から10時50分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:誰が育てる? 次代の戦力~若年労働力教育のゆくえ~ 2004年03月08日 NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時56分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「地域経済は守れるか~足利銀行国有化から100日~」 2004年2月26日 NHK総合木曜日夜09時15分から 番組名:難問解決ご近所の底力 テーマ:生活のかなめ スーパーを守れ 2004年02月14日 NHK教育 土曜日夜09時から09時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:豆腐屋さん株式上場す 2004年01月17日 NHK教育 土曜日夜09時から09時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:シリーズ新春対談第2回 再生は地域から始まる 2004年01月10日 NHK教育 土曜日夜09時から09時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:シリーズ新春対談第1回 会社を元気にする経営者への道 ”
9月
30
執筆活動「2004」
“新聞掲載 毎日新聞 2004年11月29日 見出し:「中小企業のための経済教室ー金融アセスメント法」 毎日新聞 2004年10月18日 見出し:「中小企業のための経済教室ー経営者は学べ②」 毎日新聞 2004年10月11日 見出し:「中小企業のための経済教室ー経営者は学べ①」 日経金融新聞 2004年6月17日 見出し:竹中流ノルマ主義やめよ 雑誌等 『財政と公共政策』第26巻第2号(財政学研究会) 2004年10月 「地域金融の現状と展望」 『地域政策研究』第28号(地方自治研究機構) 2004年9月 「『現場』に学ぶ地域再生支援策」 著書 中公新書(中央公論新社) 2004年3月25日初刊 『経済再生は「現場」から始まる』 ”
3月
2003
12月
27
番組出演「2003」
“ 放送日:2003年12月27日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜夜11時30分から翌朝00時30分 番組名:金融シンポジウム テーマ:「どう変わった? 暮らしとお金~金融ビッグバンがもた らしたもの」 放送日:2003年12月12日 放送局:NHK総合 放送時間:金曜日夜07時30分~07時55分 番組名:九州沖縄金曜レポート テーマ:消える「蓄え」ー破たん 佐賀共済ー 放送日:2003年11月 9日 テレビ東京(深夜) 番組名:報道スペシャル ザ・決断! 総選挙 放送日:2003年10月 2日 放送局:テレビ東京 放送時間:毎週月曜日から金曜日の午後03時30分から04時 番組名:クロージングベル テーマ:中小企業復活の条件 放送日:2003年07月12日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜10時から11時30分 番組名:ETVスペシャル テーマ:不況知らず、常識破りの経営術 放送日:2003年06月21日 放送局:東海テレビ 放送時間:土曜日朝10時55分から11時30分 番組名:報道原人 テーマ:負けてたまるか!~復活にかける経営者たち 放送日:2003年05月31日 放送局:NHK教育 土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:ビジネス基本講座 ・失敗しない設備投資のススメ 放送日:2003年05月10日 放送局:NHK教育 土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:ビジネス基本講座 ・資金ショートをどう防ぐ 放送日:2003年01月14日 放送局:NHK総合 毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時55分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「金利引き上げ~中小企業と銀行の苦悩」 放送日:2003年01月11日 NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾  新春対談・日本経済再生への提言 テーマ:「第2回 どうする中小企業向け金融」 放送日:2003年01月04日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 新春対談・日本経済再生への提言 テーマ:「第1回 空洞化をくいとめる」 ”
