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第38回山口教授のコレが言いたい!2010年

7月 1st, 2014

中小企業の国際化”を考える!!
~求められる中小企業ネットワークの「国際化」~

「言葉」というものは不思議な力を持っているように思う。気に入った言葉、重要だと感じたキーワードを繰り返し口にしていると、だんだんとその意味することの具体的な姿形が見えてくる。「中小企業の国際化」という言葉は、私にそんな体験を与えてくれた。

 最初のきっかけは「中小企業支援会議」。縦割り行政に横ぐしを入れて、政府が一体となって中小企業支援に取り組むためには、首相を議長とする「中小企業支援会議」の設置が必要である。すでに一斉メールやスモールサンニュースでお知らせしたように、私はそのことを官邸で中山首相補佐官に提言した。その際、「では、どんな支援が必要だと考えるか」と問われ、今求められているものは「金融支援」「国際化支援」「新分野開拓支援」の3つだと答えた(スモールサンニュース09年12月号参照)。その時以来、「中小企業の国際化」は、私にとって最も重要なキーワードの1つとなった。

バイドゥー(Baidu、百度)の提案

「中小企業の国際化」をどのように支援するか。その具体策を練るべく、ジェトロ(日本貿易振興機構)の関係者からヒアリングを行うなど情報収集に努めてきた。その情報収集の過程で、実にいろいろな人たちとのつながりができた。その一人に、バイドゥー(Baidu、百度)の駐日首席代表である陳海騰氏がいる。

 ご存じの方も多いと思うが、バイドゥーというのは中国の代表的な「検索エンジン」である。インターネットで何か調べたいという場合、日本人の多くはヤフーやグーグルの検索サイトから入っていくが、中国の人たちはほとんどの場合バイドゥーを使う。「百度」というのは、その漢字表記である。

 バイドゥーの検索エンジンシェアはグーグル、ヤフーに続いて世界3位。中国ではもちろんトップである。

 中国のインターネット利用人口は3億人と言われている。その中国でのバイドゥーのシェアは70%以上に達し、利用状況は一日平均10億ページビュー、月間平均300億ページビューにも上る。そのバイドゥーの駐日首席代表である陳氏は、私にこう語った。

「中国のマーケットが急速に伸びているからといって、今まで中国と関わりがなかった中小企業経営者に突然中国市場に出ていくべきだと言ってもやはり腰が引けてしまいます。実際、リスクも高いでしょう」

「でも、中国人の多く、特に若い人たちはインターネットで買い物をしていますし、日本に関する情報もインターネットから得ています。したがって、日本の中小企業もまずはインターネット上にアンテナショップを出店して、どんな技術や商品が中国人にウケるかなどを調査・確認することから始め、『行けそうだ』となったら本格進出を考えればいいのではないでしょうか。わが社では、中国語への翻訳やどういうキーワードが検索過程で中国人の目を引きやすいかなど、いろいろアドバイスしています」

 ちなみに、陳氏が最近著した本の題名は『50万円でインターネットから中国3億人富裕層と商売する方法』(講談社)である。

 たしかに、例えば商店街の衰退が言われて久しいが、商店主は地元住民だけでなく、インターネットを通して中国の人たちに商品を売ることを考えてもいいはずである。そういうことが不可能でなくなった時代を、今私たちは生きているのである。陳氏の言葉を聞いて、「中小企業の国際化」のイメージがさらに広がった思いがした。

 そこで、私は陳氏の話をスモールサン会員諸氏に聞いてもらいたいと思い、早速同氏に会員向け講演をお願いした。陳氏は快く引き受けてくれた。本年6月23日18時30分から都内で開催する予定である。同氏の講演と私とのセッション、参加者とのディスカッションを通して、「中小企業の国際化」について考える集いにしたいと思う。興味のある方はぜひ参加してもらいたい。

    講演会 『中小企業の国際化~バイドゥ—(Baidu、百度)の提案~』

    ●日時:2010年6月23日(水) 18:30~21:00

    ●会費:スモールサン会員3,000円、非会員5,000円(ただし、スモールサン会員の代理出席は一人に限り3,000円)

    ●会場:東洋経済新報社 本社ビル 9階ホール
     〒103-0021  東京都中央区日本橋本石町1-2-1

    ※なお、会場の都合により、お申込者数が定員100名に達しました段階で、募集を締め切らせていただきます。ご了承くださいませ。

    <お申し込み方法>

    kondan@smallsun.jpまで必要事項(会員氏名・会社名)を明記の上、メール件名「6月23日講演会参加希望」にてお申込みください。

    ※非会員の参加希望者をご紹介頂ける場合は、上記アドレスまでメールにてお知らせください。

「ロシアの支柱」との出会い

 これも、すでに一斉メールでお知らせしたが、本年4月30日、ロシアの中小企業団体「ロシアの支柱」(OPORA‐DRUZHBAオポラ・デゥルーズバ)がスモールサンを訪問してくれた。

「ロシアの支柱」はロシア全土に81カ所の支部を持ち、35万社を有するロシア最大の中小企業団体。総雇用数は500万人にも達する。9年前にプーチン大統領の肝いりで設立され、現在は中小企業に関わる政策や法整備を政府に直接提言できる立場にある。国境を越えたビジネス交流を積極的に進めたいとの考えから、代表団が来日した。

 一斉メールには会談の概要を示し、「ご意見やご感想を私あてにメールして下さい。皆さんからの反応が多くあるようでしたら、スモールサンとしても今後『ロシアの支柱』との交流を深め、ロシアビジネスに関するセミナーなどを開催していきたい」と記した。

 結果的に10通を超えるメールをいただき、同団体とスモールサンとの交流を今後積極的に進めていく決意を固めた。「ロシアの支柱」の日本支部は本年8月後半に立ち上がる予定である。それ以降、スモールサン会員向けに交流会やセミナーをたびたび実施していく予定でいる。

 会員からいただいたメールには、ロシア企業とビジネスを進める上の難しさなどが列記されていた。たしかに、商習慣の違い、進まない法的整備、突然の政策変更など、国境を越えたビジネスを展開するにあたっての障害は少なくない。

 しかし、多くのメールは、「だからこそ、『ロシアの支柱』との交流を進めてほしい」というものであった。私は、こうしたメールを読んで、「中小企業の国際化」には中小企業ネットワーク間の国境を越えた交流が不可欠だと実感した。

中小企業ネットワークの「国際化」

 振り返ってみれば、バイドゥーの陳氏が快く講演を引き受けてくれたのも、「ロシアの支柱」が私のもとを訪ねてきてくれたのも、私が1400名もの中小企業経営者が参加するネットワークを主宰しているからである。

 とすれば、スモールサンという中小企業ネットワークの「国際化」が、個々の中小企業の「国際化」を支援することになるはずである。

 スモールサンはたんなるメルマガ配信組織ではないし、またそうであってはならない。そんな思いを会員諸氏と共有しつつ、今後も「中小企業の国際化」という課題を追求していきたい。

(2010年5月9日筆)

(2010年/スモールサンニュース5月号より)

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