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第31回山口教授のコレが言いたい!2009年

7月 1st, 2014

金融アセスメント法、再論!(2)
――中小企業経営者による“メイク・ドラマ”――

「私は、アメリカの地域再投資法に、日本独自の金融慣行上の問題の解決にも役立つような工夫を付し、法案『骨子』を作成した。そして、それに『金融アセスメント法』という名称を付したのである」。そして、「その法案『骨子』を民主党の桜井議員に見せ、法制化に持ち込むことを提案した。当初は、参議院法制局の役人の抵抗にあって条文化が進まなかったが、担当課長が代わったこともあって半年後に条文が完成した」。――以上、前号。
その「条文」とはどのようなものか、以下に簡単に紹介したい。

法律の「目的」

 民主党版「金融アセスメント法」は、「地域金融円滑化法」と命名された。同法の「第一条」には、この法律を制定する「目的」が記されている。大変長い一文で読みづらいと思われるので、法文を分解して以下に記すことにしよう。
この法律は、地域金融の円滑化に関し、

(1)基本理念を定め、並びに
(2)国、地方公共団体及び金融機関の責務を明らかにするとともに、
(3)地域金融の円滑化に対する金融機関の寄与の程度に係る評価に資する情報の公表の制度を設けること等を通じて、その推進を図ることにより、
(4)金融機関の地域金融に係る業務の適切な運営及び地域経済の活性化を期し、
(5)もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資することを目的とする。

きっかけは「アントレ会」~アメリカの「地域再投資法」を参考に~

基本理念――地域金融の円滑化とは?

 

 上記のように、この法律には「地域金融の円滑化」とはどういうことか、その「基本理念」が定められている。まずはそこから見ていこう。
 基本理念を記した「第三条」では、地域金融の円滑化とは、「地域において社会的に要請されている分野に必要な資金が十分に供給される」ようにすることであると明記している。その際、中小企業への資金供給が特に配慮されなければならないとして、次のように記している。
「中小企業が地域経済の活性化において果たす役割の重要性にかんがみ、それに対し適切かつ効果的に資金が供給されるよう特に配慮されなければならない」。
 さらに、そのためには「金融機関に関する情報の開示」が必要であるというのが、この法律の趣旨である。

金融機関の「責務」――機会均等、事業の適正な評価、十分な説明

 同法の「第四条」で、国は「地域金融の円滑化に関し必要な施策を策定し、(中略)実施する責務を有する」とし、また「第五条」では、地方公共団体は、その「国の施策に準じた施策及びその他(中略)区域の特性に応じた施策を策定」し、実施する責務を有するとしている。
 そして、肝心の金融機関についてであるが、「第六条」で「地域金融の円滑化に主体的かつ積極的に寄与する責務を有する」として、特に次のように記している。
金融機関は、中小企業向け融資にあたって――、
(1)「均等な機会を確保するようにする」こと、
(2)「経営資源及び事業の成長発展の可能性を適正に評価する」こと、
(3)「取引条件を明確にし、適切かつ十分な説明を行う」こと、
(4)その他「苦情の適切な処理を行う」こと、など――公平かつ適正な業務の実施に留意しなければならないとしている。

情報の公開――地域金融の円滑化に「情報公開」を活用する

 金融機関に上記のような「責務」を果たしてもらうために、「情報公開」を積極的に活用しようというのが、この法律の特徴である。先に記した「目的」の(3)がこれにあたる。その内容は「第八条」で規定している。

「行政庁は、個々の金融機関について」、それらがどの程度地域金融の円滑化に寄与しているか、その情報を「公表するもの」としている。特に下記の「事項」に関する情報が公表されることになる。
(1)「地域の住民及び事業者に対する信用の供与の状況に関する事項」
(2)「地域の産業の振興等地域の振興に貢献する業務の状況に関する事項」
(3)「利用者の利便の増進を図るための業務の状況に関する事項」
(4)「その他…評価がなされるに当たり参考となるべき事項」

中小企業家の活動によって法律が作られる意義

 民主党版「金融アセスメント法」の中身は、おおむね以上のようなものである。
『マニフェスト』に明記した以上、民主党政権によってこの法律は現実のものになるはずである。

 ここで強調したいのは、中小企業経営者による「市民運動的活動」の成果として法律が生まれることの意義である。そもそも「国民主権」とは、私は、国民が自分で法律を作ることができる権利だと解釈している。ところが、日本では市民運動によって法律が生まれることはほとんどなかった。

 しかし、スモールサンニュース前号でも記したように、この法律は明らかに中小企業経営者たちの運動から生まれたものである。その意味で、同法の成立は日本の民主主義が一歩前進したことを示すものとなる。スモールサン会員の皆さまには、そうした目線で、今後の成り行きを見守っていただきたい。

(2009年/スモールサンニュース10月号より)

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