9月
30
執筆活動「2003」
“新聞掲載 下野新聞 2003年12月22日 見出し:株主のみ責任おかしい 鑑査法人に金融庁の意図 北海道新聞 2003年4月30日 見出し:企業再生もっと支援を 雑誌等 『日本の論点2004』文藝春秋社 2003年11月10日発行 「中小企業金融は改善するか:新銀行構想は的はずれ。むしろ既存銀行の補完こそが 中小企業を救う」 『エコノミスト』(臨時増刊「総特集 銀行復活」 2003年10月13日号 「動き出した『リレーションシップバンキング』~現場重視で地域・金融再生を図れ」 インタビュー 『世界』(岩波書店) 2003年11月号 「現場の力が金融行政を変えた」 『戦略経営者』 2003年5月号 「アクションプログラムで中小企業金融は変わるのか:論理的矛盾はあるが〝地域貢献〟の評価は一歩前進」 ”
2002
10月
12
番組出演「2002」
“ 放送日:2002年10月12日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾  シリーズ・再挑戦できる社会へ テーマ:「第2回 失敗を資産に変えよ」 放送日:2002年10月05日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾  シリーズ・再挑戦できる社会へ テーマ:「第1回 会社の債務が個人を襲う」 放送日:2002年09月28日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「金利引き上げにどう立ち向かうか」 放送日:2002年09月04日 放送局:NHK総合 放送時間:毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時55分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「ヒット商品開発 お助けします ~自治体の中小企業支援~」 放送日:2002年06月01日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜日夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「地域の金融を守れ」 放送日:2002年04月16日 放送局:NHK総合 放送時間:毎週月曜日から木曜日の夜07時30分から07時55分 番組名:クローズアップ現代 テーマ:「社長更迭ーー不良債権処理の攻防」 放送日:2002年03月02日 放送局:NHK教育 放送時間:土曜夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 テーマ:「ペイオフ解禁その時あなたは~中小企業の防衛策」 ”
9月
30
執筆活動「2002」
“新聞掲載 日刊工業新聞 2002年10月21日 見出し:誰のための金融再生か -不良債権処理の非常識 中小企業支援の対策を 毎日新聞 2002年10月17日 見出し:「金融アセスメント法」を 利用者が選べる材料に 読売新聞 2002年8月24日 見出し:「普通」も「当座」同様保護を 東京新聞 2002年7月2日 見出し:「今は企業を支援すべき」 日本工業新聞 2002年2月8日 見出し:連続赤字の回避から ペイオフ時代 中小の資金繰り 黒字化計画は数字で示せ 雑誌等 『エコノミスト』 2002年11月26日号 「BIS規制こそが銀行経営を歪めている」 日刊ゲンダイ連載 2002年11月12~16日、19~21日 「『日本経済再生』の現場報告」1~8 『世界』(岩波書店) 2002年11月号 「金融行政を転換し、新たな産業政策の構築を」 『データマップ日本--日本経済再生への処方箋--』(NHK出版) 2002年6月30初刊。 「金融改革の忘れもの--検証・金融ビッグバン以降」 『HEERO REPORT』(北海道雇用経済研究機構) 2002年4月号 「誰のための金融再生なのかーー高まる金融アセスメント法制定を求める声ーー」 『世界』(岩波書店) 2002年4月号 「ペイオフシンドロームで破壊される日本経済」 『エコノミスト』(毎日新聞) 2002年2月19日 「ペイオフはグローバルスタンダードではない」 『商工にっぽん』(日本商工振興会) 2002年1月号 「緊急提言 金融に強くなる!--まずはメカニズムを知り、銀行はたんに対応する」 インタビュー 『戦略経営者』 2002年8月号 「中小企業の資金繰りは変わるのか?『金融検査マニュアル別冊』」 講演録 『信用金庫』(全国信用金庫協会) 2002年1月号 「今の時代をどう捉えるか--信用金庫の求められる社会的使命--」 著書 ちくま新書(筑摩書房) 2002年6月20初刊。 『誰のための金融再生か』 ”
6月
2001
12月
08
番組出演「2001」
