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第46回山口教授のコレが言いたい!2011年

7月 1st, 2014

2011年は、“前向きな自分主義”で行こう!

 米国の巨大なバブルが崩壊し、リーマンショックという衝撃を経て、世界経済は激しい競争の時代へと突入した。米国というエンジンを失った世界経済は、新興国の内需に支えられてかろうじて失速を回避してきたが、これはまた市場や産業の構造変化を伴う大競争時代の幕開けでもあった。

 米国というけん引力を失って低迷する先進国経済では、中小企業を吹き飛ばす程に激しい「パイの奪い合い」が展開されている。また、先進国の大企業は新興国市場の獲得に向けて激烈な競争を展開しつつあり、それにともなって中小企業もあらたな選別の嵐にさらされてようとしている。

 そういう厳しい時代状況から目をそらすことなく、中小企業がこの「大競争時代」を生き抜くには何が必要なのかと問い、その上で自ら設定した諸課題に果敢に挑戦していく――“今”という時代は、そういう愚直で、たくましい中小企業経営者を必要としている。

 2011年の年頭にあたって、以下では、時代が提起している中小企業経営者の課題についてあらためて考えてみたい。あわせて、そうした諸課題を担う経営者諸氏を支援すべく、スモールサンの本年の活動を展望したい。


“大競争時代”を生き抜くための「自己分析」と「自己表現」
~経営者はマーケティング・ブランディング・管理会計に強くなれ!~

 厳しい価格競争と市場構造の変化――中小企業経営者はそうした経営環境の中にあっても、常に自社の「立ち位置」を見いだし、発展の道筋を示していかなければならない。そのために求められるものは、何よりもまず不断の「自己分析」である。

 自社の「強み」や「売り」を客観的に分析してみることで、はじめて自社の歩むべき道が見えてくる。しかし、その「客観的な」分析というものが意外に難しいのである。

「結構大きな中堅企業と言われる会社の経営者さんでも、自社のセールスポイントに気づいていないケース、自社の商品や自社の一番光るモノをとらえきれていないケースが多いんです。……経営者が自らの『強み』に気付くことをお手伝いする」(スモールサンニュース2009年1月号より)――それが「私の仕事なんです」と語るのは、スモールサンのイノベーション・プロデューサー小出宗昭氏(富士市産業支援センター長、株式会社イドム代表)である。

 第三者の目、専門家の目をも活用しながら、どの程度客観的に「自分を知る」ことができるか。これは、大競争時代を生き抜くために経営者が挑むべき最初の課題である。

 そして、次に必要になるのが、その「強み」や「売り」をどうマーケット戦略として表現していくかである。それは、「自己分析」を踏まえた「自己表現」を探る作業である。小出氏はある企業の実例を挙げて、その重要性をこう指摘する。

「自分の会社で作ったモノが超一流なんだという自覚に社長自身欠けていた。それで、マーケティング戦略がぼけていたわけです。……私は、セールスポイントをきちんと探して、気づきを起こしていただいて、戦略を策定する。それで、結果を出してきました」(同上)。

「SOHOしずおか」という静岡市の中小企業支援センターに在籍していた3年間で、小出氏は140というヒット商品を生み出した。この華々しい活躍は、富士市の支援センターに移籍した現在も続いている。

 スモールサンでは、今年から、その小出氏による「個別相談会」を定期的に開催し、会員諸氏の「自己分析」や「自己表現」の手助けを行っていきたいと考えている。また、現在立ち上げの準備を進めている「スモールサンゼミYOKOHAMA」では、2011年のテーマを「実践的マーケティングの研究:顧客に選ばれる会社になるために」とし、小出氏を顧問として本年3月から活動を開始する予定でいる。いずれも、会員諸氏の積極的参加が期待される。


中小企業庁長官も指摘する“管理会計”の重要性

「自己分析」や「自己表現」は、マーケティングやブランディングにのみ体現されるわけではない。自社の経営状態を知り、自社の将来像を具体的に描き、それを第三者に向けて表現していく。そのためのツールとしては、かねてより「管理会計」が活用されてきた。

 高原中小企業庁長官も本号ニュース巻頭の「対談」の中で、中小企業が管理会計を積極活用することの重要性を訴えている。

「『税務』としての会計ではなく、『管理会計』的なものを取り入れながら、かつ使い勝手のいい新たな会計基準を、今年中できれば今年の前半には作りたいと考えています。それを中小企業の方々に金融機関との対話のツールとして活用していただいて、円滑な中小企業金融というものを実現していきたいと考えています」(スモールサンニュース本号、巻頭対談より)。

 金融機関の関係者に言わせると、「管理会計」を活用できている中小企業経営者は、現状では取引先の1割にも満たないということである。この現状を変革し、経営者が「自己分析」や「自己表現」に会計手法を積極的に活用できるようにすることが、「円滑な中小企業金融」を実現する上でも必要なのだと、高原長官は指摘しているのである。

 この対談の中でも述べたように、現在、名古屋のスモールサン会員を中心に、「管理会計研究会」を立ち上げるための準備が進められている。会員諸氏にはそこへの参加も期待したい。


新時代を切り開くための「自己研鑽」と「自己革新」
~スモールサンの諸活動に今年も積極的な参加を!~

 日本経済の課題を中小企業経営の実践的な経営課題として設定する。そして、その経営課題の達成に向けて、スモールサンが支援活動を展開する――スモールサン創立以来、私たちはこれを追求してきた。

 昨年の海外進出研究会の立ち上げはその典型である。「アジアをはじめとする海外諸国の成長力を、自国の発展のためのエネルギーとして取り込まなければならない」。これは日本経済のもっとも今日的な課題の1つである。私たちはそれを、「中小企業の国際化」という実践的な経営課題として設定し、その経営課題の達成を支援すべく、「海外進出研究会」を立ち上げて会員企業の情報収集や事業計画づくりを促してきた。

 同研究会は設立後いまだ半年しか経過していないが、1社、2社、3社と海外進出にメドをつける会社が現れはじめ、その活動はすでに具体的成果となって結実しようとしている。またご承知のように、スモールサンでは、その海外進出研究会の担当プロデューサー、上原正之氏が同行する、「シンガポール&インド視察ツアー」を企画し、中小企業のグローバルなネットワーク作りを支援している。この視察ツアーはすでに本年1月16日にスタートしたが、本年中にはさらに「ブラジル視察」や「ロシア視察」なども行いたいと考えている。
 
 中小企業が激動の時代を生き抜いていくためには、経営者の「自己研鑽」と「自己革新」が欠かせない。東京や名古屋を皮切りに立ち上げが続くスモールサン・ゼミの活動や上記のような海外視察の機会提供は、会員諸氏の自己研鑽や自己革新に大いに貢献するものと確信している。
 自分を知り(自己分析)、自分を表し(自己表現)、自分を磨き(自己研鑽)、自分を変える(自己革新)――私は、これらをまとめて、「前向きな自分主義」と呼んでいる。2011年は、日本経済再生のために、多くの中小企業経営者がこの「前向きな自分主義」を積極的に実践する年であってほしい。その思いをここに記して、年頭のコラムとしたい。

(2011年1月16日執筆)

(2011年/スモールサンニュース1月号より)

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