“ 放送日:2001年12月08日 放送局:テレビ東京 番組名:ウィークエンドサテライト 放送時間:土曜日朝08時30分から09時25分 テーマ:特集「邦銀の逆を行け--攻める新生銀行」 放送日:2001年12月06日 放送局:NHK総合 番組名:おはよう日本「まちかど経済学」 放送時間:月曜~金曜朝05時から08時15分 番組名:おはよう日本「まちかど経済学」 放送日:2001年09月08日 放送局:NHK教育 番組名:21世紀ビジネス塾 放送時間:土曜夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 9月のテーマ…「中小企業 復活の条件」 テーマ:「強みを生かして第二の創業」 放送日:2001年09月01日 放送局:NHK教育 番組名:21世紀ビジネス塾 放送時間:土曜夜11時から11時30分 番組名:21世紀ビジネス塾 9月のテーマ…「中小企業 復活の条件」 放送日:テーマ:「金融機関とどうつきあうか」 放送日:2001年07月~2004年3月 放送局:BSジャパン(テレビ東京系デジタル放送局) 放送時間:毎週土曜日午前9時~10時放映、毎週日曜日午前08時~09時再放送 番組名:トーク番組「ほね・ホネ・本音」 テーマ:毎回、経済、政治に関するテーマについてゲストとともに論議。城戸真亜子さんとともにレギュラー司会者を担当。 放送日:2001年06月 放送局:テレビ東京 放送時間:毎月最終土曜日 番組名:「週間経済王」 コメンテイター 放送日:2001年04月~2003年03月 放送局:テレビ東京 ニュースアイ 放送時間:17時~18時 番組名:「ニュースアイ」 レギュラー・コメンテイター(毎週金曜日担当) 2001年05月05日 NHK教育 番組名:21世紀ビジネス塾「ビシネス基礎講座 不良債権処理」 放送日:2001年03月11日 放送局:テレビ東京 番組名:「週刊経済王」 ※「デフレについてコメント」 放送日:2001年01月28日 放送局:テレビ東京 番組名:「週刊経済王」 ※スタジオで生出演し、中小金融機関の生き残り戦略をテーマに解説。 ”
10月
18
執筆活動「2001」
“雑誌 『バンクビジネス』 2001年10月15日号 「不良債権とその処理に関する基礎知識」 『世界』(岩波書店) 2001年8月 第691号 「『小泉構造改革』への対抗提案」 金子勝、沼尾波子、尹春志氏らと共著  執筆箇所は「二 『破壊』から『創造』へ--新たな金融システムの構築」 『週刊金曜日』 2001年6月8月号 「根拠なき期待:経済政策からみた『小泉人気』」 『週刊金融財政事情』 2001年4月30日 「国債・優先株交換方式による資本注入を」 『月刊金融ジャーナル』 2001年3月号 「コミュニティの一員として――信金の情報公開・広報活動を考える 経済コラム 『週刊金曜日』 2001年1月26日号 「ITバブル崩壊後のIT革命は『産業革命』でなく『生活革命』に」 インタビュー 『銀行法務21』No.596 2001年10月 「金融アセスメントの考え方」 『戦略経営者』 2001年8月号 「負けてたまるか!不良債権処理 21世紀ビジネス塾 『On The Web特別講義』(NHK) 2001年5月5日 『ビジネス基礎講座 不良債権処理』  「自己資本比率」「直接償却と間接償却」「直接償却3つのポイント」解説3篇を掲載。 『On The Web特別講義』(NHK) 第1回 2001年1月 『IT革命の幻想と現実』 ”
2000
11月
11
番組出演「2000」
“ 収録日:2000年11月11日 放送局:NHK教育 番組名:21世紀ビジネス塾「今こそ求められる銀行の地域密着」 ”
10月
01
執筆活動「2000」
“雑誌 『信用金庫』(全国信用金庫協会) 2000年12月号 「2000年の金融界を回顧する」 相川直之編『地域活性化と金融円滑化のためのスタンダードとは何か』(地域産業研究所) 2000年11月20日 第3章2「中小企業金融の現状と『金融アセスメント』制度」 『世界』(岩波書店) 2000年3月号 №672 「ペイオフ解禁延期をどうみるか」 解説 北海道新聞取材班『解明・拓銀を潰した「戦犯」』(講談社文庫) 2000年12月15日初刊 「解説――拓銀破綻が媒介したもの」 書評 『金融財政事情』(金融財政事情研究会) 2000年7月17日号 「『スモールビジネスファイナンス革命』」 インタビュー 『琉球新報』 2000年10月15日 「ほっとエコノミー:金融アセス法を提唱――地域貢献の視点で評価」 『朝日新聞』 2000年9月29日 「銀行不信:貸し渋り体質変わらず――地域貢献度で評価 を」 座談会 『研究センターレポート』 第11集 2000年2月25日(中小企業家同友会全国協議会) 「21世紀を中小企業の時代とするための経済・経営戦略」 鼎談 『家計経済研究』(家計経済研究所) 第45号 2000年1月15日 「生活者から見た金融制度」 ブックレット 21C. Booklet(21世紀政策構想フォーラムブックレット) 2000年3月20日 「『怒り』を『知恵』にかえて 今こそ『金融アセスメント法』を制定しよう」 ”
1999
12月
18
執筆活動「1999」
“雑誌 『企業環境研究年報』第4号(中小企業家同友会全国協議会 企業環境研究センター) 1999年11月30日 「中小企業金融の現状と『金融アセスメント』制度――『中小企業家同友会金融問題特別調査』によせて」 『立教経済人クラブ会報』(立教経済人クラブ) 1999年11月 「グローバル・スタンダードとジャパニーズ・ウェイ―ペイオフ論議によせて―」 『CITIZENS FORUM for RENEWAL』(行革国民会議) 1999年10月号 「これからの日本経済、金融システム改革の戦略」 『中央公論』(中央公論新社) 1999年10月号 「ペイオフの危険:慎重論 これだけの理由 『経済理論学会年報第36集 現代経済と金融危機』(青木書店) 1999年10月1日 「金融危機と金融改革」経済理論学会編 『世界週報』(時事通信社) 1999年5月25日号 「市場を守る? 金融監督庁の"恐怖政治"」 『シャワッチ 4』(民事法研究会) 1999年2月20日 「金融危機の克服と『市民』の役割」株主オンブズマン編 インタビュー 『商工にっぽん』(日本商工振興会) 1999年12月号、№631 「安定した市場はもはやない。『感動』を軸に戦略を立て直せ」 ”
1997
12月
18
執筆活動「1997」
“雑誌論文   『商工にっぽん』№607(日本商工振興会) 1997年12月 「金融ビッグバン時代の中小企業② ビッグバンでビジネスチャンスなど広がらない」 『商工にっぽん』№606(日本商工振興会) 1997年11月 「金融ビッグバン時代の中小企業① 競争に耐え抜く企業体質へと変革せよ」 『季刊 経済と社会』第11号 1997年11月 「電子金融をめぐって」 著書 『金融ビッグバンの幻想と現実』(時事通信社) 1997年11月 ”
11月
1996
1月
18
執筆活動「1996」
“雑誌論文 『日本科学者会議』Vol.31 1996年1月 「不況の向こうに何が見えるか」 『信用金庫』第50巻第1号 1996年1月 「1996年の金融経済を展望する」 ”
1995
7月
18
執筆活動「1995」
“雑誌論文 企業環境学研究会『企業と環境の新ビジョン』(中央経済社) 1995年6月 第1章「岐路に立つ日本経済と企業」 『じつぎょう地歴・公民資料』№41 1995年2月 「ブームとしての規制緩和――どう評価すべきか」 『月刊JA』Vol.480(全国農業協同組合中央会) 1995年2月 「価格破壊・産業空洞化の衝撃――いったい、何が始まったのか――」 ”
1994
7月
18
執筆活動「1994」
“著書 山口義行・小西一雄著『ポスト不況の日本経済――停滞から再生への構図――』(講談社現代新書)1994年7月   雑誌論文 小西一雄・服部正治・北川和彦編著『経済学のオプティクス』1994年4月、 第1章「世界の中の日本経済」 「いわゆるマネーサプライ論争について(上)」『立教経済学研究』第47巻第4号1994年3月 ”
14
1992
6月
1991
11月
1990
3月
18
執筆活動「1990」
“雑誌論文 『景気・産業構造動向調査研究会レポート第1集:構造変化と中小企業』(中小企業家同好会全国協議会) 1990年3月 「『金融革命』『金融肥大』『金融大国』――変貌する日本の金融構造――」 ”
1989
12月
19
執筆活動「1989」
“雑誌論文 暉峻衆三・清山卓郎編『現代日本経済の構造と政策』(ミネルヴァ書房)1989年12月 「金融肥大化とその危機的諸相」第4章 ”
1988
6月
19
執筆活動「1988」
“雑誌論文 『信用理論研究』第5号1988年6月 「金融『革新』と金融の肥大化」 ”
1987
6月
19
執筆活動「1987」
“著書 久留間健・山口義行・小西一雄編『現代経済と金融の空洞化』(有斐閣)1987年6月 第1章「金融『革新』と日本経済」 第3章「短期金融市場の発展とその影響」 ”
14
1984
12月
19
執筆活動「1984」
“雑誌論文 『立教経済学論叢』第26号 1984年12月 「金融の国際化と肥大化――金融制度調査会小委員会第2次中間報告に寄せて――」 『証券経済学会年報』第19号 1984年5月 「現先市場の発展過程と現状」 ”
1983
3月
19
執筆活動「1983」
“雑誌論文 『立教経済学研究』第36巻第4号1983年3月 「現先市場(条件付債券売買市場)の生成について――中島将隆氏の所説に寄せて――」 ”
1981
9月
1979
1月

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